医療法人社団全人会に対する買取決定等について



医療法人社団全人会に対する買取決定等について 
2010年10月1日 
株式会社企業再生支援機構 

株式会社企業再生支援機構は、2010年8月24日に株式会社企業再生支援機構法(平成21年法律第63号。以下、「法」という。)第25条第4項に規定する支援決定を行った下記の対象事業者について、法第31条第1項に規定する債権買取り等をしない旨の決定(以下「買取決定等」という。)を行いました。 

1. 対象事業者の氏名又は名称 
医療法人社団全人会(以下「対象事業者」という。) 

2. 金融支援額 
債権放棄総額 約16億円 

* 上記額は、担保物件売却等により変更となる可能性があります。 

3. 一般の商取引債権の取扱い 
今般の買取決定等は、関係金融機関等との合意が整ったことを意味するものであり、 
関係金融機関等が対象事業者に対して有する貸付金等以外の一般の商取引債権については、引き続き何ら影響はありません。 
以上 



医療法人社団全人会に対する支援決定について 
2010年8月24日 
株式会社企業再生支援機構 

株式会社企業再生支援機構(以下「機構」という。)は、下記の対象事業者について、株式会社企業再生支援機構法(平成21年法律第63号。以下「法」とう。)第25条第4項に規定する支援決定を行いました。 

1. 対象事業者の氏名又は名称 
医療法人社団全人会(以下「対象事業者」という。) 

2. 対象事業者と連名で再生支援の申込みをした金融機関等の名称 
東京チャレンジファンド投資事業有限責任組合 

3. 事業再生計画の概要:別紙参照 

4. 主務大臣の意見 
内閣総理大臣・総務大臣・財務大臣・経済産業大臣: 意見なし 
厚生労働大臣: 異存はない。 
ただし、企業再生支援機構は、対象事業者に対し、支援決定後速やかに労働者との協議を行うよう指導するとともに、事業再生計画の実施につき助言・指導するに当たっては、対象事業者における関係法令の遵守及び労働者との十分な協議の場の確保をお願いする。 

5. 事業所管大臣等の意見 
厚生労働大臣: 本件支援対象事業者は、病床非過剰地域である北多摩南部保健医療圏にあり、当該地域において長期療養を必要とする患者への入院医療の提供等の役割を担っていることから、本件に係る支援を行うことには、異存はない。 
なお、再生支援の実施に当たっては、当該地域における医療提供体制の確保に努める東京都知事の意見を尊重の上、引き続き地域において必要とされる医療機能の提供に努められたい。 

6. 買取申込み等期間※:2010年8月24日(火)から2010年9月29日(水)まで(機構必着) 
※ 本件では債権の買取りを行わないため、「買取申込み等期間」は、事業再生計画に従って債権の管理又は処分をすることの同意(法第26条第1項第2号)をする期間となります。 

7. 回収等停止要請 
法第27条第1項に基づき、「関係金融機関等」に対して、上記6に記載する買取申込み等期間の満了するまでの間、対象事業者に対し債権の回収その他債権者としての権利行使を行わないよう要請いたしました。 

8. 商取引債権の取り扱い 
対象事業者に対する支援決定にあたっては、事業再生計画において指定する関係金融機関等が対象事業者に対して有する貸付金債権につき金融支援の依頼が行われるにすぎず、商取引債権については支援の依頼を行わないため、何ら影響はありません。 

9. 支援決定についての機構の考え方 
本支援決定についての機構の考え方は次のとおりです。 

(1) 支援の意義 
対象事業者は、調布市内で介護療養型医療施設を営む医療法人です。 
対象事業者の運営する医療・介護施設は、所在地域の住民に医療・介護サービスを提供しており、高い公共性を有する事業であるといえます。 
特に、対象事業者は、① 高齢者を対象とする医療・介護に重点を置いていること、②調布市を含む北多摩南部保健医療圏は病床不足地域であることに加え、調布市内で唯一の介護療養型医療施設であることから、地域への貢献は非常に大きいといえます。 

一方、対象事業者が破綻に陥り、医療・介護サービスを提供できない状況に至った場合には、入院患者を始めとする施設利用者に多大な影響を与え、地域社会における影響は計り知れないものがあります。 
対象事業者は、病院機能の維持・発展に不可欠な医師・看護師など医療従事者を相当数確保しており、保有する施設も調布市の中心部で駅に近く、利便性の高い立地であり、患者、職員の確保に優位であるうえ、中長期にわたって耐えうる建物であり、新たに多額の設備投資を必要としていないなど、有用な経営資源を有しているといえま 
す。 
この経営資源を活用し、療養型医療施設の運営ノウハウに富んでいるスポンサーである医療法人平成博愛会(以下「平成博愛会」という。)の支援を受け、早期の事業再生の実現が期待できます。その結果、地域社会における医療・介護サービスの安定的な供給に貢献するため、当社が支援を行うことについて十分な意義があると判断いたしました。 
さらに、機構としては、本件の支援を通じて、2012年3月に廃止が予定されている介護療養病床を持つ病院の事業転換モデルを明示するとともに、私的整理の事例が少ない医療法人の再生モデルを提示することを目指します。 

(2) 機構の役割 
本件において機構は、当事者のみでは調整が困難であった、関係金融機関等、スポンサー及び対象事業者間等の関係者の利害を、公平・中立な立場から調整することによって、円滑な事業再生を目指します。 
なお、関係金融機関等からの債権買取りや対象事業者への融資、出資は行いません。 
以 上 


(別紙)事業再生計画の概要 
第1 対象事業者の概要 
(1) 対象事業者名 
医療法人社団全人会(以下「対象事業者」という。) 
(2) 事業内容 
病院、訪問看護ステーション、デイサービスセンターの経営 
(3) 開設する医療、介護事業所 
① 多摩川病院 
東京都調布市国領町五丁目31 番地1 
② 多摩川訪問看護ステーション 
東京都調布市国領町五丁目31 番地1 
③ 多摩川デイサービスセンター 
東京都調布市国領町五丁目31 番地1 
(4) 事務所の所在地 
東京都調布市国領町五丁目31 番地1 
(5) 従業員の状況 
常勤: 119 名(うち、医師5 名、看護師・准看護師27 名) 
非常勤: 62 名(うち、医師10 名、看護師・准看護師28 名) 
(6) 労働組合 
労働組合は存在し、組合は日本医療労働組合連合会に加入している 
(7) 関連法人 
株式会社多摩川メディカルサービス 
(8) 取引金融機関 
東京チャレンジファンド投資事業有限責任組合 
有限会社エヌ・エル・シー 
東京信用保証協会 
多摩信用金庫 

(9) 財務状況(2010 年3 月期) 
医業収入 1,485 百万円 医業利益 102 百万円 有利子負債 2,430 百万円 

第2 支援申込みに至った経緯 
対象事業者は、1929 年(昭和4 年)に開設した医院を前身とする法人であり、東京都調布市内において、病院、訪問看護ステーション、デイサービスセンターを運営し、特に高齢者医療及び介護に重点を置いた医療・介対象事業者は、80 年以上に亘り同地域における医療・介護機関として活動してきたものであるが、1983 年頃、弁済可能な事業収支が見通せない中、大規模増改築に踏み切り、その資金として多額の借入を行った。 
結果、多額の元利払い負担に耐えられず、約定弁済の弁 
済条件の緩和を受けた後に、収支均衡を狙って介護療養病床への転換を図ったが、政策転換等により医療収入が減少し、約定弁済原資、賞与資金等の確保ができないなど、資金繰りに窮することとなった。 

一方で、対象事業者が破綻した場合には、入院患者及び入所者を始めとする施設利用者に多大な影響を及ぼす他、地域社会における医療・介護サービス提供機能を著しく低下させることとなる。 
このような事態を防ぐため、対象事業者は、スポンサー傘下の医療法人社団大和会(以下「大和会」という。)への事業譲渡を行うことで、過大債務の解消、病床機能の転換、経営管理機能の構築等による抜本的な事業再生計画を立案・実行することにより、確実かつ迅速な事業の再生を図るべく、機構に対して再生支援の申し込みを行うこととしたものである。

第3 事業再生計画の概要 
1. 基本方針 
スポンサーの持つノウハウ、信用力を活用し、現状有する医療人材を活性化することで、地域ニーズや医療制度に適合した医療・介護機能の提供を実現し、当地での病院事業の継続性を確保する。 

2. 主要施策 
(1) 病床機能の転換 
対象事業者は、現在、収益の柱である許可病床を、全て介護療養病床として運営しているが、収益向上のために、これを段階的に医療療養病床に転換する。 
また、これに伴って追加的に必要となる看護師の増員による人件費増も勘案する。 

(2) 経営管理機能の構築 
対象事業者は、1983 年頃の増改築時に、堅実な収益見通しを持たずに多額の借入れを行うなど、経営管理面に問題があった。 
本件では、対象事業者の全事業を大和会に事業譲渡することとなり、療養病床の運営を軸に、安定した経営基盤を有する平成博愛会の経営管理下におかれることで、 
確実な経営改善が達成される見通しである。 

3. 関係金融機関等への金融支援依頼事項 
関係金融機関等に対しては、対象事業者の借入債務総額24 億円のうち、約16 億円の債権放棄を依頼する。 

第4 支援基準適合性 
1. 支援基準柱書に係る要件 
(1) 有用な経営資源の有無 
対象事業者は、医師・看護師など医療従事者を相当数確保しており、保有する施設も、利便性の高い立地であるうえ、中長期にわたって耐えうるなど、有用な経営資 
源を有している。 

(2) 過大な債務の有無 
対象事業者は、収益力に比して過剰な債務を負っており、事業譲渡による事業再生のためには、債権放棄等の金融支援が不可欠な状態にある。 

2. 支援決定基準に係る要件 
(1) 申込適合性 
対象事業者の申込みは、東京チャレンジファンド投資事業有限責任組合との連名によるものである。 

(2) 生産性向上基準 
株式会社企業再生支援機構支援基準(以下「支援基準」という。)は、生産性向上基準として、 
支援決定日から3 年以内に 
①総資産減価償却前営業利益率が2%ポイン 
ト以上向上 
②有形固定資産回転率が5%以上向上 
③従業員1 人当たり付加価値 
額が6%以上向上のいずれかの基準を満たすことを要請しているところ、対象事業者は、本事業再生計画の遂行により、支援決定日から3 年以内に 
①総資産減価償却前営業利益率の向上及び 
②有形固定資産回転率の向上の基準を満たすことが見込まれているため、本事業再生計画は生産性向上基準を満たしている。 

(3) 財務健全化基準 
支援基準は、財務健全化基準として、支援決定日から3 年以内に 
①有利子負債のキャッシュフローに対する比率が10 倍以内 ②経常収入が経常支出を上回ることのいずれの基準も満たすことを要請しているところ、対象事業者は、本事業再生計画の遂行により、支援決定日から3 年以内に全ての基準を満たすことが見込まれているため、本事業再生計画は財務健全化基準を満たしている。 

(4) 清算価値との比較 
本事業再生計画に従った場合の債権額の回収の見込みは、破産手続による債権額の回収の見込みを上回る。 

(5) 3 年以内のリファイナンス等の可能性 
本スキームでは機構は融資、出資及び買取を行わない。 


(6) 過剰供給構造との関係 
本事業再生計画の実施により、対象事業者の供給能力の増加が図られるものではないため、産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法の施行に係る指針第19 条における「過剰供給構造の解消を妨げるものではない」ものと判断される。 

(7) 労働組合等との話し合いの状況 
対象事業者には労働組合が存在するところ、本事業再生計画の骨子については、機構による支援決定後速やかに、労働組合代表者及び従業員を対象とした説明会を開催し、協議を行う予定である。 

第5 経営者・出資者の責任 
1. 経営者の責任 
(1) 役員の退任 
法人は、本事業再生計画成立後、本件事業譲渡を実行し、清算手続に移行するため、対象事業者の役員は全員、清算手続終了時に、役員の地位を喪失する。なお、対象事業者の役員は、本件事業譲渡先である大和会の役員には就任しない。 

(2) 役員から対象事業者に対する退職慰労金請求権の放棄 
対象事業者の役員は全員、対象事業者に対する退職慰労金請求権を放棄する。 
2. 出資者の責任 
理事長及びその子息である出資者3 名は、その保有する対象事業者の全出資金につい 
て、清算手続において、残余財産の分配が実施されないことにより、出資者としての責任を果たす。