浜松医療センター・・一般財団法人へ転換 公的役割、早期明確化を



浜松医療センター・・一般財団法人へ転換 公的役割、早期明確化を(大西厚志/浜松総局) 
2010.08.27 静岡新聞 
  
浜松市は7月末、同市中区の県西部浜松医療センター(運営・市医療公社)について、病院経営の立て直しの手段として、地方独立行政法人への移行を目指していた方針を撤回し、公社の一般財団法人への転換を軸に、自主運営可能な経営形態を整えていく方針を決めた。 

同センターが公立病院の役割を果たしながら、黒字経営を続ける両立ができるのか。 
肝心の市民が期待する公立病院の役割の見極めなど、残る課題は小さくない。 

 市が挙げる今回の改革のポイントは 

▽会計一元化のための利用料金制導入 

▽中期目標・計画の策定 

▽評価委員会による外部チェック体制の継続―など。 

 センターの会計は現在、病院事業会計と公社会計の二つがある。 

例えば診療報酬はまず市の病院事業会計に入った後、市職員の人件費や事務費を差し引いて公社に交付されることから、「経営責任が見えにくい」など課題が指摘されていた。 
このため市は来年度から取り入れる利用料金制で会計の明瞭化を図る。 
徳増幸雄市健康医療部長は「すぐにできる改革」と力を込める。 

 改革の狙いは運営主体の自立性、透明性の確保と、病院の公共性の担保。2013年をめどとする一般財団法人への転換で、金融機関から独自に長期の借り入れができるようになることも含めて経営の自立性は高まるとする。 

公社幹部は「これまで市や市議会の決定・議決を待っていた医療機器の導入、更新なども迅速に行えるようになる意義は大きい」と説く。 

 このほか、独法化への検討の中で既にスタートさせた外部評価も継続させる。 
今後、新病棟を完成させ、他の民間病院と比べて見劣りする施設環境を整え、新装なった公社への資産譲渡も考えるとしている。 

 しかし、財政面の見直しが進む一方で、生まれ変わったセンターの目指す姿は定まっていない。 
高度な設備や手厚いサービスで民間病院と競うのか、公立病院として民間病院が敬遠しがちな不採算部門を中心に補完的な役割を果たすのか、両者の役割をどういう割合で担うのか。
公社の鈴木伸幸理事長は「地域医療の『最後のとりで』の役割はなくせない」と話す。 

 7月末、市内で開かれた市行財政改革推進審議会の公開審議では、委員から「来年3月末までに『公的病院像』の方針を出すように」と意見が相次いだ。市側は評価委員会の意見も参考にしながらまとめたいとするが、策定時期は「できるだけ早期に」(健康医療部)と定まっていない。 

 効率経営を目指しながら、市民の健康や生命を守ることを主眼にどういう公立病院像を描きだすのか。今回の改革の成否が分かるのは、その答えが出てからだ。