社説 県内中核病院(日本海総合病院など)で臨床実習・医師の定着促進に期待

2012.01.21

 

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社説 県内中核病院(日本海総合病院など)で臨床実習・医師の定着促進に期待 
2012.01.19 山形新聞朝刊  


 山形大学医学部の臨床実習生を地域の中核病院が受け入れることになり、それぞれ協定を締結するとともに、早速、締結した3病院におのおの2~3人の実習生が配属されて実習を開始した。 

こうした地域での実習を通じて地域医療への理解が深まり、医師の地元定着につながるよう期待したい。 

 今回、山大医学部と医学生の臨床実習を受け入れる協定に調印したのは山形市立病院済生館、公立置賜総合病院と日本海総合病院の3病院。 

これまで臨床実習はほとんど山大付属病院に限定されていたが、地域で医師を養成する仕組みと機運の醸成を図りたいと医学部、病院、県などが検討を進めてきた。 

県は、医師の確保・定着を促進できるとして、実習生の交通費や宿泊費を助成するため本年度1千万円を予算化した。 

 医学部は2009年に、患者の診察、検査、治療に携る参加型の臨床実習認証制度「スチューデント・ドクター(学生医師)」を採用。 

知識と実技の試験でスチューデント・ドクターと認定された4年生を対象に1月から1年半にわたって付属病院内で実習をする仕組みをつくった。 

5年生になって指導医の下で事前に承諾を得た患者の診察にも参加する実習の一部を3病院でも行う。 

現在、3病院では約4週間、医師の診療に同行しながらの実践研修を予定している。 

 厚生労働省のまとめによると、2010年10月時点の医師数(常勤換算)は全国平均で人口10万人当たり152・6人。本県の医師数は前年比3・1%増の1661人で10万人当たり142・1人。 

東北では秋田県(153・4人)に次いで多いものの全国平均を下回っており、その確保は長年の課題になってきた。 
そこで県は医学生や研修医を資金面でサポートする修学資金の拡充を進める一方、本年度初めて高校1年生を対象に「医師・看護師体験セミナー」を開催し、高校生から医大生、専門医までを長期間にわたって支援する「生涯サポートプログラム」を本格スタートさせた。 

 今回の地域中核病院による臨床実習受け入れは、地域の医療実態やニーズを知ってもらうための格好の機会、体験になる。 

その体験が卒業後に研修医として研修先に臨床実習した病院を選択する例が増えれば、県外流出を食い止め、県内定着につながるのではないかとみている。 
その意味では、中核病院関係者の期待も膨らんでおり、研修の充実に心掛けたいとしている。 

 本年度のスチューデント・ドクターの認証式と同じ16日に、5年生の地域中核病院での臨床実習も始まった。 
今後、3病院は6月までの半年で計38人を受け入れる予定だという。 
また参加病院も順次拡大する方向になっている。 

医師を志す学生が県内の中核病院で実習を重ねることは、「地域で医師を養成していく」。
中核病院の関係者だけでなく患者として接する県民もこうした気持ちで医学生を迎えたい。

今後、臨床実習を積み重ねていくことが、医学生の地域医療はもちろん地域そのものへの理解にもつながって将来の医師確保、地元定着に貢献するはずだ。 
この県広域連携臨床実習協定をしっかり育てていきたい。