"がんばらない"けど"なげださない"生き方のヒントが見つかるエッセイ集



日刊:鎌田實 なげださない 


“がんばらない”けど“なげださない”生き方のヒントが見つかるエッセイ集2010年7月 3日 (土) 
村上先生、がんばれ 
夕張医療センターで、騒ぎが起こっている。 

理事長の村上智彦先生が、自殺を図って心肺停止状態の患者さんの受け入れを拒否したという。 

19床の有床診療所はいま、一人体制である。 
とても24時間体制で救急を受け入れられる状況ではないようだ。 

夕張市の救急の予算は年間120万円。 
その予算でさえ医師会の事務職員の人件費として消えている。 
実質ゼロだという。 

苦境に陥った夕張市を助けたいと、夕張市に赴いた村上先生。 
この動機を、行政やマスコミ、地域の人たちは理解する必要があるのではないか。 

家にいたいというお年寄りを、彼は必死で診ている。 
在宅患者は120件という。 
外来も混雑している。 

110床の特別養護老人ホームも、グループホームも運営している。 
40床の老人保健施設にもかかわっている。 

老人保健施設には担当医師がもう一人いるようだが、この規模の施設を理事長として一人でコントロールし、24時間体制で在宅ケアをしながら、なおかつ24時間365日、救急患者を受け入れることは現実的にはできない。 

救急の受け入れを拒否したというバッシングではなく、厳しい現状のなかで、どう改善していくべきか、話し合っていかなければならない。 

夕張市内には、夕張医療センターを含めて5つの医療機関があるという。 
隣町まで、車で1時間から30分のところにいくつかの病院がある。 

どんなに大変でも、医師は地域の人に認められ、感謝されることで、がんばれる。 
だが、どうも夕張では、何かが空回りしているような気がする。 
村上先生の熱い意気込みが切れてしまわないことを祈る。