[かごしま医療過疎]後期研修医確保を/鹿児島大入局が半減、派遣医不足深刻



[かごしま医療過疎]後期研修医確保を/鹿児島大入局が半減、派遣医不足深刻 
2011.06.18 南日本新聞  
  

 出水地区など鹿児島県内の医師不足が深刻になっている。 
背景に地域への医師派遣を担う鹿児島大学の医師不足がある。 
大学の医師が所属する各診療科医局への入局者は、7年前の半分近くまで減少し、医師引き揚げの大きな原因になっている。大学への入局者確保は、地域医療の緊急の課題だ。(社会部・税所陸郎) 

 医師免許取得後、自分が進みたい内科系や外科系の専門教室(医局)に所属するのが入局。 
入局することで、同じ専門を目指す先輩医師から指導を受けたり、関連病院に出向するなど経験を積む。 
卒業後、出身大学の医局に入局するケースがほとんどだった。 

 ところが、2004年度に始まった「卒後臨床研修制度」で、新人医師に2年間の初期研修が義務づけられた。現在は3年目以降の後期研修で入局する。鹿大は06年度81人の入局があったが、07、08年度はともに62人。 
11年度は46人にとどまった。同病院総務課は「入局者の減少を肌身で感じるとの声が上がっている」と切実な現状を説明する。 

 背景にあるのが、初期研修医の県外流出だ。研修先を自由に選べるため、都市部や有名大学・病院に集中した。 
鹿大医学部卒業生のうち、04年度の同大での初期研修医は60・2%に当たる68人。05年度は39・1%、11年度は11・4%まで落ち込んだ。 

 鹿大を卒業して県外で初期研修を受けた人が、後期研修で再び鹿大に戻ったケースは「09年度以降、数人程度」(同課)。 
初期研修医の流出が、そのまま後期研修医の減少につながっている。 

 大学から地域へ派遣されるのは、入局して数年たった若手やベテラン。 
後期研修医が減れば大学病院自体の診療にも影響が出る。派遣医を引き揚げざるをえないのが実情だ。 

 同病院産科・婦人科の堂地勉教授によると、00年ごろ同科は出水、曽於地区や宮崎県などの病院に医師10人ほどを派遣していたが、現在は1人だけ。大学の常勤医も約25人から19人に減った。 

 大学医局は教育や診療、研究をこなす上、独立行政法人化で大学病院自体の採算性も求められている。 
堂地教授は「以前より仕事量は増えているのに、医局の人材が乏しい。どこの診療科の状況も同じようなものだろう」と話す。 

 09年、医療関係者らが協力し設置した鹿児島県初期臨床研修連絡協議会は、県外で進路相談会を開くなど、医師不足解消へ努力を続ける。 

 後期研修医を増やすには、初期研修と同様、研修プログラムの中身の濃さや充実度が大前提。 
新人医師へ魅力をいかにアピールできるかがかぎだ。中村一彦会長は「県や病院、医師会など“オール鹿児島”で、今後成果が出ると期待している」と話した。