崩壊した市の病院改革プラン 迫られる抜本的見直し  病院特別委



崩壊した市の病院改革プラン 迫られる抜本的見直し  病院特別委 (小樽ジャーナル2011/06/24) 

 改選後初の小樽市議会の「市立病院調査特別委員会」(山田雅敏委員長)が、6月23日(木)13:00から、市役所別館第2委員会室で開かれた。 

 山田勝麿前市長は、市立2病院の統合新築を最重要公約に、新市立病院の建設に邁進した。築港地区での建設に踏み切り、基本設計を発注したが、自ら招いた財政悪化で、新病院建設のための起債許可が取れず、建設中止に追い込まれた。 

 しかし、3期12年の任期の最後に、今度は、これまでの方針を大転換し、市立病院の現在地に隣接する量徳小での建設に舵を切った。基本設計に続き、今年3月の任期最後には、実施設計を発注した。 

 4月の市長選には、山田後継として、自・公・民の3党と連合小樽・小樽商工会議所の2団体の5者相乗りの中松義治新市長が、新人の猛追をかわし当選した。中松市長は、新市立病院問題では、山田前市長の政策を全てまる飲みで踏襲した。このため、新市長にとっても、実施設計の起債許可を取ることが緊急の課題となった。 

 国の起債許可を取るためには、総務省の公立病院改革ガイドラインをクリアすることが必須の条件だ。このため市は、2009(平成21)年に「小樽市立病院改革プラン」を策定し、数値目標を掲げた。計画期間は、2009(平成21)年度から5カ年の2013(平成25)年度までだった。ガイドラインをクリアするためには、決められた不良債務比率や資金不足比率(健全化法・地財法)をクリアする必要がある。 

 同特別委に、小樽市病院局は、「建設工事の発注方法について」、「小樽市立病院経営改革プラン平成21年度評価報告書」、「『小樽市立病院改革プラン』の平成22年度の進捗状況について」、「新病院の収支試算」、「起債償還の見込み」、「平成22年度病院事業経営状況について(業務量等の前年度比較)」、「平成22年度病院事業経営状況について(収支状況の前年度比較)」の7つの資料を提出。また、北海道と進めていた起債協議について、5月末に北海道から総務省に関係書類を提出したと述べた。 

 提出された資料の中では、平成23年3月31日の「小樽市立病院経営改革プラン平成21年度評価報告書」が注目される。同書の最後には、「改革プラン策定からまもなく2年間が経過し、また当初の数値目標の達成は著しく困難な状況にあると考えられることから、平成22年度の結果によっては、早ければ平成23年度にも改革プラン全体の抜本的見直しあるいは全体的な改定を行うことを検討されたい」と強く指摘されていた。付けられた各委員のコメントも厳しく、評価表も「プランの目標は達成できていない」とするC評価が大半だった。 

 しかし、4月に市長選があり、この報告書は何故か公にされず、今回になってようやく公表され、23日の特別委の開催後に、病院のHP(ホームページ)にアップされるという奇妙な動きが見てとれる。 

 市の新病院建設のスケジュールは、財政面では、2011(平成23)年3月に実施設計予算が通過。5月に道庁に起債計画書を提出。道と国との協議を経て、10月に許可申請。2012(平成249年3月末に起債借入としている。工事関係面では、2011(平成23)年12月、議会に工事費予算案提出。2012(平成24)年3月上旬、工事入札。同下旬、工事着工。2014(平成26)年3月、本体工事竣工。夏に開院の予定となっている。 

 同特別委では、与野党を問わず、改革プラン、起債償還、収支試算、発注方法などについて質疑が行われた。 

 「医者を入れることで収入増を図るというが、医者が集まらない中での収入増を考えていかなければならないのでは。収支試算が甘い感じがする。償還計画で、23・24・25年と医療収入が上がっている根拠は何か。後志の医療需要は、平成35年にはマイナス18%の2割ぐらい減少する予想が出ている。民間出身の市長は、数字には厳しいと思う。この病院局の償還計画を見て不採算部分がある」(上野智真委員・自民党)と質した。 

 「平成23年は目標設定で患者増を見込んだ。24年度はセンターに医師1名採用の効果が、24・25年度と現れる。医師採用での収入増を見込んでいる」(病院局) 

 「将来予測は厳しいものだが、資料4(新病院の収支試算)は目を通している。銀行時代、それなりの規模の病院に融資をしたことがある。こ の計画自体はしっかりした計画で、医師の問題などをしっかり実現することが大事。今後とも病院運営のそのときどきで対処したい」(市長)と答えた。 

 また、「退職金の積み立ては、現在、積み立てる余裕もなく、積み立てていない。地公法の改正で積み立て義務が生じてくるので、積み立てていかなければならないと思っている」(病院局)と退職金の準備ゼロであるお粗末な懐具合も明かした。 

 「今後、55歳以上の人口も減ることになるが、90%を保てる根拠は。病院の業務委託には随意契約が多い。 職員の給与を下げるより、この契約の減少率が低いので契約方法の見直しを」(成田祐樹委員・一新小樽)と質した。 

 「55歳の人口は1割減るが、そこまで患者は減らない。小樽市民が、市内の病院に入院するのは75%で、市立病院の医者が少なくなったことで札幌に出ることが多くなっている現状だ。毎年1%減っているが、今、それがやっと横ばいになった。、市立病院が充実することで札幌に行かなくても良いようになると思っている。1日平均344人の患者数がどうかといわれても今は決して無理な数字ではないと思っている」(病院局)と答えた。