産院の胎児を遠隔診断 小児医療センター 開始1年 疾患29例を発見=埼玉



産院の胎児を遠隔診断 小児医療センター 開始1年 疾患29例を発見=埼玉 
2010.10.11 読売新聞  
  

 ◆ネットで動画を受信 

 胎児の病気や異常を出産前に発見して早期治療に結びつけようと、県立小児医療センター(さいたま市岩槻区)が近隣の六つの産科開業医と連携した「胎児遠隔診断」を昨年10月から始めて、1年が経過した。 

産院からインターネットで送信される胎児の超音波映像をセンターの専門医が診断するシステムで、9月末までに行った44例から、29例の疾患を発見した。センターは連携先を増やそうと、開業医や地域の病院に呼び掛けている。 

 遠隔診断は、センターのテレビ会議システムを活用したもので、開業医が自分の産院で胎児の超音波映像を撮り、インターネットで送信する。 
センター側では心臓や脳などの専門医が映像を見ながら、開業医と話し合って診断する。 

 システム運用を担当する循環器科の菱谷隆副部長(56)によると、センターにいても産院の機器で見るのと同等の画質の画像を見ることが可能で、胎児の心臓の弁の動きや、形状、血流もはっきりと分かるという。産院側に別角度からの画像を送るよう指示することもでき、一部の微妙な症例を除き、7割以上のケースで詳細な診断が可能だったという。 

 菱谷副部長によると、これまでは出産後に初めて疾患や異常が分かり、治療が後手に回るケースも少なくなかったが、同システムの導入で心室の形成異常や脳室拡大などの疾患を出産前に発見に成功し、早期の治療開始や出産直後の手術実施で、救命率の向上や後遺症の軽減につながったという。 

 費用面の負担も大きくなく、多くの産院に既に導入されている超音波診断装置やパソコンなどがあれば、ウェブカメラやヘッドホンマイクなど2万円前後の初期投資で導入でき、維持費も月額2000円程度だ。 

妊婦や家族にとっても、センターに足を運ばなくても専門的な診断を受けられ、センターから遠方に住んでいたり、入院中で移動できなかったりする場合などにも有用だ。 

 遠隔診断は県内ではまだ珍しい取り組みだ。 
同センターは県内の主要病院や産科医院に協力を呼び掛けており、現在は県東部の公立病院など3施設がシステム参加を検討しているという。 

菱谷副部長は「このシステムを大いに活用して胎児段階での診断を広め、質の高い周産期(出産前後の時期)や新生児期の医療に結びつけたい」と話している。 


遠隔診断をする医師