医学部長病院会議 医学部新設「百害あって一利なし」



医学部長病院長会議  医学部新設「百害あって一利なし」 
2010.02.24 日刊薬業   

 全国医学部長病院長会議(会長=小川彰・岩手医科大学長)は22日までに、「新たな医学部の増設と急激な医学部定員増に対する慎重な対応を求める請願について」と題する要望書をまとめ、国公私立大全80校の学部長や病院長らの連名で、鳩山由紀夫首相らに提出した。 

医学部の定員増や新設に対応するには、教員として地域の勤務医を大学に引き揚げる必要があり、結果的に地域医療の崩壊が進むと主張。「百害あって一利なし」と慎重な対応を求めた。 

 要望書では、医学部を運営するのに必要な臨床教員(臨床医)数は1大学当たり647.5人とのデータを提示。 

2008年の厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」のデータから100万人規模の都道府県の病院勤務医は約960人と想定されるとした上で「1つの医学部を新設することは、100万人規模の都道府県の勤務医の3分の2以上を現場から連れ去ることになり、都道府県1県の地域医療を崩壊させる」と指摘した。 

また定員増の場合でも、臨床教員の候補となる医師は「現時点では地域医療の中核として働いている 30~40代の病院勤務医以外にはいない」と説明し、教員として招けば「地域病院の医師不足を加速する」とした。 

 医師数については「現時点でも毎年約4400人ずつ増加している」と説明し、医師養成数を1.5倍にすると、6年後には民主党のマニフェストの目標値であるOECD平均の『10万人当たり300人』に到達するとした。 

日本の人口は減少傾向にあることから「その後、10年を待たずに世界一の『10万人当たり400人』に達し、その後も急激に増え続けることになる」とし「医師の飽和状態」を懸念した。 

 目標達成後の医師の安定供給についても提言。 
目標とする医師数の増員達成後は1校当たり約50人の定員でも充足するとし、「設備投資に多大な資金を投入し、教育者を雇用した後の定員削減は容易ではない」と訴えた。 

●「増員していく必要がある」  文科省・徳永高等教育局長 

 一方、文部科学省高等教育局の徳永保局長は22日、東京都内で開かれた国公私立大学医学部長・医学部附属病院長会議のあいさつで、医学部の入学定員に触れ、大臣・副大臣と意思統一しているとした上で「増員していく必要がある」との見解を示した。 

ただ「将来の段階では減らしていく必要がある」との認識も示した。 
入学定員増を危惧する声があることについては「関係者から意見があることは承知している。慎重に検討・対応していきたい」と述べた