千葉の地域医療再生計画 「銚子ショック」を教訓に

010.1.27 JapanMedicine

 

千葉の地域医療再生計画  「銚子ショック」を教訓に

 

「厳しい目標だが、医療再生に向けて力を入れていかなければいけない」(県医療整備課)。地域医療崩壊のシンボルとなった銚子市立総合病院の全面休止問題をはじめ、各所で地域医療のほころびが露見した千葉県政にとって地域医療再生は最重要課題の一つだ。

自公政権時代に持ち上がった地域医療再生基金(10カ所に各100億円規模)では、病院局や健康福祉部の関係各課が総掛かりとなってプロジェクトを組み、医師会や千葉大との協力体制で予算獲得に向けた調整を急いだ。昨年9月の政権交代によって基金は一部執行停止となり、見直しとなったものの、2009年度補正予算「地域医療再生臨時特例交付金」として、改めて各都道府県内の2つの2次保健医療圏に25億円が交付される。

千葉県では基金の設置とともに年度内にも千葉県地域医療再生本部・地域保健医療協議会を設置し、医療関係者や大学、県民と連携してプログラムを実施する。計画期間は、10年1月から13年度末で、医療圏の根源的な問題解決や県全体の医療の向上、中長期的な地域医療再生を見据えた対策、医療機関・大学・医師会・県民・行政などの団結を目指す。13年度末には、地域の医療機関の役割の明確化と医療機関相互の連携・ネットワーク構築②セーフティネットとしての救急医療の対応・搬送システム構築③地域医療を担う医療従事者の確保(病院・在宅)を実現する計画だ。

100億円規模の予算獲得を目指していたため、地域医療再生に向けた全県的な状況把握は先行して進められており、2つの2次保健医療圏の選定も速やかに決定した。選定されたのは、銚子市を含む「香取海匝保健医療圏」と、3次救急体制が未整備の「山武長生夷隅保健医療圏」だ。千葉県府では東京に近い東葛北部・東葛南部・千葉などの医療圏と亀田総合病院がある安房医療圏は医療が充実している。一方、香取海匝・山武長生夷隅とも大都市圏へのアクセスが悪く、過疎地域である点で共通している。

25億円の交付金により、各医療圏内の医療機関の役割分担・機能再編・救急医療体制の充実とともに、全県的な医師確保を目指す。

 

瀕死の2医療圏 計画失敗は許されない

 

銚子市立総合病院の全面休止は、地域医療の崩壊を象徴する大きな出来事となった。休止を決定した当時の市長は解職を求める住民運動によってリコールされ、代わってかつては財政難から病院規模縮小を進めた元市長が市長に返り咲くというドタバタ劇も耳目を集めた。休止中の銚子市立病院(旧銚子市立総合病院)は住民の強い要望により、4月の暫定開業が予定されている。県の計画では段階的な拡充により2次救急機能を担う病院として再開が期待されている。

香取海匝保健医療圏を支えてきた旭中央病院には患者が集中し、診療機能がパンク寸前にある。その一方で、圏域の6つの自治体病院では病床利用率が60~70%台に落ち込み、患者数の減少に歯止めがかからない状況だ。この地域では後方を支える在宅医療の整備が遅れていることも指摘されており課題が山積している。

旭中央病院には千葉大の協力で地域医療支援センターを設置するほか、圏域内病院への派遣機能を強化し、派遣医師数を現在の13人から26人に拡大する。 長期入院患者も減らす考えだ。他の自治体病院の医師数は09年度の56人から70人に増やす。病床利用率80%、経常収支比率100%確保を目指すという。医師確保には、千葉大医学部への奨学金制度や設置予定の千葉県医師キャリアアップ・就職支援センターからの拡充を見込んでいる

山武長生夷隅保健医療圏の事態も深刻だ。広大な圏域に3次救急施設が一つもなく、救急搬送に30分以上かかる割合は8割に及ぶ。その結果、圏域外への救急搬送率は34%と異常なほど高い。紆余曲折の末、13年度に開院予定となった「九十九里医療センター(仮称)」が鍵を握ることになるが、それまでどうやって持ちこたえるか、瀕死の状態はなおも続いている。