雲仙・南島原保健組合:公立新小浜病院の指定管理者、東京の宛田会と協定



雲仙・南島原保健組合:公立新小浜病院の指定管理者、東京の宛田会と協定  /長崎 
2010.08.22 毎日新聞   
  

 雲仙・南島原保健組合(管理者=奥村慎太郎・雲仙市長)は、公立新小浜病院と公立介護老人保健施設「老健おばま」の来年度からの指定管理者を東京の医療法人社団苑田会に決め、21日に基本協定を結んだ。指定は10年間。 

 苑田会は東京都足立区で救急指定病院2院など7病院(811床)を運営し、救急車搬入実績は2院で年間約1万1000台。介護付き有料老人ホームなど15施設も経営する。 

 苑田一郎理事長(61)は南島原市有家町出身。雲仙市役所千々石庁舎であった協定調印式で、奥村市長は「地元出身の苑田理事長に地域医療を担っていただけて心強い」。 
苑田理事長は「人生の仕上げの時に古里の人たちと歩んでいけるのは喜び」と話した。 

 新小浜病院は150床、職員225人。02年に国立小浜病院の経営移譲を受けて開設した。 
苑田理事長は「東京で進めてきた救急医療で地域に貢献したい」と述べ、15ある新小浜病院の診療科目は当面維持し、医師の確保に努める意向を示した。 
また、老健おばまは全個室の71床、職員58人。いずれも雲仙市小浜町にある。 
指定管理者の公募には、苑田会だけが応募していた。現在の指定管理者の医療法人三佼会(諫早市)は来年3月末で撤退する。【古賀亮至】 


公立新小浜病院など2施設/指定管理者を募集/雲仙・南島原保健組合 
2010.05.07長崎新聞  

 雲仙市と南島原両市でつくる一部事務組合の雲仙・南島原保健組合(管理者・奥村慎太郎雲仙市長)は同市小浜町の「公立新小浜病院」と「公立介護老人保健施設老健おばま」の指定管理者を募集している。 
指定期間はいずれも来年4月から10年間。 

 応募資格は公的医療機関の開設者や、医学部を置いている大学、医療法人、社会福祉法人など。事業計画書や収支計画書などを添えて同組合に申し込む。締め切りは21日。同組合が選定委員会を設置して審査し、決める。 

 同病院は国立小浜病院の経営移譲を受け、2002年から同組合(旧小浜地区保健環境組合)が管理。運営を医療法人三佼会(諫早市)に委託し、05年に指定管理者制度に移行した。来年3月末で指定期間が満了となるため、指定管理者を公募している。 

 同病院は現在、内科、神経内科、循環器内科、消化器外科、外科、整形外科、脳神経外科、リハビリテーション科など計15の診療科目があり、病床数は150。老健おばまは入所定員71人、通所リハビリ定員29人。 



特集2 公立病院で経営譲渡ラッシュ~始まった公立病院の民営化 医療法人も運営の担い手に 
2005.07.01 日経ヘルスケア 
  
経営難・財政難に、市町村合併や建て替えの必要性から、多くの自治体病院が民営化を含む運営の見直しを迫られている。 
地方自治法の改正で、医療法人がその担い手になる道も拡大された。引き継ぎと再建のノウハウを心得て、この機を事業拡大につなげたい。 

 1990年代に始まった国立病院の委譲は一息つき、今度は都道府県や市町村など地方公共団体が開設する病院が、待ったなしの状態に直面している。例えば福岡県では、この4月、5つの県立病院のうち、2病院が完全民営化、1病院が公設民営化された。 

 人件費がかさむことが主な要因で、大半の自治体病院は大幅な赤字を計上、一般会計から多額の繰り入れを余儀なくされてきた。しかし、景気の落ち込みにより自治体の財政状態は悪化し、もはや病院の赤字を補填する余裕はなくなってきている。 

市町村合併や建て替えも要因 

 市町村合併の動きも、自治体病院の再編に拍車をかけている。国の財政的後押しもあり、全国で3000超あった市町村は、ここ数年で2000を切るまでに減少する見通しだ。「合併話をきっかけに病院再編の議論が始まり、その結果、民営化を選ぶ自治体も増えている」と、全国自治体病院協議会事務局長の根岸勇夫氏は指摘する。 

 建築後30年以上たち、建て替え期を迎えている自治体病院も珍しくないが、病院に多額の設備投資ができる自治体は限られている。地方の病院を中心に医師不足も深刻だし、相次ぐマイナス改定の影響も受けている。 

 こういった様々な問題に直面し、民営化に踏み切る自治体が増えてきているのだ。 

 その典型的な手法が、横浜市立みなと赤十字病院のように、自治体が開設者となって土地・建物を所有し、運営を民間に任せる「公設民営」だ。 

 従来の「管理委託」制度では、地区医師会や日赤などの公共的団体しか受託できなかった。54ページで紹介する長崎県の公立新小浜病院のように、特定医療法人が受託したのはごく例外的なケースだ。 

 しかし、2003年の地方自治法の改正で、「指定管理者」制度が新設された。この制度では、医療法人のような民間事業者も指定管理者になれるし、予算や人事などの面で、運営上の裁量の余地がより大きくなった。 

 そのほか、大分県の旧佐賀関町(現大分市)のように、町立病院の土地・建物を譲渡し開設者も変わる完全民営化の例も出てきている。新潟県巻町でも、165床の病院と老人保健施設の民営化計画が進行中だ。 

“お墨付き”があると有利 では、病院の経営譲渡を受けるためにはどうすればいいのか。 

 公設民営でも完全民営でも、自治体は公益性の高い法人を譲渡先の条件とする例が多い。
一般の医療法人は門前払いになる可能性が高く、特定医療法人か特別医療法人になっておいた方が、チャンスは広がるだろう。 

 また、巻町では、当初は特定医療法人が条件だったが、手を挙げた医療法人と合意に至らなかったため、再募集の際は、日本医療機能評価機構の認定を受けていれば応募可能にした。ISO9000シリーズの認証や公認会計士の監査など、医療サービスの質や財務内容について、第三者のお墨付きを得ていると有利になる可能性が高い。 

 それ以上に大切なのは、地域住民からの信頼だ。ケーススタディで紹介する佐賀関のように、旧病院で働いていた医師たちで法人を作るような場合は、地域での信頼が既に確立しているだろうが、そうでなくても、その地域から来院する患者に対して、日頃からきちんとした医療を提供する姿勢をアピールしておくことは欠かせない。 

 もっとも、大都市への編入などに伴い、民営化が必須になった場合、自治体もあまり厳しい条件は譲渡先に求めないようだ。佐賀関や巻町で医療法人も譲渡先の対象にしたのは、このためだろう。 

 厚生労働省は、現在検討中の認定医療法人(仮称)に自治体病院の受け皿の役割を期待している。医療法人制度の改革が実現した暁には、認定医療法人になることで、いっそう譲渡を受けやすくなりそうだ。 

経営には制約がつきもの 

 民営化は自治体病院以外へも広がる気配を見せている。社会保険や厚生年金、労災などの病院の民営化も検討されているし、JTが専売病院の経営譲渡に踏み切ったように、企業立病院にも波及している。民間にとって魅力的な急性期病院が、譲渡先を募集する例も今後増えてくるだろう。 

 当然、譲渡の対象になるほとんどの病院は、経営状態が芳しくない。従って、引き継ぐ医療機関は、相応の経営改善の取り組みが不可欠になるが、民間の経営ノウハウを生かせば、黒字化はそれほど難しくないようだ。 

 これまで約10の国公立病院の管理運営を手がけてきた地域医療振興協会地域医療部の横山津一氏は、「給与の大幅引き下げや人員削減をしなくても、経営は改善できる。あいさつ一つしなかった看護師が『おはようございます』と言うだけで、患者に与える印象は大きく変わる」と指摘する。 

 ただし、譲渡の際に診療機能や職員の雇用に条件が付くことが多いし、民営化後も、地域住民はもちろん議会による監視の目がある。こうした制約の中で、譲渡を受けた民間側はどのように再建を果たしたのか。その実例を紹介する。 


横浜では634床の大病院も民営化、日赤が病院閉じて引き受け 

 今年4月1日、横浜市中区にオープンした「横浜市立みなと赤十字病院」(634床)。土地・建物は横浜市の所有で、開設者も横浜市だ。日本赤十字社が、指定管理者として今後30年間運営に携わる。 

 この病院は、横浜市が市立港湾病院(300床)の再整備後のあり方を検討する過程で生まれた。同病院は、一般会計から多額の繰り入れをしており、その額は病院の増床・建て替え後には、年間25億円以上と見込まれていた。このような状況から、築後40年にもなる施設の建て替え工事中に検討が進められた。 

 市の検討委員会は完全民営化を打ち出したが、土地・建物が高すぎて買い手がつかず、公設民営化の道を探ることになったという。 

 同じころ、横浜赤十字病院(横浜市中区、380床)は、建物の一部がやはり築40年近くで、最新の耐震基準を満たしておらず、災害時に救護の拠点になるという使命が果たせそうにない状況にあった。だが、診療報酬のマイナス改定や医療制度改革を考えれば、新築には踏み切れなかった。 

 横浜市は、日赤や医学部を持つ学校法人などを対象に指定管理者を公募。日赤と別の公益法人が手を挙げ、審査を経て日赤に決まった。指定条件には、精神科医療(救急および身体合併症治療)や緩和ケア、患者・市民への情報提供や研究も含む総合的なアレルギー診療などを行うことも含まれている。 

 診療報酬は市の口座を経由して日赤に振り込まれる。年間医業収益が113億円以下の場合、日赤は負担金(いわば施設使用料)として年に約6億円を市に支払うが、113億円超の部分については、その1割を支払えばよい。つまり、医業収益が増えれば大半が日赤の収入になる。 

 横浜市病院経営局は、「指定管理者の努力が金銭面で報われる契約にした」と話す。一方日赤は、「医療の安全を重視しつつ、3~5年で利益を出せるようにしたい」としている。



※このほかに公共的団体に公の施設の運営を委託する「管理委託」があったが、2003年の地方自治法改正で廃止された。 

公設民営方式で今年4月1日にオープンした 

横浜市立みなと赤十字病院 

【日経ヘルスケア】