上野原市立病院建設「住民不在」医師会抗議




上野原市立病院建設「住民不在」医師会抗議 
2010年02月26日 

■業者選定委、市民以外が過半数 医療行政への協力辞退も 


 上野原市が計画している市立病院の移転建設を巡って、江口英雄市長と、地元の医師らが集まる上野原医師会(渡部一雄会長)がもめている。設計業者などを選ぶ市の病院建設基本設計・実施設計者選定委員会のメンバーに、市外に住む委員が複数、名を連ねていることなどが発端。医師会側は「住民不在で自治の精神に反する」などとして江口市長に抗議文を提出。委員の構成を見直さなければ、4月以降、地元での学校医としての役割や、予防接種といった医療行政への協力を辞退する考えを示すなど、強い姿勢を見せている。(人見正秋)


◇市は反論「専門家を人選」 


 市や関係者によると、江口市長から選定委のメンバーに委嘱されたのは、委員長を務める小幡尚弘・副市長や、清水博・福祉保健部長、医療関係者、法人代表ら。委員7人のうち市関係者らは3人で、残る4人が市外の人となっている。 


 抗議文は今月22日、江口市長に出された。今の選定委について「認めがたいもの」と批判した上で、一部委員について「市政に一切関与させないとの決意をされぬ限り、これまで我々が行って参りました市の医療行政に対する協力を、2010年度より辞退する」と通告する内容だった。 


 選定委を問題にする理由として挙げられているのは4項目。建設業者選定のような地元にかかわる事項を扱う会に、市民以外の部外者が多数参加していることは自治の精神に反する▽病院建設については、市長や議会、病院側などの代表によって速やかに決定されることが適切、などとしている。 


 回答の期限は明記していないが、市長側が要望に応じない場合、市立の小中学校の学校医、老人や児童・生徒の予防接種に関する窓口事務、集団的予防接種事業などへの協力を辞退する考えを突きつけている。 


 上野原医師会は、市内の開業医や市立病院の代表ら16人で構成。渡部会長は「新病院建設は、これまで住民らが協力して計画を作ってきた。しかし江口市長が住民無視のやり方を続けているので立ち上がった」と説明している。 


 これとは別に、案の段階で選定委のメンバーに入っていた市立病院の両角敦郎院長も委員を辞退していた。地域医療や福祉を知る市民代表、医師会代表などが少なく、市民の視点に立った適正な議論や判断ができないことなどを理由に挙げていた。 


 これらの批判に対し、江口市長は「専門の方を人選しており、(医師会の指摘は)誤解。公正な立場で見られる方、優秀な人にお願いをした」と反論。「自治の精神に反する」との指摘に対しては、市外の人を排除するのは「筋が通らない」とした。さらに、医療行政への協力辞退については「子どもやお年寄りを人質に取るのは理不尽」と発言。ただし、今の委員に辞めてもらう考えはないものの、地元の委員を増やすことは検討するとした。 


 医師会などの反発について、江口市長は「(前市長時代の)22年間にたまっていたものを改革するには、そのくらいの抵抗は覚悟の上」と譲らない姿勢だ。 


 新病院は10年度中に基本設計・実施設計をして着工、12年春のオープンを目指す。設計の業者選定は公募型プロポーザル方式を採用し、今回問題になっている選定委が選ぶ予定。