インタビューしずおか)鈴木史鶴哉さん 経営厳しいが、医療充実は責務 




インタビューしずおか)鈴木史鶴哉さん 経営厳しいが、医療充実は責務 /静岡県 
2010.10.27 朝日新聞 
  
共立湊病院組合管理者で南伊豆町長(69歳) 

下田市など1市5町で構成する組合が運営する共立湊病院。心配されていた来年4月から約1年間の医療空白問題は、回避されることになった。 
人口減少が進む中で、病院経営の難しさも浮き彫りになった。地域医療の現状などを組合管理者の鈴木史鶴哉・南伊豆町長に聞いた。 


地域医療の現状は 

 賀茂地域の二次救急の指定病院は、共立湊病院と西伊豆病院(西伊豆町)の2施設だけで、中核病院としての役割は大きい。 
西伊豆病院は、西伊豆町と松崎町の利用者が多い。 
共立湊病院の2009年度の利用者は、延べ11万6823人。 
うち下田市と南伊豆町の住民が外来の86・4%、入院の78・9%を占めています。 

 共立湊病院は、地理的な関係もあり、とりわけ下田市と南伊豆町の住民にとってはかけがえのない存在です。過疎化による人口減少などで利用者は減少傾向が続き、病院経営が厳しい状況にあるのも事実。しかし、高齢化が進み、ますます病院の必要性は高まっています。
安心できる医療サービスを確保するのは、行政の責任でもあります。 

その二次救急の一角が崩れる可能性がありました 

 現指定管理者の地域医療振興協会(東京)との契約が来年3月末で切れた後の、約1年間の指定管理者がなかなか決まりませんでした。 
下田市などの住民にとっては西伊豆病院は距離的に遠い。共立湊病院が一時的にも二次救急ができなくなれば、不安が増すことになります。 

 それでなくても、三次救急は、天城峠を越えて順天堂大学静岡病院(伊豆の国市)などへ救急車やヘリで運んでいるのが現状です。 
住民の命を守るためには、最低でも二次救急を確保するのが務めだと取り組んできました。

空白を埋める新しい指定管理者が決まりました 

 下田市で12年5月の開院を目指している新病院の指定管理者に決まっている神奈川県海老名市の社会医療法人「ジャパンメディカルアライアンス」(JMA、杉原弘晃理事長)が、前倒しして来年4月から引き受けてくれることになり、ホッとしています。 
減価償却費の一部3千万円(年間)については、来年4月からは請求せず、新病院になってから負担してもらいます。 

来年4月からの体制は 

 JMAによると、二次救急を確保するために少なくとも内科と外科で医師10人、看護師20人が必要としている。 
現在の8科より縮小してのスタートになるが、スタッフの確保が順調にいけば、小児科や整形外科も置くとしています。 
新病院では循環器内科や呼吸器内科も計画して最新機器を導入、心筋梗塞(こうそく)など命にかかわる部分の完結型医療を目指すとしているので心強いです。将来的には産婦人科の開設も視野にあるといいます。 

新病院について 

 来年3月の着工を目指します。 
建設費は約17億8千万円。起債で対応しますが、国の交付金が22・5%あります。医療機器の導入にも同率の交付金が出るので、助かります。 
病床数は現状と同じ154床を望んでいます。 
JMAの試算によると、入院患者が80人までは赤字で、90人になると黒字に転換する見込みとしています。 

JMAに期待することは 

 医療内容の更なる充実、発展に努め、地域住民が安心して医療サービスを受けられるような信頼できる医療機関であってほしい。JMAはその期待に十分応えてくれると信じています。(阪本昇司) 

     * 

 すずきしづや 旧下田北高校卒業後、南伊豆町役場職員に。収入役、助役などを歴任した。町議2期目途中の2005年の町長選に出馬し初当選。現在2期目。町長就任と同時に共立湊病院組合管理者に。 


 ◆キーワード 

 <共立湊病院問題> 南伊豆町湊にある現病院は、老朽化と耐震の関係で2003年に建て替え問題が持ち上がった。地元での建て替えか下田市への移転かで平行線をたどったため第三者機関が、下田市への移転、新築を決めた。指定管理者を公募し、市内の医療法人に決めたが、昨年12月に辞退。現指定管理者の地域医療振興協会は公募に応じず、契約更新にも難色を示した。新指定管理者を探した結果、今年7月にJMAが引き受けることになった。 

 JMAは、県内ではへき地医療などの実績がなく、税制面で優遇される社会医療法人として認定されない。 
このため、JMAは県内にある医療法人を継承する形で新たな法人を立ち上げて対処する。

南伊豆地域の合併と病院問題を重要課題と位置づけて取り組んだ。 
合併は不成立に終わっただけに、「病院は方向づけができた」と口元がゆるむ