兵庫県 市立川西病院 医師確保し赤字脱却へ



兵庫県 市立川西病院  医師確保し赤字脱却へ(神戸新聞10・8) 


 9月下旬、関西圏のある医科大学を、市立川西病院の原田一孝病院長と岩井健事務長が訪れた。 

 「来年度から常勤医師を派遣していただけないでしょうか」 

 その大学からは、昨年から医師が足りないときに応援で派遣してもらっていた。 
期待感はあったが結局「検討したが厳しい」という返答だった。 

 岩井事務長らが、阪大病院以外の大学を訪れるようになったのは昨年から。 
月1、2回は医師派遣の要請のため出張する。 
「医師不足は患者へのサービスに加え、医業収益にも直接影響する」からだ。 

 2009年度、累積赤字は58億円に達した。 
病院事業経営改革プランができたのは昨年3月。 
消化器内視鏡センター設置や病院駐車場の有料化、業務委託の見直しなど、プラン通りに進めば11年度は黒字に転換できるはずだった。 

 しかし、医師の退職が相次いだ。 
09年に、内科や外科など6人が自己都合や医局人事で退職。 
3人減った内科は一時的に救急患者の受け入れを制限、たった1人の常勤医師が辞めた耳鼻咽喉(いんこう)科は外来のみにした。 

 7~8万人台で推移していた入院患者数は09年度、約5万9千人(前年度比約1万6千人減)に激減。 
すると入院収入も前年度比で約3億1千500万円減った。 

 医師確保がままならない背景には、04年に始まった新医師臨床研修制度の影響で、医局が医師を抱え込むようになったことに加え「立地が悪いことも影響している」と岩井事務長は指摘する。 
阪急川西能勢口駅から能勢電鉄に乗り、徒歩15分という条件が敬遠される、という。 

 公立病院の多くが同様に医師確保で悩むが、成功事例もある。 
市立伊丹病院は医師数が60人(07年)まで減ったが、今年4月時点で74人まで回復。
従来は当直扱いだった時間帯を夜間勤務とすることによって、医師が翌日を休めるようにし、負担を軽減したことなどが功を奏したという。 

 川西病院の場合、経営の健全度合いを計る資金不足比率は14・6%。経営健全化団体の指定基準20%を下回るが、長期貸し付けを除くと実際は30%前後にも達する。 
08年には長期貸し付けとして市の基金から5億7千万円を調達したばかり。 
岩井事務長は「市の財政が厳しい中、頼るのも限界がある」。経営改善は待ったなしだ。 

(川口洋光)