[京の深層]舞鶴の公的病院再編 運営組織一本化先送り=京都



[京の深層]舞鶴の公的病院再編 運営組織一本化先送り=京都 
2010.09.27 読売新聞  
  

 ◆利害衝突 市や府の調整期待 

 舞鶴市にある、設置母体が異なる複数の公的病院を再編しようとする試みで、同市が当初描いた「一つの運営組織を設立する」という構想は当面、先送りされることとなった。運営組織の一本化を図った場合、各病院の職員の身分や、財産処分をどうするか、関係者間での調整がつかなかったのが主な理由だ。同市で進められてきた再編論議を振り返り、現状での課題を考えた。(舞鶴支局長 北岡学) 

 舞鶴市には、規模の大きな公的病院が四つある。東地区の舞鶴医療センター、舞鶴共済病院、市立舞鶴市民病院、そして西地区の舞鶴赤十字病院。一般病床は計約1000床に上り、人口約9万人の市は恵まれた医療環境にあった。 

 しかし、そのことは医師や看護師が4病院に分散していることを意味し、近年、医師不足で診療科が維持できなかったり、複数の診療科で治療するチーム医療が行えなかったりする病院も出ていた。 

 2003年度と08年度の比較で、4病院を合わせた入院患者数は32%、外来患者数も34%の大幅減となったが、これは脆弱(ぜいじゃく)な診療態勢が一因とみられる。 

 危機感を強めた市は07年5月、有識者による「舞鶴地域医療あり方検討委員会」を設置し、4病院の再編論議をスタート。同年11月の答申を踏まえて設置された「公的病院再編推進委員会」で議論を煮詰め、09年4月に再編案をまとめた。 

 東地区に急性期患者向けの基幹病院、西地区に慢性期対応の病院を置いて互いに補完しあうという案で、4病院とも総論では賛成の立場に見えた。 

 ところが、各論に入ると途端に立場の違いが浮き彫りになった。再編後の各病院職員の雇用や医師の配置、財政負担などで利害が衝突。昨年9月、共済病院が再編論議から離脱し、それ以降、3病院での再編を模索して、今に至っている。 

 今月15日、浅井孝司・同市副市長は、これまでの議論の途中経過を記者発表。運営組織の一本化を先送りする方針を表明すると同時に、3病院が再編した後のおぼろげな〈青写真〉について説明した。 

 東地区の舞鶴医療センター敷地内に高度救急医療を担う「急性期基幹病院」を新たに建設し、西地区の舞鶴赤十字病院は「連携拠点病院」として、舞鶴医療センターを補完するような役割を担わせる。そして市民病院は再編後の2病院に機能を移管するという内容だった。

 一方で、舞鶴の医療体制の立て直しは待ったなしの状況だが、議論は行きつ戻りつしているかのようにも見え、市民の間で、いら立ちが募りつつある。会見の席上、浅井副市長は「ただちに理想形を求めるのは難しい。地域医療を維持するため、できることから始める」と理解を求めた。 

 今後は「急性期基幹病院」と「連携拠点病院」で、どのように医師を確保・配置するか、さらに、基幹病院の新病棟建設費をどのように工面するかといった点が焦点となるだろう。

 また、「機能を移管」とする市民病院の将来像が十分、示されていないため、市議会の理解をどのように得ていくかも大きな課題だ。 

 市民に不安を抱かせず、再編論議を着実に進めていくためにも、舞鶴市や、各病院の調整役となっている府には、今まで以上に丁寧な説明と対応が求められている。