参議院予算委員会  議事録(医療ツーリズム部分)





2010年8月5日(木)
参議院予算委員会  議事録(医療ツーリズム部分) 
  
議長:辻泰弘君 
  
辻議員:時間の関係で、次に進めさせていただきますけども、新成長戦略に関連してお伺いしたいと思います。 

まず一つは、医療のこと、いわゆる医療の産業化、医療ツーリズムと言われる、取組の一面もあるわけでございます。過般の6月の新成長戦略の中にも外国人医師による国内診療を可能とするなどの規制緩和を行う、円滑な外国人患者の受け入れを図る、海外プロモーションなどの推進体制を整備するとこういったこともあるわけですけれども、こういった医療の産業化という言い方がいいのかどうか分かりません、「医療ツーリズム」というのは厚生労働省では使わないということ、そういった答弁ではございますけれども、いずれに致しましても、医療の周辺の産業化というものはあるだろうし、医療に係わる雇用の増大というものはある、そのことは十分理解するのですが、医療の中身自体に、競争原理を導入したり、経済産業の一つの分野と位置づけたりするのは、少し私は違うのではないかと、このように思っております。 

そこで厚生労働大臣と経産大臣にお伺いしたいのですけれども、私はやはり国内医療の、今でも大変な状況の中で、国内医療の余裕があくまでも前提でなければならないと、このように思うことが一つ。 

それから、医療の分野に利潤追求の論理や風潮を持ち込んではならない、このことが一つ。

そして、もう一つは医の倫理にもとることがあってはならないと、こういう風に私は思っております。 

こういったことを踏まえつつ、医療の係わる、関連する周辺部分の産業化的な物はあり得ると思うのですが、そのことについて、厚労大臣、経産大臣の御所見をお伺いしたいと思います。 
  
議長:最初に長妻厚生労働大臣 
  
厚労大臣:まず今ご指摘いただいた点は、成長戦略の中にも、我々も合意をして、盛り込んで頂いたものでございます。 
例えば、海外の富裕層の方が、日本に来られて日本は世界の長寿国でありますので、日本の医療のブランドカというのは、世界に冠たるものがございます。 
その意味で日本に来られて健診を、最高水準の健康診断を受けられる、あるいは、海外では非常にまだレベルの低い、日本ではレベルの高い治療を受ける、こういうようなニーズがあると思います。そのときに、やはりその国内のメリットと致しましては、病院でも、赤字の病院があるとすれば、そういうところに富裕層の方が来られて、それはもう、全額自己負担でありますので、全額自分でお金を払っていただく訳でありますので、そういう意味では、その収入に基づいて設備投資をしていただく、医療の質を上げていただく、こういうようなことは考えられます。 

ただ、辻議員が言われましたように、注意しなければいけないのは、もちろん、言うまでもありませんが、日本国民の医療が、横に置かれるようなことがあっては絶対にならない訳でありますので、一定の余裕の中で、そういうような対応をしていただくということで、あまりにも富裕層の方が日本に来て、日本の医療、日本人、日本国民に対する医療が非常におろそかになるような事態になれば、一定の歯止めをするということは当然であるという風に考えております。 
  
議長:直嶋経済産業大臣 
  
経産大臣:今、厚生労働大臣の方から医療制度との関係をお答えいただきましたが、基本的にその立場は変わっておりません。 

医療介護関連サービスは、高い成長と雇用の創出が見込まれている分野でございまして、我々としても、国皆保険に代表される日本の医療制度を維持・充実させるものとなるということを前提に行うべきものと認識しております。 

こういう視点に立って、従来から医療の進歩を支える医療機器、あるいは医療分野における研究開発支援や開発環境の整備等を行って参っておりますが、今、お話に出ました、国際医療交流の推進にも今後取り組んで参りたいと思っております。 

そして、国際医療交流により外国の方が日本の高度な医療を受けやすくなる環境を整備することは、医療技術の進歩に不可欠な資本や技術の蓄積を可能にし、日本の医療の基盤の強化に資することになると思っております。 

私、時々、例を挙げて言うのですが、例えば千葉県を例に挙げて言いますと、医療分野というのは本当に雇用の吸収力の広いところでございまして、千葉には、世界で有名な鉄鋼会社はじめ、あまたの企業がございます。一流企業がございますが、 

今、千葉県で一番雇用が生まれているところは、そういった有名会社ではなくて、千葉の南の方にあります、亀田病院という病院でありまして、ここ数年すごく雇用者数を拡大されています。 

従って、辻議員からご指摘があったように、日本の医療制度はきちっと維持をしながら、新しい分野として開拓していこうと、こういった考え方でございます。そのことが、先程総理から答弁がありました、雇用の拡大にもつながってくると、このように思っております。 
  
議長:辻泰弘君 
  
辻議員:今の国際医療交流というのは、医療ビザというのを発給するというようなことも考えられているわけですけれども、結果として、例えば生体肝移植をですね、国際的に進めるといいますか、家族といっても一夫多妻制の国もある訳でございまして、そういった意味で、生体肝移植が医の倫理にもとることなく、臓器売買的な側面を持たずにすむのかという懸念も無きにしもあらずで、そういったことも含めて、慎重に進めていただくようにご要請を申し上げておきたいと思います。 

時間が参りましたので終わりますけれども、今後とも人間のための経済社会、そのことを目指して、菅総理以下、閣僚の皆様方に御奮闘頂きますように、心からエールを送らせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。