重粒子線がん治療施設 巨額資金調達、不安の声も



重粒子線がん治療施設 巨額資金調達、不安の声も(佐賀新聞 2009・12・21)http://www.pref.saga.lg.jp/web/_38908.htmlhttp://www.pref.saga.lg.jp/web/_26487.html  
  
 民間主体で鳥栖市に2013年度オープンを目指す重粒子線がん治療施設の建設計画が本格的に動き始めた。九州経済界のトップらが資金調達組織を立ち上げ、総事業費150億円確保に向け企業などへの協力要請を始めた。厳しい経済情勢の中、果たして民間から巨額の資金を集められるのか。具体的な状況などが示されず不安視する声も聞こえるが、推進役の佐賀県は「不可能な数字ではない」と強気だ。 
 九州電力と九電工、久光製薬の3社で設立した特別目的会社が施設の建設・管理を、来年2月までに設立する計画の医療運営法人が医療を担当する「民設民営」方式となる。 

 佐賀県も総事業費150億円のうち約20億円を補助するほか、医療運営法人の設立にも関与し、財団の資本金に当たる基本財産1千万円を拠出するなど深くかかわる。「佐賀県が積極的な姿勢を示すことで信頼感を与え、民間からの資金を集めやすくする」との狙いがある。 

 佐賀県や経済界、大学関係者らでつくる事業推進委員会がまとめた事業計画では、事業費のうち130億円を民間から集め、寄付で90億円、出資などで40億円を目指す。当初は融資で30~50億円の調達も検討していたが、償還金が施設稼働直後の経営を圧迫する懸念があるとの意見が経済界の委員から出たため、「融資なし」の高いハードルを課すことになった。 

 資金調達の役割を担う「開設支援委員会」には、古川知事や鳥栖市長のほか、九経連会長、九州商工会議所連合会長、九州電力副社長や九電工、久光製薬社長ら九州経済界のトップが名を連ねる。10月下旬に発足、九州内や関東の企業などへの協力要請が始まっている。 

 11月定例県議会の質疑で、資金確保の見通しについて問われた粒子線治療普及グループの担当者は「決して手の届かない数字ではない」と強調したが、開業までの資金調達計画など具体的な数字は示さなかった。情報の少なさに、議員からは「目標額に達しなかった場合、どうするのか」といった質問も出された。 

 佐賀県などでつくる医療運営法人の設立準備委員会は、今月から企業だけでなく一般にも対象を広げて開設支援募金として寄付を呼びかけ始めた。「市民に広く施設を知ってもらう」との狙いがあるが「資金調達の一つの手段」(同グループ)とする通り、少しでも多くの資金確保へ知恵を絞ろうとする姿も見える。 

 計画では、年度内に施設の実施設計を終えて来年度中には工事に着手、年度内に装置の設計・製作の発注をする。大幅な軌道修正ができない段階に入ってきている。 

 開設支援委員会では年明けに資金調達状況を取りまとめ、感触を探るとしているが、県の補助金だけでなく市民にも寄付を要請しており、民間主体とはいえ公共性の高い事業と言える。だからこそ、推進役の県がしっかり情報を開示、県民が納得する形で事業を進めていくべきだ。 



重粒子線がん治療施設 
 光速の60~80%に加速した炭素イオンをがん細胞に照射して治療する施設。体への負担が小さい最先端の治療法として注目される。国内では千葉、兵庫県、群馬県にある。県内では九州新幹線新鳥栖駅西側に2013年春開業を目指し計画が進む。