医療者にはタレントの側面がある いつも明るく ほがらかでありたい。




医療者にはタレントの側面がある。 
いつも明るく、ほがらかでありたい。キャリア・ナース応援マガジン(PHILIA(フィリア)
2010年4月号) 
 


学校法人鉄蕉館 理事長 
医療法人鉄蕉会 亀田クリニック院長 亀田省吾 
  

「Team STEPPS」導入でチーム医療をより良く機能させる 
 近年、医師と看護師はもちろん、さまざまな分野の医療者をも含んだチーム医療の重要性が、あちこちで言われるようになってきました。 
背景には日進月歩の医療技術の進歩もありますが、医療費が年ごとに抑制されている点も大きく影響しています。 
  
しかし、歴史的に見ても、設備などが十分でない部分を医師と看護師が協力し合い補ってきたのが日本の医療ですから、実は声高に「チーム医療を」と叫ばずとも、日本の医療界には基本的なマインドは十分に根づいていると感じています。 
  
 とはいえ、チーム医療の真の実践は、私たちが考えているよりはるかに難しいものです。
たとえば、チーム医療の先進国とみなされるアメリカでさえ、スタッフの“協力”よりも、スタッフの“役割の細分化”が進んでしまい、チーム医療を行ううえでさまざまな問題が発生していました、そこで同国医療界が導入したのが、潜水艦内で重要な情報を迅速に伝えるために発達したと言われる「Team STEPPS」。 
直訳すれば「チームとしてのより良い実践と患者の安全を高めるためのツールと戦略」を意味するこのブログラムを、亀田総合病院では、まず産科医療のフィールドに導入し、順次院内全体に普及させる予定です。 
  
  
医療そのものと同時に、医療者教育にも注力すべきとの気概 
  
 私たちは、今後の社会に求められる買い高い医療者の育成をめざし、2012年に亀田医療大学看護学部(仮称)の開設に向け、現在、準備を進めています。 
  
 そもそも、私どもの教育のルーツは、6代前の亀田自證が長崎でシーボルトに西洋医学を学び、帰郷後、当地で学問所「鉄蕉館」を開いたことにあります。 

また医療者の教育については、1951年に准看護師学校を開設、1966年には民間として初めての看護師学校を設立するなど、早くから医療の充実は看護の充実なしにはありえないという信念のもと、情熱を注いできました。その後、1992年に同校を専門学校に改組、2000年には同校を亀田医療技術専門学校とし、2009年には、長年にわたり鉄蕉会が培った教育のノウハウを受け継ぐかたちで学校法人鉄蕉館を設立。 
2010年4月には亀田医療技術専門学校が、現在の医療法人から学校法人鉄蕉館に設置者変更される予定です。 
  
 南房総の医療を支えるために、医療そのものと同時に医療者教育にも注力すべきとの気概は、長い歴史の中で培われた伝統。 
今は、我々の抱く志も大きくなり、日本の医療を支えるため、医療と医療者の教育に貢献していきたいと考え行動しています。 
  
  
大学開設は、医療を支えようとの使命感からスタート 
  
 日本は何年も前から少子高齢化の時代に突入しています。 
したがって、看護師のなり手は、今後ますます不足していくでしょう。 
一方で、医療が高度化する中で生まれた専門分野の細分化の流れが看護師の世界にも及んできており、専門的な技術を持った看護師のニーズが高まっています。 
端的に言えば、看護師になりたいと望む人全員に看護師の資格を与えたとしても看護師が足りない事態が、そう遠くない将来に待ち受けているのです。 
  
 高齢化が急激に進んでいる日本では、こうした状況は他の医療分野のスタッフについても同様でしょう。 
医療を支えようとする者にとって医療者育成の重要性が、ますます大きくなるのは確実です。亀田医療大学(仮称)設立への取り組みは、そのような使命感からスタートしました。
  
 亀田医療大学看護学部(仮称)は、看護大学としてアカデミックな教育を行うのはもちろんですが、4年間のカリキュラムの中で、卒業後、臨床の現場で即戦力となれる実力を持った看護師を育てることを特色とします。 

学部4年間に保健師、助産師養成課程を含まず、一般教養を重視した基礎看護教育に特化したカリキュラムとする予定です。 
医療の質の国際的認証機構(JCI)によりヘルスケアの質が高く評価された亀田メディカルセンターと周辺地域の医療機関との連携がもたらす、すぐれてユニークな環境は、必ずや学生に豊かな看護教育の場を提供し、有能な人材育成に貢献するでしょう。 
  
 私は、教育機関には社会還元の視点が必要だと確信しています。時間をかけ、手間をかけ、費用をかけて、人を教育する行為は、そこで育った人材がいかに社会へ貢献するかまでが評価の対象になるべき。 

社会還元の視点を欠いた教育は、独りよがりになりかねません。私が大学の看護学部創立にあたって「臨床の現場で即戦力となれる実力」を重視するのはそのためです。 
  
  
院内独自の評価制度を確立し、適材適所での登用を 
  
 看護師にとってキャリアアップがきわめて重要なのは今さら言うまでもないこと。 
常に学びが必要で、スキルアップが図れる点が、看護師という職業の大きな特徴だからです。 
  
 そこで、当院では院内に看護師のキャリアアップ制度とシステムを整備し、院内資格を通して、実力を認定、評価をしています。 
もちろん、専門資格への挑戦も、万全にバックアップします。 
  
 今後、医療は福祉とオーバーラップする部分がさらに大きくなるでしょう。 
看護師は、双方の領域で活躍できる職業ですから、今から将来の現場ニーズを見越して、柔軟に対応できる看護師を育てる意義は大いにあるはず。 
法整備、制度整備は実情に遅れがちなものですから、許される範囲内で院内独自の評価制度を確立し、看護師の適材適所での登用を心がけています。 
  
 ところで、医師に限らず、看護師に限らず、医療者には、おしなべて、タレントの側面がある。 
私は、そんな持論を持っています。 
いかにすぐれた技術を有していても、苦虫をかみつぶしたような表情しかできず、患者様を不快にさせ、不安な気持ちにさせる者を、すぐれた医療者だとは呼べません。 
  
 だから医師にも、看護師にも、自身が、「タレントでもある」自覚を持っていただきたい。 
タレントは、自分の身に何があっても、ONのときにはいつも明るく、ほがらかに振る舞っています。 
  
 生きていれば嫌なこともある。仕事には辛いこともある。そんな中で、いかに前向きに生きられるか、前向きに考えられるかを心がけ、実践するマインドが、医療者には欠かせない要素だと思います。 
特に、いつも患者様のそばにいる看護師の皆さんには、常に笑顔でいてほしいですね。