覆水盆に返し、再検証を!」 長隆氏が小樽新病院で提言

2012.05.31

 

 

「覆水盆に返し、再検証を!」 長隆氏が小樽新病院で提言 (小樽ジャーナル2012/05/28) 



 138億円もの豪華病院の建設で、5月23日(水)に、2度目の入札中止に追い込まれて、混乱の渦中にある小樽市と市議会に対し、公立病院改革ガイドラインの作成に携わった、長隆氏(東日本税理士法人代表社員・公認会計士)が、セミナーの講師として、折り良く24日(木)に札幌入りした機会を捉え、インタビューに応じて頂き、小樽の公立病院の在り方への提言を伺った。 

 長隆氏は、総務省の「公立病院改革懇談会」の座長として、公立病院改革ガイドラインを策定。 

現在、全国の公立病院は、このガイドラインに沿って病院再生に取り組んでいる。 

日本の医療事情に最も精通しており、病院問題では第一人者として知られている。 
その見識の深さと、貴重な提言は、全国の各都市から改革委員会の委員長に要請され、いくつもの公立病院再生復活を果たしてきている。 

 今回、長氏は、札幌市の(株)吉岡経営センターの「自治体経営ソリューションセミナー」の講師として、日帰りで来道した。 

講演のテーマは、「自治体病院再生?検証!全国の成功事例」だった。 
参加者は、道会議員や道内の病院関係者が多く、根室や赤平などからも駆けつけていた。 
この講演の中には、小樽市の新病院に言及していることもあってか、小樽市議会の若手議員2人の姿も見られた。 

 講演前後のインタビューやセミナーの中での話から、2度の入札中止となった小樽新市立病院への貴重な提言があった。 

 長氏は「私は、小樽の病院問題では、多くの意見を言ってきたが、今回の2度の病院入札の中止で、最終段階に入ったと思う。 

市は元々、築港地区に病院を建てようとしていたが、その同じ場所に、現在、民間の済生会小樽病院が建設中だ。 

医師・看護師不足は、全国的なもので、豪華な新市立病院を造って医療機器を揃えても、医師が集まることは、絶対にありえない。 
豪華病院を造れば医師が来ると言うのは幻想だ。 
要は、実績が必要。 

 小樽には、民間病院が3つ(済生会・協会・掖済会)もあり、これに大型の小樽市立新病院が加われば、医師・看護師の奪い合いとなるが、実績のある手稲の渓仁会病院には、勝てっこない。 

人口13万人の小樽市には、4つもの病院が並立することになるが、70万人口の練馬区には、2つの急性期病院しかない。 
人口減少、少子高齢化で、患者が減っている中で、小樽の病院が成り立っていけるか、医師確保ができるかは、極めて疑問だ。 

 138億をかける小樽の新市立病院の巨額の償却ができるか。 
これからは、退職引当金も積まなければならなくなったので、さらに運営が難しくなる。 
小樽市は退職引当金がゼロなのだから、さらに苦境に立たせられる。 
患者数や病床利用率の大甘な見通しでは、開院早々からの破綻は目に見えている。 
小樽市の集団自殺となってしまい、夕張化が避けられなくなる。 

 国は、官民の統合を進めており、小樽でも官民の統合しか生き残る道はない。 

元々、市は築港地区に建てようとしていたのだから、現在建設中の済生会に、脳外科と心臓外科の2つを医師・看護師ともども統合すれば良い。 

これで、重複する診療科のムダがなくなり、140億円のムダ使いもなくなり、双方にとって良い結果が生まれる。 

大手ゼネコンが仕切る工事では、地元業者が泣かされるのが通例で、地元経済がうるおうというのも幻想に近い。 

病院工事で使わぬ140億円を中心市街地の再生に投入するなどの策を立てれば、地元もうるおうことになる。 

何で分割発注をするのか。 
設計施工の一括発注なら半額でもできると、小樽で講演した遠藤誠作氏は言っている。 
  
2度の入札の失敗は、前代未聞の"快挙"をなした。 
もう一度、覆水盆に返す決意で、市議会が決議して、検証すべきだ。 

官民統合の参考例は、桑名市立病院がある。 
桑名市議会は、全員一致で決議し、市立病院を廃院にし、独立行政法人として、民間の山本総合病院に吸収合併された。 

これで、雇用と医師の確保が図られた。小樽の隣には、手稲や札幌に優秀な病院が多いし、結局、小樽市民もこれを利用しているのだし、電車に乗ればわずか20?30分で高度医療が受けられるのだから、過疎地小樽が豪華病院を持つ必要はないと言える。 
ここで、頭の転換があれば、道は直に開けることになる。 

 これからの方向性を決めるには、市議会の覚悟が必要だ。 
まさか市議会が入札中止を再開し、同じ轍を踏むとは思えないが、このまま突っ込めば、小樽市の集団自殺となってしまう。 
ここは、市議会も市民も頑張って良く考えることが必要だと思う」と、話して頂いた。 



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市立新病院に疑問続出!特別講演会「とことん知りたい樽病新築」 (小樽ジャーナル2010/10/22) 

 特別講演会「とことん知りたい樽病新築」が、10月22日(金)18:30からマリンホール(色内2)で開催された。 

 小樽商科大学ビジネススクール・パブリックマネジメント研究会と小樽市医師会(津田哲哉会長)の共催。 
市が進める新病院建設は「コンパクトで安価に」と提案する医師会が、「小樽市には、日本国内での公的な病院の建設方法、運営方法の実例に学び、合理的な再建案に練り直して頂きたい」と企画した。 

 会場には、新病院問題に関心を寄せる市民や医師・看護師などの医療関係者、市議会議員、市職員など約300人が集まった。来場者の中に、当事者の市の病院担当職員の姿は見られな かった。 

 講演は、北海道大学公共政策学研究センター研究員で元福島県三春町職員として、町立 病院の再建に関わり、建設費を民間並みにして、新築と公設民営化による経営合理化に成功した遠藤誠作氏が行った。 

 「3月まで役場職員だったので、役場職員の戯言だと思って聞いてください。 
今は非常に大変な時代で、どこの役所にも金がない、国も同じ。 
インター ネット購買とかでパチンコ台まで売って何十万の金をつくるが、片っ方で100億の事業をやってしまう。 
病院の場合は金額が大きい。 
それをどう考え ていくのかが問題。 
病院は、基本的に1年間の医業収益が20億の病院は、20億かけて作らなければ絶対経営出来ない。 
たとえば事業収益が80億だったら、160億の病院作る時に上回った分はどこから持ってくるのか。 

 自治体の全体の予算から先にとるのは月給分で、2番目には借金の元利償還金をとり、そのほかに学校になんぽ使うとかやって、せいぜい自由になる金は全体の5%しかない。 
選択を間違えれば街がつぶれる。みんな公務員にしわ寄せがいかない。 

 私は、県立病院やめるから公立病院をなんとかしてくれと言われた。 
民間というか農家やって議員やって、首長は中学しか出てないが、腹は切れるなと 思った。 

へたな大学出ている人よりもはるかに切れる。 
全権まかせるから良いようにやってくれと言われ、だから3年でやってしまった。新しい病院を つくったが、坪58万でやって、皆さんの家よりも安い。 
日本の建築単価もそんなもの、スーパーゼネコンはそれでも利益を出している」と挨拶した。 

 町立三春病院の特色、県立病院との診療体制比較、経営問題の対処、病院対策が成功した理由、公立病院の主たる赤字要因、建築単価、小樽市立病院の現状、公立病院への批判などについて、軽妙な語り口でテンポ良く話しを進め、「結局、人口減、高齢化で変化が激しい時代なのだから、計画に修正が必要なら修正する。 

完成が5年後なら、さらに切り込んで計画を修正する。儲けなくても良いけど赤字は困る。 
自分たちのまちづくり、病院はまちづくり。役所に任せていたらだめ。自分が5年で死ぬからいいといっても、息子たちがたまらんと逃げ出す財政状況じゃ大変。必要な医療はなんのか。関係者が集まって議論して決まったら文句言わないで進めないと、議論に20年もかけてたら笑われちゃう」とまとめた。 
  

講演後のパネルディスカッションでは、小樽商大・片桐由喜教授が、「小樽市の病院建築における対応と三春町立病院との対応はいくつか大きな違いがあると思う。 
自治体病院の役割に対する意識について、三春町立病院が基本的な明確な理念を持っていたのが違う。 
公的医療は、必要にして十分が大事で、不足と過剰の回避をするのが基本的な役割だと思っている。 
その中で、自治体病院は、不足と過剰を調整するのが大事で、民間が果たせないものを公立が果たす、余剰な部分は関与しないのが役割だと思う。 

町立病院の建設のプロセスについて透明性があり、住民の合意をえている。 
小樽市の場合は、数年間の間、すったもんだしている。 
三春町立病院は対策委員会を設置して、町と他の病院と医師会、市民を巻き込んだ形での議論を積極的に推し進めてきた。 
小樽市は、全体の合意を得るプロセスが欠けている。三春町は意思決定が大変スピーディー、これはどこから来るのか。 
小樽市の場合はどうやったらそのスピードを得られるのか」と指摘した。 

 商大・堺昌彦准教授は、「新市立病院を豪華なものにして、将来的に借金が返せなくなるのは本末転倒だろう。 

そもそも造る段階でどれだけ投資するかで将来的な負担が決まる。 
今回の小樽市の計画は10年間が見せられているが、病院は40年間続く中で、その途中が触れられていない。 

とにかく借りるだけ借りるという観点で計画を進めている。 
返せる金額だけ借りるというのが健全だが、今のところは考えていない状況だ。 
今の楽観的な計画では持続が難しい。 
規模を小さくしなければいけないのは自明。 
小樽市の病院は、地域で必要なものをつくれば良いので、病床数388と出ているが、これが地域全体で病床数がいくつ必要なのか将来的なことを踏まえて適正な規模なのかかなり疑問。 

病院の建築コストが非常に高い。市は、このコストを下げることが話しに出ているが、基本設計が終わってから安くなると主張している。 

今出している平米あたり33万が高い数字で、この数字を出す前に、もっと安い金額で考える必要がある 
。三春町立病院は、どうやって設計施工一括のプロポーザル方式を取り入れたのか」と述べた。 
  

同大・大学院・野村信平さんは、「自治体病院の役割は必要と十分である。現在の市の計画では病床過剰になり、公的な役割を担う公的病院の民業の圧迫につながる。 
外部環境を含めて、札幌市との連携も必要性がある。将来、介護も非常に重要な問題。市立病院を大きな負債で建てた時に介護の問題はどうなるのか」とした。資料 

 司会の相内俊一氏は、「3人共通でおっしゃられているが、医療環境を維持するのは、新しい病院を建てることよりも、今ある病院が機能してもらうようにするかで、これまで小樽市と医師会でどういう連携があったのか疑問だ」と述べた。 

 医師会の高村一郎広報理事は、「ワクチンについては保健所と協議してきちんとやっているが、市立病院の統合については、医師会と小樽市と今年になってから 8月の討論一回です。 
昨年は一回も正式な討論が開かれていない。 
残念ながら、新病院新築について意識統一している状況ではありません」と指摘した。 

 この講演会終了後、小樽市医師会の津田哲哉会長は、「これだけの借金を背負ってやっていけるのか。 

急性期はカバー出来るが、老人や療養の問題があ る。若い人が逃げちゃえば老後の生活もままならなくなる。 
市は、過疎債が使えると言って喜んでいるが、過疎債を使えるまでにしたのは誰か。 
喜んでいるよ うだが恥の上塗り。 
病院に多額の過疎債を使えば、他のことにも使えなくなる不安がある。 
本当に借金が出来るのか、必要ベッドはどれくらいが、病院 担当者は他の人の意見を聞く必要があるのに、この場所にいないことは恥ずべきだ」と強い口調で話していた。