和歌山県立医大:不透明資金 医局、相次ぐ不祥事 「地域医療に必要」擁護の声も

2012.01.10

和歌山県立医大:不透明資金 医局、相次ぐ不祥事 「地域医療に必要」擁護の声も 
2012.01.06 毎日新聞 
  
腎臓内科・血液浄化センター(医局)の秘書らの給与を、関連病院が支払っていたことが明らかになった和歌山県立医大(和歌山市)。 
背景には「医局人事」と呼ばれる関連病院への医師派遣があり、さまざまな便宜を期待しての金品も飛び交う。医局の閉鎖性に対する批判が上がる一方で、「地域医療に必要」と擁護する意見も根強い。多くの関連病院を事実上支配する医局の功罪は――。 

 医大の講座や診療科ごとに任意で設置され、教育、研究、診療すべての拠点になる医局。 
トップの教授は、外部の病院に医師派遣する際の人事権も握る。 

 医大の中で医局は「独立王国」と言われ、「学長のコントロールも行き届かない」(医大元幹部)。 

一方、医師を確保したい病院側は、医局とのパイプを維持するため、「教授には絶対服従」(和歌山市内の病院幹部)という。こうした主従関係が、全国で不祥事の温床になってきた。 

 奈良県立医大では、教授ら3人が病院から医師派遣の見返りに計約3700万円を受け取ったとして、00~01年に大阪地検特捜部が収賄容疑で逮捕・起訴。北海道や東北地方などの国公立大医学部でも02~06年、派遣先の病院から商品券などの付け届けや、顧問料などの名目で多額の現金を受け取っていたことが相次いで発覚した。 

 弘前大(青森県弘前市)では、強大な権限を持つ医局の体質に問題があったとして、02年度に医局制を廃止。04年度から医師派遣の人事権を医学部長らで構成する「地域医療対策委員会」に移行し、病院からの付け届けは断っているという。 

 一方、医局の必要性を指摘する声もある。和歌山県内の医師は「強い指導力を持つ医局があるから、地方の遠隔地にも医師が派遣される。 
医局の『束縛』がなければ医師は都市部に集中し、地域医療が崩壊しかねない」と話す。 

 医局を通さない医師派遣の仕組み作りも始まっている。厚生労働省は11年度、登録した医師を医師不足の病院に優先的に配置する「地域医療支援センター」制度を15都道府県で導入。 
行政や医大、民間病院が連携して運営する。 

 和歌山県も独自に、同センターを県立医大に設置した。ただ、設置に関わった民間病院幹部は「協力してくれない医局もあり、運営は難しい。教授は『一国一城のあるじ』という意識が強く、医局の壁は高い」と実情を明かす。【酒井祥宏、近藤希実】 



 ◆医師派遣先の病院から国公立大医学部への金品提供が発覚した主な事例◆ 

北海道大   教授が97~03年、3公立病院から計4500万円超の顧問料 

弘前大    00~05年度、21公立病院から商品券・贈答品など約1230万円分 

岩手医大   02年度、23県立病院から中元・歳暮約722万円分 

東北大    教授10人が02年度、公立病院から委託契約などの名目で計約1000万円 

福島県立医大 00~03年度、公立病院から現金・商品券など計1783万円分 

三重大    教授が93~99年、勤務実態のない民間病院から報酬計1080万円 

奈良県立医大 教授ら3人が95~01年、民間病院から計約3700万円受領(逮捕・起訴) 

広島大    教授が00~04年、民間病院から計約2350万円受領(逮捕・起訴)