経営悪化 道内の公立病院 *10市町 収支目標未達成09年度 *常勤医不足響く



経営悪化 道内の公立病院 *10市町 収支目標未達成09年度 *常勤医不足響く 
2010.08.13 北海道新聞        

 病院経営悪化のため、国から病院財政について一定の制約を受けている道内14市町のうち、10市町の2009年度病院事業収支が、国の指導で策定した「公立病院改革プラン」の収支目標を達成できなかったことが、北海道新聞のまとめで分かった。 

同プランで計画した常勤医師数を確保できなかったのが主な原因。 
国は09年度から3年程度で収支の黒字化を求めており、目標を達成できない状況が続くと、改築や医療機器の購入など、新規の投資が認められない可能性が出てくる。 

 道内では81市町村が病院を経営しており、このうち14市町の病院会計は著しく悪化。
財政健全化法で破綻(はたん)一歩手前とされたり、債務の返済を繰り延べたりしており、国が年1~2回の収支報告を義務付け、新たな起債(借金)を制限している。 

 北海道新聞はこの14市町に、改革プランの初年度に当たる09年度の事業収支を示す経常収支の決算見込みを聞いた。 
それによると、目標達成は留萌市、美唄市、空知管内由仁町の3市町だけ。 
留萌市は約3億4千万円の赤字だが、常勤医の確保が順調で、収支は改善しているという。

 一方、小樽市、根室市など10市町は目標より収支が悪化した。 
残る渡島管内松前町は特別交付税が増え、目標を達成したが、交付税を除く収支は目標を下回っている。 

 小樽市の改革プランは09年度の経常収支を2千万円の赤字と計画したが、実際は4億9千万円の赤字となった。市病院局は「医師5人が退職したため、呼吸器内科が休診し、患者数が目標を14%下回った」と説明する。 

 医師1人の診療収入は年1億円程度とされ、医師が減ると、収支悪化に直結する。 
根室市も内科の常勤医数をプランで8~9人としていたが、6人にとどまり、医業収益が計画を2億円も下回った。 

 道によると、改革プランと実際の収支が大きく異なる場合は、プランの見直しが必要になるとともに、起債の制限が続き、新規投資が難しくなるという。 

 地方財政論に詳しい北海学園大経済学部の西村宣彦准教授は「黒字化という国の指導に合わせるため、自治体が甘い計画を策定した面もある。 
計画から乖離(かいり)した原因を市民に説明し、赤字をどう解消するのか、情報を公開し、議論する必要がある」と話している。 


◇公立病院改革プラン◇ 

 累積赤字を抱える公立病院に経営改善を迫るため、総務省が2007年に「公立病院改革ガイドライン」を策定。各自治体に対し、08年度中に経営健全化に向けた「改革プラン」を作り、09年度から3年程度で経常収支を黒字化することや、場合によっては規模を縮小することなどを求めた。道内では病院を経営する81市町村のうち、小樽市など14市町がプランの策定を事実上義務付けられ、他の67市町村もすべて策定した。