不正受給は6000件 「地域医療に損失」謝罪-熱海温泉病院

2012.02.14

不正受給は6000件 「地域医療に損失」謝罪-熱海温泉病院  
2012.02.13静岡新聞  

 熱海市伊豆山の熱海温泉病院を運営する医療法人社団翔健会(西田佳史理事長)は13日午前、同病院で会見を開き、2006年7月から11年1月までの4年6カ月間、保険医療の診療報酬を6千件不正受給していたと発表した。 
東海北陸厚生局静岡事務所の監査で、このうちサンプル600件について約1億5千万円の不正が判明したという。小坂博前理事長は「地域医療に損失を与え責任を感じている」と謝罪した。 

 説明によると、監査は10年12月から今年1月30日まで行い、6千件分の不正受給額の全容を解明するよう病院側に指示した。 
同病院は単純計算で10倍の15億円程度を見込むとし、患者の窓口負担分3割を加えると20億円程度に上る可能性があるとしている。 

 同会は不正に得た診療報酬の使途について「病院収入として入って、一般の運営費として支出した」と説明した。同会の負債は診療報酬の返還額を除き債権者395人で24億4700万円に達する。 

 同会は10日に東京地裁に破産を申請した。 
破産手続き開始まで高松薫弁護士が保全管理人を務める。返還金の弁済については「破産に移行してから財産を金に換えて法律上の優先順位に従って分配していく」とした。 

 同病院は、患者25人に対し看護師1人が必要とされる医療法が定める看護基準に満たない職員数で診療を行い、看護師数を水増しして入院基本料を請求していた。 

 従業員70人は3月末で解雇する。医療保険の療養病床113床のうち13日現在、入院中の患者68人の転院が終わり次第、閉院する。 

 会見には昨年5月まで理事長をしていた小坂前理事長のほか、同病院の小林信仁院長、岩田道明事務長らが出席したが、西田理事長は「都合がつかない」として欠席した。 

 東海北陸厚生局静岡事務所は「個別の案件については答えられない」としている。 

 同病院は05年9月から09年7月までの間、同様の手口で介護報酬約4億3千万円を不正受給し、県が介護保険事業者指定を取り消し処分した。 


 ■転院迫られ重い負担 

 巨額の診療報酬を不正受給し、2月末にも閉院する方針を示している熱海市伊豆山の熱海温泉病院。 
13日現在、68人いる入院患者は他地域に転院せざるを得なくなり、患者の家族は病院側の身勝手さに戸惑いの声を上げる。 

 4年前から寝たきりの母親(94)が入院している伊東市の男性(73)は、「2月の頭に突然、閉院を知らせる手紙が届いた。 
医療スタッフが親切な病院だと思っていたので残念。転院は母にとって非常に負担になる」と嘆く。 

 男性の母親は同日、東伊豆町内の病院に転院する。しかし長くても半年しか入院させてもらえないという。 
「次の入院先をまた探さなければならない。母がたらい回しにされるようで悲しい」。患者と家族の苦悩は続く。 

 同院は内科、整形外科、皮膚科の外来診療も行っている。院内に温泉施設もあり、付近の高齢者がリハビリなどに利用していた。 
地域医療の一端を担っていた施設の不祥事に、熱海市の斉藤栄市長は「患者が路頭に迷うことのないように処置してもらいたい」と、病院側に誠意ある対応を求めている