市立小樽病院の新築で浮上した医師会の不満と財政負担の懸念・・・・特集 頼れる病院ランキング 



市立小樽病院の新築で浮上した医師会の不満と財政負担の懸念・・・・特集 頼れる病院ランキング  
 2010.08.21  週刊ダイヤモンド(抜粋) 


小樽市はこの5月、新しい病院の建設予定地を「変更する」と発表。 
一時中断していた新病院の建設計画が急きょ、動き出した。しかし、地元には不満と不安が渦巻いている。 

 2003年の基本構想の決定から、「基本設計の中断」「建設地の変更」と迷走を続けた新小樽市立病院の計画概要が、今年6月にようやく固まった。 
市立小樽病院(223床)と小樽市立脳・循環器・心の医療センター(222床)を統合し、23診療科による計388床の総合病院を14年にオープンするというものだ。 

 小樽市病院局経営管理部の吉川勝久部長は、現状をこう語る。「建物の老朽化が進み、医師から選ばれない病院になっていた。 
新病院ができなければ、赤字がますます増えていく」。 

 だが、地元の小樽市医師会には今回の計画が決まるまでのプロセスに不満が鬱積している。 

 地域医療を支えるうえで、地元の各医療機関の明確な機能分担が欠かせないが、医師会は蚊帳の外に置かれたからだ。 
「医師会は、地元の病院と重複する診療科をどうするか、市との十分な協議の場を持ちたいと言ってきたが、かなわなかった」(津田哲哉会長)。 

 医師会に新病院の計画が具体的に説明されたのは、6月14日。市議会予算委員会で、新病院の基本設計の予算案が通過した日だっだ。 

 すでに、北海道済生会小樽病院も将来の移転・新築の計画を進めているが、「市長と済生会の話し合いを市の幹部に求めたが、実現していない」(津田会長)。 

 市長が新病院の建設を強引に進める理由はどこにあるのか。ある地元医師は、「この4月に小樽市が、人口の減少率や高齢化率などで決まる“過疎地”に認定されたことが大きい」と指摘する。 

 新病院の建設は財源不足のため頓挫していたが、過疎地になると「過疎債」が発行可能になる。これで病院建設費約146億円の半額を捻出できるというわけだ。 
もっとも、このまますんなりと新病院の建設が進むとは限らない。 


目標を大幅に上回った09年度の資金不足比率 

最大の懸念は、現在の市立病院の経営状況だ。小樽市が公表した病院改革プランの進捗状況によると、資金繰りの厳しさを示す資金不足比率(09年度)は、目標値を11ポイント上回る15・3%(二つの病院の合算値、以下同)。 
資金不足を解消できなければ、過疎債の起債もままならない。 

 しかも、病院の有力な経営指標である病床利用率は、病床数を減らしたことで61・7%に回復したが、計画した医師5人の確保ができず収益は悪化。 
一般会計からの繰入金を除いた実質収益対経常費用比率は、72・7%にまで落ち込み、赤字を垂れ流している(右図参照)。 

 医師会が「今後、生じる財政的な負担について市民に十分な説明をすべき」と訴えるのも当然だ。 

 次のヤマ場は、8月18日に公開で行われる医師会と市立小樽病院の会合だ。この場の議論が、今後を大きく左右するのは必至である。