描けぬ3病院再編 14日投開票・舞鶴市議選最大の争点



描けぬ3病院再編 14日投開票・舞鶴市議選最大の争点 /京都府 
2010.11.10 朝日新聞  
  

 14日投開票の舞鶴市議選。最大の争点は、舞鶴市民病院を含む公的3病院の再編をどうするかだ。増える赤字や医師不足といった課題を背負うなか、市がまとめた再編案をめぐる動きは遅々として進まない。地域医療における公立病院のあり方そのものが問われている。(平畑玄洋) 


 ●市民病院、赤字36億円 

 「税金のかけ方として不合理だ」「地域医療を守る全体像を示せないのなら、議案を否決する大義はない」。9月議会の最終日、市の一般会計から病院事業会計への赤字補填(ほてん)をめぐり、議員同士が激しい応酬を繰り広げた。 

 市議会の2大会派が、累積で36億円を超える市民病院の赤字を問題視。3、6月に続き、市からの7億円の赤字補填を前提とした病院事業会計の今年度当初予算案を否決する異例の事態になった。 

 赤字の原因は、2004年に内科医13人が集団退職したことに始まる。この年、新しい研修医制度ができたのに伴い、独自の研修で院内の医師養成をしてきた幹部が退職。同調する医師たちが辞めていった。06年には慢性疾患のための医療にシフトしたため、大学病院医局からの外科系医師の派遣もストップ。03年度末に30人いた常勤医は、現在8人しかいない。 

 当然、患者の足は遠のく。外来患者は03年度に14万6千人だったのが、昨年度は3万1千人に。198の病床は昨年度、26・6%の利用しかなかった。さらに市内には、公的な総合病院がほかに国立病院機構運営の舞鶴医療センター、舞鶴赤十字病院、舞鶴共済病院と三つあり、患者を奪い合う構図になっている。 

 そこで現在浮上しているのが共済病院を除く3病院の再編計画だ。医療センター、赤十字はともに、医師不足や人口減による経営悪化に悩んでいる。市は9月、(1)舞鶴医療センター内に急性期基幹病院を設置(2)舞鶴赤十字は市西部で急性期の一部や回復期以降の医療を担う拠点にする(3)市民病院は医療センターと赤十字に機能を移管――との案をまとめた。関係者によると、市民病院については閉鎖も含めて検討しているとみられる。 

 再編案が示された直後の9月議会では「医師確保の見通しがない、ずさんな計画」「再編は、持続可能な医療体制を構築するために必要だ」などと意見が割れた。 

 市は府の担当者とともに各病院の設置母体に出向き、診療体制や病床規模などについて協議を進めている。市医療政策推進課の瀬川治課長は「なるべく早く合意を得たい」と言う。

 市内に住む男性会社員(42)は「市民病院はしっかりした医療体制が復活するなら歓迎するが、赤字体質から抜け出せないなら閉院したほうがよい。市民は我慢して待っているのに再編の話も進んでいるようには見えず、早く何とかしてほしい」と話す。 


 ◆他の公立病院「改善傾向」 

 医師不足と診療報酬引き下げの影響による公立病院の経営難を受け、総務省は07年末、経営の効率化を求めるガイドラインをまとめた。各自治体に改革プランの策定を求め、数値目標も設定。経常収支比率は、一般会計からの繰入金も含め、黒字となる100%以上とした。病床利用率が過去3年連続で70%未満の病院には、病床数削減などの見直しを促すことにした。 

 京都市立病院(中京区)はコスト削減などを進め、昨年度の経常収支比率は前年度より0・5ポイント改善の100・8%。京丹後市立弥栄病院は病床数を減らし、病床利用率が前年度比12・4ポイント改善の79・2%となった。府自治振興課は「全般的に数値は改善しつつある」と説明する。 

 地域医療と公立病院のあり方を著書などで提言してきた元府立医大病院職員の山本裕さんは「病床数は一度減らすと戻すことが難しい。府などが医師確保を支援し、病床利用率を上げるべきだ」と指摘する。(岡見理沙) 


 ■府内の主な公立病院の昨年度の経営指標 

           経常収支比率(%) 病床利用率(%) 

 総務省が示す数値目標  100%以上    70%以上 

 京都市立病院      100.8     81.8 

 京都市立京北病院     81.3     70.3 

 福知山市民病院      95.1     77.7 

 舞鶴市民病院      100.1     26.6 

 綾部市立病院      103.8     90.8 

 亀岡市立病院       96.4     74.1 

 京丹後市立弥栄病院   101.9     79.2 

 京丹後市立久美浜病院  102       89 

 精華町国保病院      93.9     83.6 

 国保京丹波町病院     99.5     76.7 

 公立南丹病院      101.6     75.7 

 公立山城病院       93.9     69.2 

 (公立南丹病院は亀岡市と南丹市、京丹波町による一部事務組合、公立山城病院は木津川市と和束町、笠置町、南山城村による一部事務組合が運営。)