未来へのハードル・2010荒尾市長選(中)=市民病院 8年ぶり黒字



未来へのハードル・2010荒尾市長選(中)=市民病院 8年ぶり黒字、収益増なお課題 [連載] 市長選挙 地方選挙 
2010.11.28熊本日日新聞      

 純利益1億7457万円、医業収益2億144万円の増-。多額の累積赤字を抱える荒尾市民病院は2009年度、8年ぶりの単年度黒字となった。 

 「医師が28人から31人になるなど、スタッフ増による医療の質向上で医療収益が伸びた。 
『地域医療支援病院』の承認など、機能評価係数による加算も大きい」と病院事務部は説明する。 

 医師確保が近年の最優先課題だった。 
院内保育所の整備や医学生・看護学生への奨学金制度にも取り組み、10年度は常勤小児科医を含む医師2人を採用し33人体制に。 
人材確保への努力は、ようやく実を結び始めた。 

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 同病院は02年度には50人いた医師が07年度に28人まで減り、比例して収益が悪化するという“負の連鎖”に陥っていた。 
07年度には単年度赤字が過去最悪の約12億5千万円に達し、連結実質赤字比率で県内の自治体唯一の赤字を計上した。 

 市は09年度から、15年度の不良債務解消を目指す「中期経営計画」に着手。 
その軸となるのが公立病院特例債14億円の発行だ。これにより表向きの収支は改善し、スケジュールより1年早く単年度黒字も実現した。 

 だが、決して独り立ちできたわけではない。 
09年度の市からの繰入金約8億円の中に7年償還の2億円が上乗せされていることを考慮すると、実質的には約3千万円の赤字。 
築40年を超え、老朽化した施設の建て替え問題にも直面している。医療機器の更新もあり、さらなる収益増が今後の課題だ。 

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 平日の午前中。病院内には診察や検査を待つ人たちが行き交う。内科に通う長洲町の女性(78)は「バスで通える総合病院がなくなると困ります」。 

 同病院の入院患者の内訳は荒尾57%、玉名郡市32%、大牟田市8%で、およそ4割が他市町村の在住者(09年3月調べ)。 
荒尾市から他都市へ通う患者も多い。 
地域拠点病院という責務もあり、運営には有明地域の医療体制全体を見据えた展望が必要となる。 

 市内の会社員男性(59)は「開業医を集め、設備を共有しながら診療にあたる『病院のデパート』にはできないのか」と提案する。 
地域医療のニーズに応えつつ、いかに収益向上を図るか-再建への道のりは始まったばかりだ。(小野由起子)