医療再生の扉-掛川・袋井 統合新病院着工(中)=負担割合-鍵握る一層の歩み寄り



医療再生の扉-掛川・袋井 統合新病院着工(中)=負担割合-鍵握る一層の歩み寄り  
2011.08.03 静岡新聞      

 6月24日、掛川市議会の新病院建設・地域医療対策特別委員会。掛川、袋井両市でつくる新病院建設事務組合が新病院の名称の決め方について「一般公募も含めて検討する」と報告したところ、全掛川市議で構成する委員から「一般公募に限るべきだ」との声が相次いだ。 

 名称決定は新病院開設までの工程で市民の関心が最も高い作業の一つ。 
特別委が見せた“猛反発”の裏には、明らかに袋井側への配慮があった。 

 7月30日に新病院本体起工式を済ませ順調に進むハード整備とは裏腹に、袋井市民のデリケートな感情は今もくすぶり続けている。 
病院の所在地を掛川に譲り、まちづくりの重要な要素でもある公立総合病院を地元から失う。 
現市民病院利用者からは「名前まで(行政や議会など)内々で決められてしまうのか」「せめて袋井の文字は残してほしい」などの本音が聞かれていた。 
新病院建設事務組合は同28日、名称を公募で決めると正式決定し、掛川側の配慮が形になった。 

 今後議論が本格化する運営費の負担割合決めも火種になりかねない。不採算部門など運営上生じると見込まれる年間数億円の必要額を両市が補填(ほてん)し合う。 
2年前におおむね掛川6・袋井4で落ち着いた総額225億円に上る建設費の負担割合の際は、袋井側から「掛川の病院にうちがカネを出した」との皮肉まで飛び出た経緯がある。 

 こうした事情を背景に、掛川の堀内武治市議は「(掛川は)『今後はできるだけ袋井の思いを尊重しよう』という雰囲気になっている」との姿勢を明かす。 

 袋井の一部には「中東遠全体の医療問題であり、軽々に負担が低ければいいという話ではない」(大庭通嘉市議)との意見もある。 
ただ、袋井市民の新病院への利用者減を見通す試算もあり、負担割合を極力下げるよう主張するというのがおおかたの見方だ。 

 市民レベルまでの“一体化”に向けて鍵を握る両市間の融和。新病院組合管理者の原田英之袋井市長は「さまざまな感情があることは承知している」としたうえで、「いい医療を提供すれば(不満などは)消えるはず」とあくまで質の高いサービスで答えを見いだす考えを示している。 

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 ■メモ 

 ▼総事業費 

 概算225億円。用地費は当初見込みを下回ったが、施設部分は敷地内への保育所の追加整備などで増えた。その分は医療機器・備品や情報システムの予算でやり繰りする。