国が返済額の7割を負担する過疎債。改正により、地域医療などソフト事業にも活用の幅が広がったが 過疎地指定の公立病院への 起債はハードルが高い。



国が返済額の7割を負担する過疎債。改正により、地域医療などソフト事業にも活用の幅が広がったが 過疎地指定の公立病院への 起債はハードルが高い。ガイドラインに即した改革プランが 着実に実行されている事が条件となる。ザルに水を注いでも 地域医療は救われないからである。 


 こうした優遇措置を踏まえ 
福岡県/2010・oh!追う=大牟田市 過疎地指定へ 過疎債 生かせるか 財政再建とまちづくりにらみ/筑後 
2010.03.23 西日本新聞  
  
かつての「炭都」大牟田市が過疎地に指定される。改正過疎地域自立促進特別措置法(過疎法)の4月1日施行を受けたもので、人口10万人以上の自治体が単独で指定されるのは県内初。厳しい財政運営が続く同市にとって、過疎債による手厚い財政支援は魅力的だ。過疎地になる大牟田のまちは、どう変わるのかを追った。 (大牟田支局・古川幸太郎) 


 ●3割借金重く  

 国が返済額の7割を負担する過疎債。改正により、道路など従来のハード事業に加え、地域医療などソフト事業にも活用の幅が広がった。 

 こうした優遇措置を踏まえ、古賀道雄市長は開会中の定例市議会で「(過疎地指定を)マイナスにとらえがちだが、財政支援などプラス面もある」と前向きにとらえる。 

 ただ、2008年度まで8年連続赤字決算の同市は、累積赤字約9億7千万円を抱える県内唯一の赤字団体だ。同市総合政策課は「過疎債は打ち出の小づちではない。今後、地方交付税も不透明となるなか、3割借金には変わりはない」と慎重な姿勢を見せる。 

 ●財政難で萎縮  

 同市にはこれまで、財政難を理由に“我慢”してきた事業がある。例えば現在、世界遺産登録を目指す同市の宮原坑跡の整備事業。同市が三池炭鉱閉山から4年後の2001年に約1億2500万円で購入。開坑1898年のため、修理計画を立て、周辺を公園化する構想もあったが、財政難を理由に補修工事は先送りしたままだった。 

 また、1960年に建設した市消防本部庁舎。老朽化のため耐震工事が必要で、旧ネイブルランド跡地への移設計画が持ち上がったが、これも財政難などを理由に頓挫した。同市幹部は「財政難を理由に、まちづくりに萎縮(いしゅく)していた部分もあり、アイデアが出てこなかった」と話す。 

 ●先進地に学べ  

 同じ産炭地の田川市は1970年代に、炭鉱閉山と同時に指定を受けた過疎地の“先輩”だ。 

 過疎債の活用は2007年度に、同市のシンボルでもある「二本煙突」の赤レンガ部分の補修と石炭・歴史博物館の改修事業に約1億円。過去には県立大学の周辺整備や情報センターの建設など幅広く活用している。 

 また、大牟田市と同様4月から過疎地に指定される築上町は、炭鉱主邸宅で、国登録有形文化財の旧蔵内家住宅の購入に、過疎債の発行を検討しているという。 

 県市町村支援課によると、県内では現在、みやま市や八女市など15市町村が指定され、そのほとんどが過疎債を活用。08年度発行額は45億円に上る。同課は「財政再建とまちづくりを両にらみで進めなければならないが、これまで我慢していた事業ができるチャンスでもある」と指摘する。 

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 ■過疎地指定の要件■ 人口減少率(1960-2005年度)が33%以上、財政力指数(06-08年度の平均)が0・56以下。 

 人口減少率36%に上る大牟田市の人口は、「総資本」対「総労働」といわれた三池争議の前年1959年の約20万8千人がピーク。石炭産業の斜陽化とともに、人口流出に歯止めがかからない。基準財政需要額に対する固定資産税などの経常的な収入割合を示す財政力指数も0・54で基準を下回っている。