「社説」 研修医充足率 制度の抜本改正必要では




「社説」 研修医充足率 制度の抜本改正必要では 
2010.11.09 北日本新聞  
  

 来年度から医師になる医学部の学生らが2年間臨床研修する病院が内定した。募集定員に対する充足率(マッチ率)は、都市部や待遇のいい民間病院で高く、かつて自治体病院などへの医師の派遣を担ってきた地方の大学病院などが軒並み苦戦している。臨床研修制度が医師不足や偏在を招く一因となっていることを、あらためて示す結果となった。 

 医師不足に悩む地方の自治体や各病院は、懸命の対策を講じている。それにも財政面などから限度があろう。医師不足は現場を多忙にし、それが研修先として敬遠される要因となって、ひいては収益悪化を招く悪循環を作り出す。医療サービスの地域格差にもつながる。制度の抜本改正も含め、政府は現場の声を反映した医師不足対策に乗り出すべきだ。 

 日本医師会や全国医学部長病院長会議などで構成する医師臨床研修マッチング協議会が集計した結果、2011年度に大学病院で臨床研修する人の割合は47・9%(3828人)と過去最低になることが分かった。民間病院など大学病院以外で受ける人は52・1%(4170人)である。都道府県別の充足率トップは東京の92・2%。大阪と京都が91・1%、岡山が89・0%と続く。富山県は45・1%で、前年度から14ポイントダウンし、全国43番目の低さとなった。最低は宮崎の40・0%だった。 

 大学病院別では、東京医科歯科大や京都府立医科大など都市部の17病院が100%だった一方、北海道や東北、北陸などを中心に22病院が50%以下となった。富山大附属病院は47・7%で前年の68・8%から大きく落とした。最も低かったのは弘前大の13・6%、次いで旭川医大の24・4%、岩手医大の25・7%などだ。 

 こうした傾向に対し、各病院などが専門的な研究にも打ち込める研修プログラムを組んだり、奨学資金制度を充実させ、施設改善や広報強化にも取り組み、県外学生の勧誘や地元学生の囲い込みを図っている。だが、04年から始まった臨床研修制度で、学生が出身大学と関係なく自由に研修先を選べるようになったため、研修内容や待遇、生活環境の良い都市部や民間病院に人材が集中する傾向は根強く、医師の偏在を招く結果となっている。 

 総務省のまとめでは、地方自治体の運営する932公立病院の70・9%に当たる661病院が、経営不振のため08年度決算で経常損失を出しており、赤字病院は70%を超える。県内でも11の公立病院のうち黒部市民を除く10病院が経常損失を計上している。医師不足による診療体制の縮小で患者数が減少し、収入が落ち込んでいることが背景にあるという。医師確保の自助努力にも限度があろう。 

 研修先に大学病院が選ばれないのは、地方の医療体制にとって深刻な事態である。厚労省は医師あっせんのため、来年度から各都道府県に地域医療支援センターを置く。17億円を概算要求に盛り込んだ。人の手配はできても、医局が担っていた医療技術の継承といったところまで補えるのかという疑問も残る。研修としての抜本対策が望まれることは明らかだ。