医学部新設、申請へ 3私大が準備 認可なら79年以来



医学部新設、申請へ 3私大が準備 認可なら79年以来 
2010.02.21朝日新聞  
  

 医師不足が言われるなか、国内の三つの私立大学が医学部新設を目指し、準備を進めていることが分かった。設置認可を国に申請する手続きのため、すでに学内に検討組織を立ち上げた大学もある。医学部新設は30年以上なく、認可されれば1979年以来となる。(石川智也) 


 医師増員を掲げる民主党は看護コースと病院を持つ大学の医学部新設を後押しするとしており、政権交代で機運が高まったかたちだ。 
医師養成学部・学科については、自民党政権時代の82年や97年の医学部定員削減の閣議決定を受け、新設の審査は行わない規定になっているが、今後撤廃されるとみられる。設置基準の緩和も進めば、他大学にも動きが広がる可能性がある。 

 設置を検討しているのは、国際医療福祉大(本校・栃木県大田原市)、北海道医療大(北海道当別町)、聖隷(せいれい)クリストファー大(浜松市)の3大学。 
いずれも看護や福祉系学部を持ち、大学病院や関連病院もある。 

 看護や薬学、福祉系の6学部を持つ国際医療福祉大は学内組織で、教員確保策や文部科学省への認可届け出の準備をしている。 
開設場所は大田原キャンパスなど複数案を検討。 
入学定員は、現在の設置基準の上限である120人程度を想定している。 
開設時期は未定だが、取りまとめ役の開原成允大学院長は「早ければ早いほどいい。 
可能なら2011年度を目指し、地域医療の担い手となる臨床医を養成したい」とする。 

 北海道医療大も今年1月に学内検討委員会を設けた。やはり地域医療に貢献できる医師の養成を目指し、定員は80人規模を想定。多様な人材を集めるため、学士編入枠も検討中という。 
小野正道経営企画部長は「これまで道内には私大の医学部がなかった。医療過疎解消に役立つ人材を育てたい」と話した。 

 日本で初めてホスピスを開いた聖隷三方原病院と同グループの聖隷クリストファー大も、理事長がトップの検討委員会を設置。 
「医学部あるいはメディカルスクール(医師養成大学院)に向けて前向きに考えている」としている。 

 医学部は79年の琉球大の設置認可以来、新設はない。医師が供給過剰になるとの将来予測や、医療の質低下につながるとする日本医師会の抑制主張を受け、国は80年代初期から入学定員を削減し、全国79校全体でピーク時81年度の8280人から、2007年度には7625人にまで減った。 
しかし、地方の医師不足が深刻化したため、「骨太の方針2008」などに基づき増員策に転換。10年度の定員は8846人にまで増えた。 

 ただ、医学部新設には定員80人でも最低200億円弱の建設・設備費用が必要などハードルは多い。
また、既存の大学や医療界からは「医師の質が保てない」「医療崩壊をかえって増幅する」との反発もある。 

22日には全国の大学の医学部長と付属病院長が集まり、医学部新設と定員増に「慎重な対応を求める」請願を政府に提出する予定だ。