十和田市立中央病院:資金不足が深刻 開院から2年経ず、市が経営改革委 




十和田市立中央病院:資金不足が深刻 開院から2年経ず、市が経営改革委 /青森 
毎日新聞 2010/3/5 
http://mainichi.jp/area/aomori/news/20100305ddlk02040011000c.html 

 十和田市の市立中央病院(蘆野吉和院長)が深刻な資金不足に陥っている。09年度の病院の資金不足比率は、国が定める公営企業の経営健全化基準である20%を大きく超え、31・7%になる見通し。 

地方財政健全化法に基づく外部監査の設置は避けられず、市は専門家による経営改革検討委員会を立ち上げ、抜本的な経営改革に乗り出した。 
  
市は08年5月、約164億円をかけて新築した病院をオープンさせた。 
09年3月に市が策定した病院改革プランは、新病院で患者数は増えると試算。 
10年度末には不良債務を解消する予定だった。 
  
しかし、実際には医師不足などで想定した診療ができず、患者数は入院、外来ともに減少。
新築や高度な医療器具の導入に伴う支出が予定通りにかさむ一方、売り上げは伸びず、収益は悪化している。 
改革プランでは黒字になるはずだった09年度の単年度資金収支は、9億8600万円の赤字になる見込み。 
09年度末に約17億円に上る不良債務は、このままの経営が続けば毎年10億円ずつ増えていき、病院の赤字が市の財政を圧迫し、市そのものが財政再生団体に転落する危険性がある。 
  
先月6日、病院で初めて開かれた「第1回市立中央病院経営検討委員会」(委員長、長(おさ)隆・東日本税理士法人代表)は 
▽身分不相応な病院の建設 
▽ずさんな改革プラン▽患者数の減少--などの問題点を挙げ、診療科の特化や使われていない病棟の閉鎖、経営における責任の明確化などが必要とした。 

長委員長は「過大な負債で豪華病院を作った。市はもちろんだが、建設を認めた市議会、その議員を選んだ市民の責任も大きい」と指摘した。 
 委員会は計3回開き、病院の独立行政法人化などを視野に3月末までに市への提言をまとめる。 
2回目の委員会は6日午前10時半、同病院であり、市民にも公開される 



           
第2特集 あなたの街の大問題--債務返済繰り延べの支援策も--財政再建法は病院を救うのか 
2009.02.21 週刊東洋経済       
  
自治体財政健全化法は、自治体病院に厳しい財政規律を求める。その一方で返済繰り延べを可能にする仕組みも設けられた。自治体病院立て直しの道筋とは。 

 北海道夕張市の財政破綻を踏まえて2007年6月に制定された自治体財政健全化法--。破綻という最悪の結末を迎える前に、自治体の努力による赤字減らしを狙いとした新法が“最大のターゲット”に据えているのが、自治体病院だ。 

 昨年9月30日、総務省は07年度決算に基づく健全化判断比率と資金不足比率を発表。そこで最も注目されたのが、自治体病院の厳しさだった。 

 公営企業の資金繰りの悪化度合いを示す「資金不足比率」で、財政健全化計画の策定義務が生じた自治体病院は全国で53に上った。その数は交通や下水道事業をしのぎ、156の健全化団体のうちの3分の1強を占める。また、53という数字は全国の自治体病院の8%近くに上る。これらの病院は、財政健全化法のルールに従えば、病床削減や病院の統廃合、民間病院への譲渡、民営化、廃止などに迫られる可能性が高い。 

資金繰り危機を救う公立病院特例債 

 一方で“救済策”も用意されている。総務省が07年12月に公表した「公立病院改革ガイドライン」の中に、「公立病院特例債」の発行が盛り込まれたのが、その証拠だ。特例債は、病院の資金繰り改善のために発行され、支払い利息の一部を国が特別交付税で面倒を見る。また、償還期間は7年間で、借金の返済で自転車操業状態の病院にとっては、短期借入金を病院債に振り替えることで返済の繰り延べが可能になる。そして、特例債に振り替えた分は、資金不足比率の計算から除外される。 

 このように自治体病院の資金繰り改善に大きな効果がある一方、発行に際しては、公立病院改革プランを策定し、合理化努力を行うことが必要条件とされている。 

 改革プランでは、財務改善のスケジュールと数値目標の設定、再編・ネットワーク化に関する具体的計画、独立行政法人への移行や指定管理者制度導入など、経営形態の見直しについて触れる必要がある。再編・ネットワーク化と経営形態の見直しについては、おおむね13年度までの実現を目指す必要がある。 

 こうした救済措置が講じられたことで、自治体病院が次々と閉鎖される事態は当面回避されている。 

 病床の実質的な稼働状況を前提に、身の丈に合わせて許可病床数を減らす計画は、宮城県の塩竃市立病院、北海道の留萌市立病院など、目白押しだ。病院の規模を縮小しつつ、赤字を減らしていくというのが、大方の病院の再建計画だ。だが、立て直しのためには、病院収入の増加が不可欠で、そのカギは医師や看護師を確保できるかどうかにかかっている。言い換えれば、医師や看護師の確保どころか、減少に歯止めがかからない病院は、早晩、経営が成り立たなくなる可能性が高い。 

 09年度予算で、自治体病院に対して、地方交付税による財源措置が大幅に積み増されたことも、自治体病院にとっては朗報だ。総務省は08年度の交付税措置額2930億円に対して、09年度は700億円程度上積みする。 

 具体的には、過疎地の病院や産科、小児科、救急医療など、不採算の政策的医療に携わる病院に対して、交付税を4~5割増額する。自治体病院に対する交付税の大幅な積み増しは過去にもあまり例がないだけに、国が自治体病院の再建に本腰を入れ始めたことを物語る。

 だが、自治体病院に予算をきちんと回すかは自治体の判断による。交付税は使途の自由な一般財源だからだ。また、実際に病院への投入を増やすためには、「繰り出し基準」と呼ぶ、一般会計からの繰り入れの際の金額の算定ルールを整えておく必要がある。これが不備だと、病院に交付税は回ってこない。 

過剰投資を誘発する仕組みは見直しへ 

 自治体病院の存在感は、全国の病院に占める病床数のシェア(06年10月1日現在で15・1%)以上に大きい。救命救急センター設置病院の数では、自治体病院が38%、地域災害医療センターでは45%(ともに08年2月1日現在)といった具合だ。僻地医療拠点病院に至っては、73%を自治体病院が占めている(08年12月現在)。 

 これらの機能を民間病院が担うことは困難であるだけに、自治体病院がしっかりしていることが、地域住民の生活にとっても極めて重要だ。 

 ただ、これまでは自治体病院が担う医療に対する財政支援が削られる傾向にあった。68ページのグラフが示すように、1病床当たりの普通交付税額は漸減傾向だった。 

 その一方で借金をして豪華な病院を建てると、返済原資として交付税が多くもらえる仕組みだった。オーバースペックの病院建設が進められたのはこうした仕組みが原因の一つだ。今後はそうした仕組みについても見直しが行われる。限られた財源を病院の立て直しに有効に使えるか、自治体の知恵が試される。