予防医療の態勢をつくることが地域医療の要です。



--求められる医療の姿とは? 

 「住民と医師との協力が大切です。住民は自ら健康の維持に心がける。医師は、住民がいつまでも健康でいられるようにアドバイスする。予防医療の態勢をつくることが地域医療の要です。それでも病気になってしまい、高度な医療が必要な場合には、専門医にきちんとつないでいくのが、私たちの役目と考えます」 


<人 ぼいす>斉藤有さん(58)*北海道地域医療研究会運営委員長*予防医療の充実必要 
2010.02.21 北海道新聞      

 医師現場の疲弊が深刻だ。人口10万人当たりの医師数は東胆振154人、日高116人で全道平均220人を大きく下回る。激務に疲れ果て地域を去っていく医師もいる。昨年春に常勤医がゼロになる恐れもあった、むかわ町国保穂別診療所の副所長である斉藤有さんは、地域医療に携わる関係者でつくる道地域医療研究会の運営委員長でもある。住民も、医師も安心して住み続けられるあり方とは-。(小林健太郎) 

 --地域の医療格差が深刻です。 

 「地方で医師をするのは大変です。24時間、365日、いつ急患が来るか分かりません。医師も人間です。『自分が病気になったらどうしよう』との思いもあります。プレッシャーが大きいのです。ただ、限られたスタッフでも、余裕を生み出していく工夫はできます」 

 --どういった工夫ですか? 

 「一つはチーム医療です。穂別診療所では、患者さんの担当医を固定していません。しいて言えば勤務する全員が主治医ということです。患者さんの情報を共有し、複数の目でチェックできるというメリットもあります。もう一つは、病気自体を減らすことです。病気になってから治すのではなく、健康な状態を維持していく。軽い運動や食生活の改善などの予防医療で医師も患者も負担を減らせます」 

 --はり治療も取り組んでいるそうですね。 

 「毎週2日間の午後、それぞれ3人に行っています。非常に好評で1~2カ月先まで予約が入っています。私が理想とする医療は、できるだけ薬に頼らず、検査も可能な限り減らすこと。ともに体に対する影響が大きいのです。はり治療は、高齢者が多い穂別地区では予防医療の観点からも非常に有効と考えています」 

 --求められる医療の姿とは? 

 「住民と医師との協力が大切です。住民は自ら健康の維持に心がける。医師は、住民がいつまでも健康でいられるようにアドバイスする。予防医療の態勢をつくることが地域医療の要です。それでも病気になってしまい、高度な医療が必要な場合には、専門医にきちんとつないでいくのが、私たちの役目と考えます」 

<略歴> 

 さいとう・ゆう 1952年、岩手県生まれ。北大卒業後、後志管内真狩村や十勝管内池田町の病院で勤務した後、昨年10月、穂別診療所に着任。道地域医療研究会には96年から参加し、2007年から運営委員長を務める。