担税力NO.1の医薬品産業は新成長戦略の要  IT化と社会保障番号制が治験を活性化

特別対談 参議院議員・医師 梅村聡氏&バイエル薬品取締役会長 栄木憲和氏 
担税力NO.1の医薬品産業は新成長戦略の要  IT化と社会保障番号制が治験を活性化 

梅村 聡 氏 
2001年大阪大学医学部卒業後、同附属病院第二内科入局。箕面市民病院、阪大病院で勤務した後、2007年大阪選挙区から立候補し、128万票で当選。 
 民主党参議院政策番議会副会長、同「適切な医療費を考える議員連盟」事務局長。日本内科学会認定医。 

診療情報のIT化はパンドラの箱を開けること 

梅村 診療情報のIT化にはもう1つ、いわゆるレセプト病名の問題があります。国の公式見解では、日本にはレセプト病名は存在しないことになっていますが、これがある限りオンラインでレセプトを集計しても必ずしも正確なデータは出ません。IT化は、これまで隠されていた矛盾が噴出する「パンドラの箱を開ける」ことでもあるのです。 

栄木 確かに日本では基本的な疾病のデータが出ないことが多いですね。社内のマーケティング会議で、腎がんと肝がんについて、医療費、薬剤費、治療費など関連データの提出を担当者に依頼しましたが、正確なものは出ないと言われました。 

梅村 たとえば、何科の医師が、どの地域に何人いるかというデータを国は持っていません。医療機関の経営実態調査も全数ではなくサンプリング調査で、しかも定点観測ではないから正確な時系列比較もできません。 

栄木 患者さんの診療データは国民の財産です。将来の治療に生かす仕組みを作らなければならないと思います。 
7月にシンガポールに行きましたが、国民背番号制を導入し、数年以内に全国民の疾病や投薬履歴がすべてわかるようにすると言っていました。厚労省の方に話をすると「人口500万の国と1億2,000万の国は違う」と一蹴されてしまいましたが。 

梅村 私たちはこれから、社会保障番号制度について真剣に議論していきます。税金、保険料も含め、どこにどれだけお金が使われているのか、正確なデータを出すことがまず必要です。多くの国民がそう望んでいると思います。 
遺伝情報のようなものは除外されるべきと思いますが、検査データや投薬履歴等は時代の要請として入れてもいいのではと考えています。 

栄木 日中韓は人種が非常に近いですから、共同治験を進めるうえでもデータベースを共有できればいいですね。 

梅村 鳩山前首相が「東アジア共同体」と言いましたが、最も早く実現するのはこれかもしれません。 
ITやゲノム研究の出口としてはヘルスケアという領域が最も社会的な理解を得やすいですね。