長野県立木曽病院 集合体から「組織体」へ



長野県立木曽病院 集合体から「組織体」へ 
医療技術部発足から4カ月 
2010.08.11 Medical & Test Journal  
  

 長野県立木曽病院はこの4月に地方独立行政法人に移行した。 
木曽地方で唯一、急性期から在宅まで幅広い医療を提供する拠点病院の経営の一翼を、臨床検査技師で副院長の宮島喜文氏が担うことになって約4カ月。 
専門が異なる多職種からなる医療技術部を、1つの組織体として機能させる環境整備を進めている。 
副院長としては、次の改革プランに同院の地域での立ち位置や機能をどう書き込むべきかを思案中だ。 

 長野県立木曽病院(259床、一般207床・療養48床・感染4床)は今年度から非公務員型で人事などの経営的な自由度が高いとされる地方独法に移行した。 
体制面の特徴の1つは、医師、看護師以外の医療専門職を集約・統合して医療技術部を設置したことだ。 

 医療技術部には臨床検査科、放射線技術科、薬剤科、栄養科、リハビリテーション技術科、臨床工学科の6科、40人以上の専門職が所属する。医療技術部長として宮島氏がまず手掛けたのは理念や運営方針の策定だった。 

 運営方針には、技術職員の集団として医療技術の向上を図り、診療部門などとの連携を密にし、診療支援の充実と効率的な病院運営に取り組む-との方針を明記した。 
自立心が旺盛な技術者集団に組織としての統一的な目標を理解してもらうことで「多職種による単なる集合体から、1つの組織体として確立させたい」と宮島氏は語る。 

 目下のテーマは看護部門との連携強化だ。 
地方独法化により人事面の裁量が拡大したとはいえ、都市部に偏在する人材をどう確保するのかは同院の経営課題の1つ。 
特に看護部はスタッフ不足に悩んでおり、ほかの専門職が業務を分担するなどして支援する必要が生じている。 

そのため医療技術部はヒアリングを通じた現状把握や支援策の検討を始めた。 
臨床検査科としては事務担当で有資格の非常勤職員に検査業務に当たってもらい、内視鏡の認定資格を持つ検査技師の配置換えなどを想定しているという。 

 人材育成の面では職員個々人の資質向上のため学会などに積極的に派遣する考えだ。 
地方独法化以前は部署単位で事務部門に出張や経費の申請をしていたが、医療技術部の予算枠を確保し、7月には内規を作成した。 
演題発表者と同行者1人の旅費などを支給するもので、「先輩が若い人を連れて行き、次の機会には(後輩が)自分で発表できるようにしたい」(宮島氏)。発表実績は人事考課にも反映させるとしており、専門職として自己研さんを継続するインセンティブとする。 

●経営者の目線で 

 公立病院の約7割が赤字とされるなかで、木曽病院は1999年から09年まで連続黒字を計上している。 
11年度末までの4年間の同院の改革プランには、地域の拠点として多様な医療・介護機能を提供し、がんの診療にも力を入れる方向を明記している。 
ただ、今後は患者数の減少、介護ニーズの増大が予想され、「これまで整えてきた“総花的な機能”を再点検しなければならなくなるのではないか」と、経営幹部として個人的に考えている。 

 「専門技術は高く、仕事は幅広く」というのが院長の久米田茂喜氏が求める職員像。 
同院がこれまで健全経営を維持できた背景には、医師は365日24時間オンコール体制をとり、検査科職員も15分以内に病院に駆け付けるなどの職員の努力があった。 
患者動向の変化も踏まえつつ、決して潤沢とはいえないスタッフで地域の医療・介護を支える機能をどう構築すべきなのか-。 
長野の県立病院では初となる検査技師の副院長として、また医療技術部長としての試行錯誤はこれからが本番だ。