鴨川 医療で地域おこし、学校改革// 地元に根付く人材育成

2012.02.07

鴨川 医療で地域おこし、学校改革 地元に根付く人材育成 
「コミュニティースクール」の長狭高校 

2012年2月6日(月) 千葉日報 

 県立高校で新コース設置や統廃合など高校改革案が示される中、新年度から本格的に、地域社会が学校運営に参画する「コミュニティースクール」となる鴨川市の県立長狭高校(根本哲一校長、生徒562人)は、医療機関に恵まれた市の特長を生かし、2014年4月をめどに「医療・福祉ユース」の設置を目指す。地域社会が連携し、将来の鴨川の医療・福祉を支える人材を育成する取り組みを進める。 
(館山・鴨川支局柴田智弘) 

 長狭高校は1922年設立、今年90周年を迎える伝統校で、かつては全校生徒が1200人を超えた。しかし、近年では生徒数が半減。統廃合の可能性もささやかれ始め、学校改革は喫緊の諌題となっていた。 


学校運営に参画 

 同校は2009、10年度の2ヵ年、文部科学省の調査研究校となり、本年度は県の指定校として継続している。コミュニティースクールは全国に789校あるが、高校は長狭高を含めて5校しかない。 

 コミュニティースクールでは、保護者や地域社会が参画する学校運営協議会が設けられるのが特徴で、学校運営の基本方針を承認したり、学校運営や教職員の採任用に意見を述べる-といった権限を県教委から委譲される。 

 座長を務める鴨川市の長谷川孝夫教育長は「地域に必要な魅力ある学校となることで、学校が盛り上がり、地域も学校によって活性化することが狙い」と相乗効果を期待する。 


学校の活性化とまちづくり・人づくりの両立を議論する根本校長(左)と長谷川教育長 


新コースを設置ヘ 

 地域と学校が連携した3ヵ年の実績を基に、同校が示したのが「地域で生きる医療者を育成する」というキャリア教育と、そのための新コース設置だった。 

 3万人都市の鴨川市では、市内にある亀田メディカルセンター関連の医療・福祉従事者が約3600人に上る。子どもが地域に残って働く場所として、医療機関は現実的であり、魅力的だ。 


医療・福祉コースの導入を目指す長狭高校=鴨川市 

 実際、同校の進路希望では生徒の2割が医療関係を挙げる。また看護師不足問題は地域問題として住民の関心も高く、看護師を養成する4年制の亀田医療大学が新年度に開学する。長谷川教育長は「学校改革がまちづくりに直結する。ニーズもあり学校改革のチャンス」と意義を強調する。 

 医療・福祉コースは、一部の進学校が取り入れている大学受験を目的にした特進クラスとは異なる。普通科で全員入学し、1年生から亀田メディカルセンターの医師だけでなく看護師、薬剤師、理学療法士、検査技師らさまざまな医療に従事する人から講義を受け、職場を見学。モチベーションを高め、2年生からコースに別れる。亀田医療大学の授業を36単位まで繰り入れることができる高校大学連携も進める。「医療人として生きることを、しっかりと動機付けできる学校」というのが理念だ。 

 ただ、卒業生がすぐに医療人になるわけではない。大学や専門学校に進み、鴨川に帰ってくるのはさらに数年後。10年後のまちづくりを担う人づくりを、学校改革から始める。