宮城・石巻/被災市立病院の再建多難/補修案に市民疑問視/共同運営は市否定的




宮城・石巻/被災市立病院の再建多難/補修案に市民疑問視/共同運営は市否定的 
2011.08.17 下野新聞  
  

 東日本大震災で津波の直撃を受けた宮城県石巻市の石巻市立病院。 
市は財政負担軽減を図るため、被災建物を補修する再建案を決めた。 
ただ病院が面する旧北上川岸壁は押し流され、今も水が引かない。 
市民からは「なぜ危険な場所で再開するのか」と疑問視する声が上がり、市立病院との共同運営を目指す「ライバル病院」は別の再建案を提示。 
被災5カ月を経ても方向性には不透明感が漂う。 

 震災前の市立病院は206の一般病床と14の診療科を持ち、石巻市と周辺の約20万人が住む地域の中核的な病院だった。 
津波で5階建て建物の1階部分が水没、一時は患者も取り残された。 
4月から約1キロ離れた高台に設置した仮診療所で内科など7科に限定して診療を再開したが、入院や救急医療は不可能な状態が続く。 

 ■現在地で 

 市は当初、内陸部に仮設病院を建設する構想を温めてきたが、別の場所で仮設を建設すると財源に見込んだ国の補助金が受けられないことが判明、被災した現在地での再建へと方針転換した。 

 安全性を危ぶむ声に対し、市は津波を受けたものの建物の構造は保たれたことを強調。 
旧北上川に約3メートルの仮堤防を設けるとともに、診察室や病床、高額の医療機器などは2階以上に配置する「減災案」を示す。 

 ■共同運営で 

 市とは別の再建案を提示したのは市立病院とともに地域医療を支える石巻赤十字病院(同市、402床)だ。 
海岸から5キロ以上内陸にあり震災の被害を免れ、被災した市立病院や開業医からの患者が殺到。 
あふれる患者に対応するために年内にも敷地内に80床程度の「仮設病棟」を新設することを決めている。 

 仮設病棟で市立病院の医師や看護師に働いてもらい、将来的には市と赤十字が病院を共同運営することを検討する構想で、県や各病院に医師を派遣する東北大(仙台市)も同調している。 

 ■地域医療は… 

 だが、石巻市はこの構想に「合併名目に、地域の総ベッド数が減らされる」「病院が二つあれば災害時のリスクを分散できる。 
競争で病院機能も向上する」と否定的だ。 

 市は市立病院の年内の補修着工を目指すが、市立病院の医師の半数が既に退職した。 
「手術ができず、技術を維持できない。 
精神的にもつらい状態」と在籍する男性医師は明かす。「単独で再開するか、赤十字病院と一緒になるのかは、どうでもいいこと。 
大事なのは地域医療の機能をどう取り戻すかだ」と話した。