峡南3病院 進む統合協議 鰍沢、市川三郷、峡南=山梨2012.03.25読売新聞 

2012.03.28

 

峡南3病院 進む統合協議 鰍沢、市川三郷、峡南=山梨2012.03.25読売新聞  

 ◆国の支援受け 常勤医確保 

 峡南北部地域の市川三郷、富士川両町は、地元3病院の経営統合へ向けた協議を進めている。 
統合の対象として検討されているのは、社会保険鰍沢(富士川町)、峡南(同)、市川三郷町立の各病院。国の支援を受けて経営統合を図り、医師を確保するのが目的だ。(横山耕太郎) 

 ■内科医不在 

 2010年12月末の峡南地区全体の医師数は、人口10万人当たり約108人で、県内平均の約209人を大きく下回っている。全国平均約219人と比べても半数以下だ。 

 市川三郷町立の常勤医は、03年には15人いたが、現在では8人に減少。鰍沢でも03年に12人いた常勤医が現在は9人になり、09年からは内科医が不在となっため、内科の入院は現在、受け入れていない。 

 医師不足によって入院患者が減るなどし、10年の病床利用率は鰍沢が36・7%、市川三郷町立が50・5%、峡南が72・9%にとどまり、施設の有効活用ができていないのが現状だ。10年度の単年度赤字は、鰍沢が2億2730万円、市川三郷町立は846万円を計上している。 

 同一の診療科がある病院が複数あると、それぞれの病院が同じ科を専門とする常勤医を確保することになり、結果的に同一地域に病院が多ければ多いほど、常勤医派遣を受けることが難しくなる。これに対する有効な対策として浮上したのが3病院の経営統合だった。いずれも半径1・8キロ圏内にあって地理的に近いことも理由の一つだった。 

 ■廃止で紛糾 

 経営統合の協議が本格化したのは、09年11月に県が、峡南北部地域の医療充実を図る地域医療再生計画を策定し、国の交付金約7億円を財源に統合できることが決まってから。3病院の院長や両町の町議らがメンバーを務める地域医療体制調査検討委員会を2町が10年9月に設置し、2町の主導で地元の医療充実が動き始めた。11年4月には同委員会が、「医師の確保、救急医療態勢の構築などのため、3病院の経営統合が望ましい」と結論。これを受けて同年12月には「市川三郷町・富士川町新病院設置協議会」が設置され、統合へ向けた具体的な検討が進んでいる。 

 3月7日の協議会では、オブザーバー参加している山梨大医学部の佐藤弥(わたる)教授(54)が、経営統合の具体的な筋道について初めて素案を示した。素案は、▽鰍沢は手術機能を充実させ、全154床を一般病床とし救急医療に対応する▽市川三郷町立は病床数を100から60に減らし、時間外診療、手術は行わず、回復期の入院や在宅医療、人工透析を担当する▽峡南は廃止する--という内容だった。 

 医療機材や病床を有効に活用し、収益の確保も考慮した素案だったが、峡南の廃止案に反対が相次いで議論は紛糾。14日には協議会の副会長を務める志村学・富士川町長が峡南病院を訪れ、職員や患者らを前に、同病院の廃止について、「一つの案であって決定ではない」と説明した。 

 さらに、鰍沢と市川三郷町立の機能についても意見の対立は続いている。関係者は「市川三郷町立は町が運営しているため、町民には『血税で守ってきた』という意識が強い。経営統合にも影響しているのではないか」と解説する。 

 ■不安な「交通弱者」 

 経営統合の動きを複雑な気持ちで見守る病院利用者も多い。富士川町の村松とみこさん(75)は週3回ほど、片道10分ほどを歩いて峡南に通っている。「先生の対応が丁寧。同居する息子も勤めがあって送り迎えはできないので、他の病院に通うのは大変」と話し、不安げだ。 

 南部町南部、窪田正人さん(67)は月に1回、市川三郷町立にJR身延線で通っている。「駅からすぐなので通いやすい。運転ができないので助かる」と静かに話した。 

 国の交付金を経営統合の財源にするためには、計画を13年度末までにまとめる必要がある。残された時間は少ない。 


《A》鰍沢病院 

〈1〉158床(4床は感染症) 

〈2〉9人 

〈3〉全国社会保険協会連合会 

《B》市川三郷町立病院 

〈1〉100床 

〈2〉8人 

〈3〉市川三郷町 

《C》峡南病院 

〈1〉40床 

〈2〉3人 

〈3〉医療法人峡南会 

 ※〈1〉病床数〈2〉常勤医師数〈3〉運営母体 


 ◇一連の経緯 

2009年11月 県が地域医療再生計画策定 

  10年 9月 市川三郷、富士川両町が「地域医療体制調査検討委員会」設置 

  11年 4月 委員会が「経営統合が望ましい」と結論 

      9月 両町長が「経営統合に向け任意協議会で検討する」と発表 

     12月 両町の「新病院設置協議会」発足 

  12年 3月 佐藤弥・梨大教授が素案発表