<医療・福祉プラス>病棟再編 浦河赤十字病院*看護師不足 運営綱渡り

2012.04.18

 

<医療・福祉プラス>病棟再編 浦河赤十字病院*看護師不足 運営綱渡り*過酷な勤務、地域の理解必要 
2012.04.17 北海道新聞 

 【浦河】浦河町の浦河赤十字病院(260床)で看護師不足が深刻化し、病院の運営体制を維持するのに綱渡りの状態が続いている。 
4月からは60床の一般病棟を看護師の配置が少なくて済む50床の療養病棟に転換したものの、夜勤が多くなるなど労働環境も厳しさを増しており、職員には疲労感が漂う。 
関係者からは、看護師不足を地域全体の課題として捉え、住民に協力を求める声が上がっている。(金子俊介) 

 四つある一般病棟(210床)のうち、一つの病棟を休止する-。 
昨年秋、同病院は今年4月からの運営体制について検討した。約150人いる看護師のうち、約30人の看護師が今年3月末で退職する意向を示し、付属の浦河赤十字看護専門学校などから採用予定の15人では今までの病棟を維持できなくなるためだ。 

結果的に数人を引き留めることができ、長期療養が必要な患者のための療養病床の導入など病棟を再編成することで危機を回避できた。 

 同病院の森田優事務部長は「これまで退職者数と採用者数は同程度で何とかしのいできたが、今回は若手の転職に加え、出産育児による退職が重なった」と言う。 
同病院は増改築工事中で、9月には外来や入院病棟が入る7階建ての新棟がオープンする予定。 
森田事務部長は「病棟休止を避けられ、ひとまずは安心した」と話す。 

☆獲得競争 

 人員不足の結果、労働環境にもしわ寄せが来ている。病棟に勤務する看護師のほとんどは午後4時半~午前1時の準夜勤と午前0時半~同9時の深夜勤を法律で定められている限度の月8回こなす。 

年休取得が容易でないほか、忙しさに追われ、納得のいくケアができないという葛藤もある。 
沢田まゆみ看護部長は「患者対応に影響がないよう、みな頑張っているが、現場は限界」とため息をつく。 

 看護師不足の要因として挙げられるのは、2006年度に導入された新しい看護配置基準。 
人材の獲得競争が激しくなり、好待遇を用意する都市部の病院に人が流れた。 

 一方、浦河赤十字病院に特有の事情もある。若手看護師の大半は浦河赤十字看護専門学校の卒業生で、毎年15人程度が就職する。 
3年間の勤務で学生時代に借りた奨学金の返済が免除されると、多くが日高管外出身者のため、都市部や故郷の病院に移ってしまうという。 
同病院関係者は「もともと縁がなく、若者にとって魅力のない過疎地域に残ってもらうのはかなり難しい」と漏らす。 

 看護師確保に向けて同病院は、看護学校へ地元からの入学者を増やそうと、中高生を対象に説明会や体験会など地道な活動を続けている。 
また、08年からは資格を持ちながら臨床現場を離れている「潜在看護師」の現場復帰を支援する研修会を開き、これまで6人の採用につなげた。 

☆支援の手 

 一方、道内では、地域住民に医療従事者を支える動きも出てきている。赤平市の市立赤平総合病院では、NPO法人赤平市民活動支援センターが主婦らに呼び掛け、08年からタオルをたたんだり、患者の院内誘導を行うボランティアを行っている。 
本来業務に専念できると、看護師からも喜ばれているという。同センターの佐藤智子理事長は「病院がなくなって困るのは住民。地域に病院を残したいという強い思いがある」と強調する。 

 浦河町の池田拓町長は「町民には、赤十字病院があって当然という意識が強く、そのありがたさを忘れがち。人材が不足する厳しい環境の中、支援する団体が浦河にも必要」と呼び掛ける。 

 沢田看護部長は「地域医療を守るためできる限りの対応をしていくので、地域住民にも個々の立場で共に考えていただきたい」と訴えている。