播磨看護専門学校を巡る奨学金問題/はりま



播磨看護専門学校を巡る奨学金問題/はりま 
2010年10月08日asahi/com 

  
奨学金制度をめぐって揺れる播磨看護専門学校=加東市家原 
  
 播磨看護専門学校(播看(はり・かん)、加東市)をめぐって、運営する北播磨5市1町が揺れている。発端は4月に西脇、加西、三木の3市立病院が始めた看護学生の奨学金制度。同校も対象に含めたため、小野市長が「看護師の青田買いだ」と批判し、逆に西脇市長らは「純粋な看護師の確保策だ」と反論している。背景に深刻な看護師不足があり、着地点ははっきりしていない。(筒井次郎) 


 ■全額返還免除 
 今年7月、小野市の蓬莱(ほう・らい)務市長は、来年4月の市民病院の看護師の応募人数を知って驚いた。播看からはわずか2人(前年4人)。調べると、4月に西脇などの3病院が奨学金を設け、播看からは西脇に5人、加西に4人、三木に2人が申請していた。 
 3病院の奨学金制度は、同校を含む看護学生に月5~6万円を貸し付け、卒業後に数年間、自分の病院に勤めれば全額返還を免除するというもの。蓬莱市長は「北播磨全体の看護師を育成する学校なのに、市ごとに囲い込みをするのは間違いだ」と憤った。 
 藪本(やぶ・もと)吉秀・三木市長は「小野市長の言うことが筋だ」と同調。同校に6市町が負担する奨学金制度を新たに創設することを提案する。 
  
これに対し、来住(き・し)寿一(じゅ・いち)・西脇市長は反論する。「西脇病院は看護師不足で『西脇に帰ってくれるなら』と純粋な気持ちで設けた制度だ。 
対象も播看に絞ったものではなく、小野から言われる筋合いはない」。 
中川暢三(ちょう・ぞう)・加西市長も「各病院の判断でやれば良い」と話している。 
  
■「7対1看護」 
 各病院の奨学金創設の背景にあるのは、医師と同様、全国的な看護師不足だ。 
2006年に診療報酬のルールが変わり、看護師が多い病院ほど報酬も多く受け取れる仕組みになった。 
最も優遇されるのは、患者7人に対し看護師1人の「7対1看護」。 
神戸や大阪などの大病院を中心に看護師が大量に採用され、逆に地方で足りなくなった。 
  
神戸市に隣接する三木市民病院は大きな打撃を受けた。今年度の新卒採用は2人だけで、17人足りないという。 
病院の担当者は「都市部の民間病院は派手に囲い込みをする上、三木からは神戸に通勤できるので人材流出は深刻。 
北播磨の他の病院よりハンディがある」と訴える。 
隣の三田市民病院が08年度に導入した奨学金を参考にしたという。 
 西脇病院も「7対1」まで約30人足りないという。担当者は「今後を見据え、早めに手を打つ必要があった」。 
  
■加東市長調整へ 
 しかし、小野市長が譲る気配はない。「奨学金を白紙に戻さなければ、播看の運営からの脱退も辞さない」と強気だ。 
 今年度の運営費1億2300万円のうち、授業料などを除く7600万円は6市町が人口比などに応じて負担している。脱退すると、小野市分の1200万円分が、他市町の負担になる可能性もある。 
  
この問題は、13日に開かれる播看を運営する組合の定例議会にあわせ、話し合われる予定だ。 
奨学金制度を導入していない加東市の安田正義市長は「小野市長の主張も各病院の危機感も分かる。 
6市町が同じレベルの奨学金制度を作れないか、調整したい」と話す。町内に公立病院を持たない多可町の戸田善規町長も仲介役を引き受ける意向だ。 


◆播磨看護専門学校 
 北播磨地域の看護の充実を図る目的で5市1町が共同運営する。看護師の人材が都市部に流出していたため、地域で育成しようと1976年に開校した。今年度は3学年で計109人が在籍し、卒業生の約8割が北播磨の五つの市立病院に就職している。 


http://www.harimakango.ac.jp/info.html