[焦点]県議選(3)医療 医師不足、地域偏在も

 

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[焦点]県議選(3)医療 医師不足、地域偏在も(連載)=茨城 
2010.12.02読売新聞 
  

 1日正午過ぎ、水戸市双葉台の県立こども病院(108床)の診察室前は、乳幼児を抱いた母親で混雑していた。「近くに大きな病院があると、何かあった時にすぐに診てもらえて安心」。自宅から車で30分という女性(38)は、ベビーカーに乗った1歳2か月の長女の顔を見つめた。 

 同病院は、県央・県北地区の小児科の拠点病院として県内各地から患者が訪れる。 
研修医を含めて34人の医師が在籍し、24時間体制で小児救急も担当。 
一般病院でも対応できる症例を扱う総合診療部と、小児血液腫瘍(しゅよう)科や循環器科などの専門診療部などがあり、担当医の少ない専門診療部の医師は当直明けでそのまま勤務する場合も多い。 

土田昌宏院長は「医師1人あたりの負担は大きい。 
医療が多様化し、24時間いつでも診察してもらいたいという患者側のニーズに応えるためにも、医師はもっと必要だ」と医療現場の窮状を打ち明ける。 

 厚生労働省の2008年12月末時点の調査によると、県内の人口10万人あたりの医師数は153・7人で、全国平均の212・9人を下回り、全国ワースト2位だった。 

県内を九つに分けた二次医療圏別で全国平均を上回ったのは、県内唯一の医師養成機関の筑波大があり、同大付属病院をはじめ、筑波メディカルセンター病院など総合病院が集積するつくば圏(313人)のみ。 

筑西・下妻圏(94・5人)、鹿行圏(87・3人)、常陸太田・ひたちなか圏(86・1人)に至っては全国平均の半分以下だった。 

 同省が9月に発表した必要医師数実態調査でも、同様に医師の地域偏在が明らかになった。 
県内全体で十分な医療を提供するための必要医師数は、現在の医師数3292・2人の1・15倍に相当する3784・5人。 
倍率は全国28位で医師の充足率は低い。二次医療圏別に見ると、つくば圏が1・05倍だったのに対し、最も高い日立圏、常陸太田・ひたちなか圏、筑西・下妻圏は1・27倍だった。 

 県は今年度、地域医療再生基金を活用して筑波大、東京医大、東京医科歯科大、自治医大、日医大に寄付講座を新設し、各大学から県内の病院に医師派遣を得ている。 
卒業後、県が定める県内の病院に9年間勤務すれば修学資金の返還を免除する4大学の「地域枠」を昨年度の8人から15人に増員し、医師の卵の獲得にも力を入れている。 

 一方で、医師確保には医療機関や市町村との協力も欠かせない。県医療対策課は「県内の医師を1人でも増やせるよう、関係機関と連携して医師確保に努めていきたい」としている。医師確保とともに、地域偏在の解消も喫緊の課題となっている。