5病院 存続へ診療分担 南相馬 地域医療を維持 市計画・・ 福島

2012.01.19

5病院 存続へ診療分担 南相馬 地域医療を維持 市計画案=福島 
2012.01.17読売新聞   


 東京電力福島第一原発事故の影響で、原発周辺地域の医師や看護師が激減しているのを受け、南相馬市内五つの総合病院(計872床)が、それぞれに診療分野を振り分けて経営効率を高め、再編する方針を決めたことがわかった。避難による患者の激減などで経営難にも直面しており、地域医療の崩壊を止めるのが狙いだ。(上村健太) 

 再編対象は、同市原町区の、 

市立総合病院(230床) 
大町病院(188床)、 
小野田病院(199床)、 
渡辺病院(175床)と、 
同市鹿島区の鹿島厚生病院(80床)の5病院。 

各病院の代表者が昨年12月、市の設置した「地域医療在り方検討委員会」で、「5病院で一つの病院として機能させる」ことを決めた。 
17日にも市が計画案を県に提出し、2月中旬をめどにまとめる県の復興計画に盛り込まれる見通し。既存の診療科目は存続させるが、人材確保や予算を得意科目に重点配分する。 

 市立総合病院が脳神経外科や周産期医療、大町病院が内視鏡の運用や歯科口腔(こうくう)外科、小野田病院が高齢者医療や人工透析に特化する。 
鹿島厚生病院はリハビリ診療を担い、渡辺病院は検診を中心に、人材確保や施設の整備を進める。各病院が得意とする分野に振り分けて効率化を図り、存続を図る方針だ。 

 大町病院の猪又義光院長は、「限られた人材と予算を有効に使って、地域医療の振興につなげたい」と話している。 

 ◆医師や看護師激減 復職…再び退職も 

 全域が警戒区域になっている双葉町の病院では医師や看護師が半減するなどし、一部が同区域の南相馬市でも、医師らの休職や退職が相次いでいる。 

 大町病院では原発事故の後、一時原則として入院患者を受け入れられなくなった。 
入院関連が収入の7割を占めていただけに、経営面で大きな痛手となり、医師給与7割カットなどの対応を余儀なくされたこともあった。 

 いったんは復職した看護師が再び退職する事態も相次いでいる。 

 「復職しましたが、やはり今の病院の忙しさにはついていけません」。 
1月中旬、大町病院のある看護師が、看護部長の藤原珠世さん(53)に退職を申し出た。
10月に復職したものの、極度の人手不足の中、ぎりぎりの状態で続く業務についていけないとの理由だった。 
昨年12月にも、9月に復職した20歳代の看護師が「放射能汚染に不安が残る南相馬で子育てはできない」と、退職を申し出たばかりだ。 

 復職した看護師のうち、退職・休職を申し出ている人は既に6人ほどいる。 
藤原さんは「看護師の多くは母であり主婦。 
人の人生に口出しはできない」と諦め気味だ。 
同病院では、震災前98人いた看護師は大半がいなくなり、1月中旬現在ようやく53人まで戻った程度だ。 

 一方で、緊急時避難準備区域が解除された昨年9月以降、患者は増え続けている。 
同病院では昨年11月の手術件数が、震災前の月平均件数に匹敵する約40件に達した。 
だが、看護師が足りない。188床の病院で入院患者は約65人。 
看護師数などを基に厚生労働省に届け出ているのは57床だけで、実際には満床を超えている。 
国は現在、復興支援のための緩和措置を取っているが、春までには期限が切れ入院患者の受け入れはさらに厳しくなる見通しだ。