手強い?心強い?  全適の中央病院に労働組合が発足



2010年6月30日 県南新聞 

手強い?心強い? 
全適の中央病院に労働組合が発足 

 7月1日から十和田市立中央病院が地方公営企業法の全部適用に移行することを受け、同労働組合(町屋堅太郎執行委員長)の結成大会が25日、約80人が参加して富士屋ホテルで開かれた。 
 既報のとおり、組合加入率が50%を超えると団結権や団体交渉権があり、今後の経営健全化の中で給与等にメスを入れる場合は、労組と事業管理者で交渉を行い、労働協約を交わさなければならない。 
 大会当日現在の組合員数は二246人で、組織率は53.8%。 
 ギリギリの数字に見えるが、これは全適移行前は一般職や医師、看護師など計389人を分母にしていたものを、移行後は非常勤嘱託や臨時職員、パートタイマーなどを含めた全職員457名を分母に計算しているため。 
 実際に全適移行後は医師を含めた管理職や短期のパートタイマーなどが外れる予定なので、加入率は60%前後となりそうだ。 
 結成大会では町屋委員長が「病院を巡る状況は厳しいが、市民に信頼され、質の高い、魅力ある病院を目指すことで展望が拓けると思う。いつでもどこでも安心してかかれる病院を目指したい」とあいさつ。 

労使の関係がより対等に、医療の世界も労基法の聖域でない  
町屋堅太郎委員長 

 続いて「組合結成のメリットとして、管理者は良くても悪くても組合の要求に回答を出さなくてはならない。労使の関係がより対等になる」 
 「どこか医療の世界は労基法が及ばない世界―という意識があるが、医療も適用外の聖域ではない。職員一人一人の意見が重要であり、団結することで目標を達成できる」 
 「不採算の事業もやるのが公立病院の役目で、その予算を国、県と交渉するのは市長部局であり、上部団体として市職労と一体となって活動していきたい」などと報告。 
 最後に「一人一人の力は小さいかもしれないが、まとまると大きなパワーになる。新たな道はイバラの道かもしれないが、もう戻ることは出来ません。一歩前へ―を合言葉に頑張りましょう」と呼びかけた。 

十和田はうらやましい、組合としての取り組みがよかった    
藤森友子議長 

 このあとの祝賀会では自治労県本部衛生医療評議会の藤森友子議長が「全適は県内4番目だが、おそらくまだなっていないところも2~3年後には全て移行すると思っている。十和田は大変うらやましい。市職労のバックアップも良く、組合としての取り組みが良かったので今回は全適になったと思う。ただ一丸となって組織力をアップしないと弱い立場になってしまう」 

委員の心境が独法から全適に変わったのは、組合の力です   
小山田久市長 

 小山田久市長が「私は段階的に、まず全適からやるべきだと思っていたが、委員の心境が独法から全適に変わったのは、実は組合の力です。病院をなんとかしなければならないという協力的な姿勢が長さんはじめ委員の心を動かしたと思っている。これで組織的には市から離れることになるがこれからも一緒になって経営改善にあたりたい」と新組合発足にエール。 

 公務で出席できなかった蘆野吉和院長のメッセージを、三沢克事務局長が「目標はあくまで地域の医療を守ることで、その最後のとりでとして中央病院が存在しなくてはならない。経営形態の変更はそのための手段で、しっかりとした態勢をつくることが私の、全職員の、組合員の役割です。旧組合との間で作られ、長年守られてきた既得権も多くあると思うが、市民の目から見て改善すべきもの、再検討すべきものも少なくないと思う。市の優秀な人材の雇用を守るため、新たな視点で一緒につくり上げていただきたい」と読み上げた。 
 最後は組織内職員の畑山親弘市議が「市職労、病院労組の積極的な活動が長委員長らに深い感銘を与えたと思う。一丸となってやれば何でもできることを強く感じた。県内トップクラスの病院を目指して頑張っていただきたい」と乾杯の音頭を取り、祝宴に入った。 



専門職が評価される給与体系をつくる 
蘆野事業管理者 

 7月1日から地方公営企業法の全部適用(全適)に移行する十和田市立中央病院は、市長部局から独立、蘆野吉和院長が事業管理者として陣頭指揮を執る。 
経営改革委員会の答申では「事業管理者は公募し、市長が任命する」としていたが、小山田久市長は時間的余裕がない等を理由に公募しなかった。 

1月から業績向上 今の体制が良いだろうと 
小山田市長 

 23日の記者会見で同市長は「早急に経営改善を進めなければならないし、現状と中身をよく知っている人が(事業管理者に)望ましい。1月から業績が上がっており、今の体制がいいだろう。今後も事業管理者として成果を発揮出来るものと期待しています」と任命理由を語った。 

今後は経営する体制を作れる  
蘆野院長 

 蘆野院長は「就任5年目になりますが、意識改革は少しずつ定着してきたと思う。それが経営面に反映されなかったが、今後は経営する体制を作れるので、支出の面で見直しをかけるのが大きいのでないか。経営危機に直面し、改革に着手したことで入院患者も徐々に増えてきた。5年、10年先の病院の存続を確かなものにするため経営体制を磐石なものにしていきたい。地域の皆さんが、安心して暮らせるように、この上十三の最後のトリデを守っていきたい」と抱負を述べた。 

以下、記者団の質問に次のように語った。 

Q:事業管理者を引き受けた一番の理由は何か。 
院長:一つは逆に引き受けなかった場合はどうなんだろうと考えた。私としては継続は不可能と考えた。 
もう一つは、高齢化社会を迎えるにあたり、医療の在り方を変えていこうと思った。もう少し頑張れば必要な新しい医療がこの場に誕生するので引き受けざるを得ないと考えた。 
事業管理者になると年収が4、500万円下がる 
Q:給与が下がるという話があったが、どの位下がるのか、志気に影響はないか。 
院長:年収で4、500万円4分の1カットになる。医師としての手当がなくなるが、医師を辞めると1人欠けるので苦しくなる。 
 体力が続く限り覚悟を持って仕事をしていきたい。 
Q:痛みを一緒に分かち合っていくとのことだが、人件費の削減に取り組むのか。 
院長:単に給与カットではなく、専門職が多いので、きちんと評価する給与体系をつくる。そうでないと全適の意味がない。透明性をもって対応していきたい。 
Q:経営面の結果責任についてだが、合格ラインは? 
市長:単年度の黒字が前提になるが、今年度は市からの繰入金も大きいので、ぜひ黒字を目指してほしい。 
 来年度以降については3段階に分けて数値を作成することになると思う。大事なことは病院と市民との間にギャップがあってはならない。できるだけ市民と話し合いの場をつくり、理解を求めていきたい。私は設置者として管理者と共に経営改善に取り組んでいきたい。              ―以上― 

3カ月に1回のペースで専門家からアドバイスをもらう 

 経営改革検討委員会から「評価委員会において、22年度の収支目標の達成状況を毎月確認しつつ、目標達成困難が予測される場合、地方独立行政法人、非公務員型へ移行の検討を開始する」と指摘されていたが、同市長は「3カ月に1回ぐらいのペースで専門家からアドバイスを受けたい。評価委員は東北大、弘大の関係者、全適の病院から一人、小久保副市長の四人を想定している」と語った。 
 なお事業管理者の月額給与は69万円。八戸市民病院の事業管理者は86万円。これは八戸市長が110万円と給与が高いためだ。 
 十和田市長は86万円、副市長が70万円、病院事業管理者は2役を下回る69万円に設定された。 
 蘆野院長が4分の1カットで4、500万円給与が下がる―と話していたが、すると現在の給与は2千万円を超えていることになる。 
 医師の手当は削減になるが、医師の給与が支給されるので、この地域では2人分の所得を稼ぐ高給取りに変わりはない。