静岡県・東伊豆町医療法人静和病院、閉院へ 患者の転退院、県が条件 診療報酬不正受給の舞台



静岡県・東伊豆町医療法人静和病院、閉院へ 患者の転退院、県が条件 診療報酬不正受給の舞台 /静岡県 
2010.09.18 朝日新聞 
  

 診療報酬不正受給事件の舞台となった静和病院(東伊豆町奈良本)が、今月末で閉院することを決め、県や一部の医療機関に方針を伝えていたことが、17日わかった。現在、50人余の入院患者が残っているが、大半が県外から転院してきた患者とみられる。 
県は、全員の受け入れ先が確保されるまでは、閉院を認めない方針としている。 

 同病院によると、17日現在の入院患者は53人。病院側は、患者が以前入院していた医療機関や近くの福祉、介護施設に閉院の方針を伝え、入院患者を受け入れてもらえるよう要請している。 
まだ転院先の決まっていない患者もいて、病院側は引き続き、受け入れ先を探しているという。 

 県医務課には、8月中旬に同病院から閉院の方針を伝えられたという。 
同課は、入院患者の転退院が適切に行われるよう慎重に見守る方針。 
同課は「一人でも患者が残っているうちは、閉院届を受理することはできない」としている。 

 同病院をめぐる診療報酬の不正受給事件では、元院長と元事務長らが虚偽の勤務表を作成するなどして不正に診療報酬を請求し、約8700万円をだまし取ったとされる。 
詐欺罪や健康保険法違反の罪に問われ、3月に地裁沼津支部でそれぞれ懲役6年6カ月と同5年6カ月の有罪判決を受け、いずれも控訴している。 


 ●入院の大半、県外の生活保護者 

 静和病院は1988年4月に開院。 
ホームページによると、内科、外科、整形外科を併設する療養型病床群併設病院で、病床数は307(一般病床55、慢性療養型病床252)を数えるが、入院患者の多くを県外からの患者が占めている。 

 医療関係者らによると、不正の疑いが発覚した2008年当時、入院患者の大半が、首都圏から来た生活保護者だったという。生活保護者の医療費は、公費でまかなわれるため、支払いが滞ることはない。 
一方で、診療報酬は入院が90日を超えると目減りすることから、長期療養の患者を敬遠する病院も多いが、同病院は行き場を失った生活保護者の転院受け入れに積極的だったという。 

 09年に吉田晃院長(当時)が詐欺容疑で逮捕・起訴され、病院管理者が変わったのを機に、県は、新たな入院患者の受け入れ中止と入院患者の転退院を指導してきた。このため、患者数は徐々に減っていたという。 

 閉院の影響について、県は「地元の外来患者は少なく、入院患者はほとんどが県外の人。地域医療の観点からは、大きな影響はないのではないか」としている。 

 一方、首都圏の自治体も対応に追われてきた。 
元院長の逮捕後、神奈川県は県内の福祉事務所に、静和病院への入院自粛や転退院への取り組みを進めるよう指示。 
今年7月には、県医師会や病院協会に転院患者の受け入れに協力するよう要請していた。 
同県生活援護課は「県出身者がどれだけ入院しているかはつかめていないが、適切に対応したい」としている。