瀬戸際に立つ市民病院 四万十市

2012.03.22

 

『支社局からの報告』 瀬戸際に立つ市民病院 四万十市  歳出抑制は限界に 増収策打ち出せるか 
2012.03.15高知新聞   


 医師不足などで経営難が続く四万十市立市民病院。市は2012年度の資金ショートを回避するため、一般会計から計1億6300万円を病院会計へ基準外繰り入れする予算案を市議会3月定例会に提出した。 

常任委員会では可決されたが、本会議採決の可否の行方は不透明だ。多額の財政投入は経営改善につながるか―。 

 四万十市の市街地の一角にある同市民病院。取材に訪れた金曜日午前の内科外来は患者であふれ、人工透析室は約20人がベッドで治療を受けていた。 

 「もし、ここが無くなれば、どこへ通院すればいいのか…」。透析患者の男性(70)は不安を訴える一方、病院への注文も口にする。「待ち時間の解消とか、接遇向上とか、もっと気安く来られる病院にならないと」 

  ▼患者数半減 

 同病院は国の臨床研修制度の影響などで医師が激減。ピーク時の1997年に18人いた医師は現在8人。07年に夜間救急を休止し、5階病棟を閉鎖した。 

 医療報酬改定なども影響し、医業収益は10年間で約10億円減少。市は07年度に初めて基準外繰り入れに踏み切り、以後3年で計5億9千万円を投入した。 

 病院も09年度に「病院改革プラン」を策定。新たな医療報酬の獲得や経費削減に取り組んできたが、市民には「街中には民間病院も多い。 
なぜ公立病院が必要なのか」「医療の実態が見えない」との指摘も少なくない。 

 だが、10年度の外来・入院患者数は延べ約7万3千人に上り、10年前から半減しているとはいえ、6割は同市民。 
救急搬送も10年度は計461人で、同市と幡多郡黒潮町の急患の22・3%を受け入れる。幡多けんみん病院(54・2%)に次ぐ。 

 「急性期の患者を多く受け入れるなど、公立が果たす役割は民間とは違う。市民へのアピールが足りなかった」。大西郁夫事務局長は反省点を挙げる。 

  ▼平均44・9歳 

 同病院は市から基準外繰り入れ支援を受けた後も5千万~2億円の単年度赤字が続き、累積赤字は13億6100万円(11年度末見込み)に膨らんでいる。 

 歳出抑制で、11年度までの5年間で人件費を8%減らしたが、新規採用はほとんどなく、医師を除く職員の平均年齢は44・9歳。特に看護師は40代以上が74%を占める。

 そうしたいびつな年齢構成は将来、退職金による人件費増や医療水準の低下を招きかねず、材料費などの節減も含め「歳出抑制はそろそろ限界に来ている」(大西事務局長)。今後はいかに増収を図るかが鍵となる。 

 同病院は「医師確保は簡単ではない」としながらも、経営努力により11年度の医業収益は前年度比1億6900万円の増加に転じた。今後はサービス向上や民間病院との連携を強め、病床稼働率の向上による黒字化の方向性を描く。 

 瀬戸際に立つ市民病院への繰り入れ予算案の市議会採決は16日。(幡多支社・楠瀬慶太) 

http://www3.city.shimanto.lg.jp/hospital/pdf/kaikaku-plan.pdf