岐阜の病院 つなごう医療 (33) 関中央病院 関市 『カイゼン』医の質向上



岐阜の病院 つなごう医療 (33) 関中央病院 関市 『カイゼン』医の質向上http://www.sekichuo.jp/gaiyo/enkaku.html
2010.10.31中日新聞  
  

 【岐阜県】職場の環境を見直し、無駄を徹底的に省く「カイゼン」に代表される、トヨタ自動車の生産方式を病院経営に採り入れるようになって六年。全部署で取り組みが浸透し、医療の質や患者満足度を高めることに成功した。 

 きっかけは二〇〇四年二月、朝日大学(瑞穂市)主催の経営学講座を斉藤雅也院長(58)が受講したこと。製造業の管理者を対象にした講座だったが、斉藤院長は、一般企業の総合品質管理(TQM)の手法に興味を持った。「病院内に浸透させれば、職員の意識が変わり、医療の質も向上するはずだ」 

 薬剤科や検査科など、部署ごとにチームを設け、無駄のある部分を洗い出した。スタッフの動きを紙に書き出した結果、遠くの保存庫まで取りに行っていた薬を、必要のある部署の近くに整理して配置することで、作業時間の大幅短縮が実現できた。 

 このほかにも、血液検査態勢を調べ直し、必要度の高い患者だけに絞り込んで検査回数を減らした結果、コスト削減が図れた例や、煩雑な調剤業務を見直して誤薬事故防止につながった例など、枚挙にいとまがない。これらの成果により、職員の残業時間が著しく減るなど時間的余裕が生まれ、忙しい所へ看護師がサポートに出られるようになるなど、サービスが向上した。 

 地道な活動が評判を呼び、最近では米国の医療関係者やタンザニアの政府関係者らが、自国の制度改善の参考にしようと視察に訪れるなど、同病院が自動車工場などとともに日本式経営を学ぶルートの一つとして定着してきた。 

 カイゼンだけではない。二〇〇二年からは県内の病院で初めて、栄養サポートチーム(NST)を設置。医師と薬剤師、看護師らが、横のつながりをもって患者一人一人の栄養摂取状態を管理するシステムで、治療やリハビリの適切な進行に役立っている。 

 また、それ以前には感染対策チーム(ICT)も創設。耐性菌などの最新情報を収集し、医師と看護師、事務員らを集めて月に一度開かれる院内感染対策委員会で共有を図ることで、安心・安全な院内環境を維持している。 

 「いつ、どんな患者が訪れるか分からない病院では、工場ラインと違って予定通りに業務が進まないことが多い。だからこそ、決まり切った仕事を少しでも効率化し、きめ細かなサービスの提供に努めたい」と語る斉藤院長。時代の先を行く“型破り”な経営手法で、地域医療の一翼を担っている。(中尾吟) 

 職場見直す努力を 

 斉藤雅也院長の話 毎年多くの病院がなくなり、ほとんどの公立病院で赤字を抱えるなど、今の病院が置かれている環境は厳しい。閉じた世界の病院では、一般企業では考えられないような無駄なシステムがたくさん残っている。健全経営を進めていくためには、より客観的な視点から職場を見直す努力が必要だ。 

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 関中央病院 ▽1884年開院。1953年に「西尾病院」に改称。1996年に「香徳会関中央病院」となり、関市美和町から同市平成通2の現施設に移転▽病床数 150床▽看護体制 10対1▽内科、外科、整形外科、放射線科、リハビリ科など13診療科▽関市平成通2の6の18▽関市循環バス「関中央病院前」下車▽電0575(22)0012