常滑・山田副市長、2年間の取り組み 市民病院移転へ経営改善 財源不足で「事業仕分け」

2012.05.25

常滑・山田副市長、2年間の取り組み 市民病院移転へ経営改善 財源不足で「事業仕分け」 先月、参事から就任「小さな実践積み重ね大切」 

2012.05.22 中日新聞 
  
【愛知県】四月に副市長の二人制を導入した常滑市。危機的な財政状況下で、市民病院の移転やごみ減量などの課題に直面している。 
こうした主要施策の推進を任されたのが、前市参事の山田朝夫副市長(50)だ。 
片岡憲彦市長(57)の誘いで安城市から働く場を常滑に移して二年。 
副市長就任を機に派遣元の総務省を辞め、退路を断つ形で市政改革に臨む。(福本雅則) 

 「財政や市民病院の現実が、聞いていた以上に厳しいのを実感した。 
二〇一一~一三年度の三年間に予算が三十億円も足りない現状を突きつけられ、うなされて起きる夜が続いた」と二年前を振り返る山田副市長。予算書作りの聞き取りをしても、削れる金額は見当たらない。財源不足の根は深かった。 

 「事業のどの柱も予算を削り、ぎりぎり立っている状態。数を減らさなければ総倒れになる」と踏み切ったのが、一〇年八月に自ら進行役となった「事業仕分け」だった。 
結果的には存続となったが、市民文化会館や空港の消防出張所が「廃止」の判定を受けた。反響は大きく、職員や市民の意識を改めるきっかけになった。 

 次に着手したのは市民病院の改革だった。公立病院はどこも厳しい環境にあり、新しい病院を建設するには経営改善が大前提だ。ところが現場には、入院患者数や病床の利用率すら伝わっていなかった。 
「原因が分かれば、やり方も変わるはず」と、医師や職員に現状を詳しく知らせることから始めた。 

 収入の柱になる患者数の増加目標を立て、薬品代などの経費削減と合わせ、この二年間で四億円余の収支改善を果たした。 
「特別なことをしたわけではなく、病院で働く三百人の努力が掛け算になった結果」と評価する。 

 新病院の建設には、医師確保など課題が残っており「医師を派遣する大学にとっても、魅力のある病院にしなければ」と表情を引き締める。 
一方で、新施設の構想を話し合う「百人会議」や地域に施設を開放する「病院祭」を通じ、文字通りの「市民病院」に変わりつつあるとも感じている。 

 忙しい身だが、市民と触れ合う機会も積極的につくっている。五月十、十一日には、市内の小学校を訪れ、ごみ減量化の講師を務めた。分かりやすい内容は子どもたちにも好評で、要望があれば続けたいという。「何ごとも小さなきっかけや実践の積み重ねが大切。情報を知らせて一緒に考えることから始めたい」と前を見据える。 

    ◇ 

 山田朝夫さん(やまだ・あさお) 東京都出身。東大法学部を卒業後、自治省(現総務省)入り。地方での勤務を志願し、大分県財政課長、同県久住町理事などを経て、2006年4月から安城市助役(副市長)。10年4月に参事として常滑市へ。循環農業の推進や町の特徴を生かした市街地整備など、独創的な地域再生の取り組みを続けてきた。