総花的な市の新病院建設 医療関係者は医療崩壊を危惧




総花的な市の新病院建設 医療関係者は医療崩壊を危惧 (小樽ジャーナル2010/05/31) 

 小樽市がまとめた事業費148億7,300万円の「新市立病院計画概要(案)」が、市内の医療関係者に大きな波紋を呼んでいる。 

 「新市立病院計画概要(案)」は、1平米あたり33万円の総床面積29,100平米で計148億7,300万円と巨費に上る。病床数は、一般302床・精神80 床・結核4床・感染症2床の計388床。 

 診療科は、内科・消化器内科・呼吸器内科・循環器内科・神経内科、外科・整形外科・心臓血管外科・脳神経外科・形成外科、婦人科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、小児科、皮膚科、眼科、放射線科、麻酔科、精神科、リハビリテーション科、総合診療科、腎・透析科、健康管理科の23科。「新市立病院計画概要(案)」 

 これに対し、市内の医療関係者は、「小樽市内には公的医療機関が色々とある。 
どこも台所事情が苦しく、いつ傾くかハラハラしている中、インパクトのある総花的な病院を市が作ってしまうと、他の病院は淘汰されてしまう。 
70億円ぐらいの収入の病院が、一般会計から毎年度20億円つぎこまないと黒字を出せないなら、仮に医者が来て経営しても、150億円の借金を30年間で返済をするのは難しい。 
赤字体質の脱却は、根本的な考え方や経営改善をしないと、税金の手伝いなしで経営していくのは厳しい。 

 我々医療者は、市民の健康を守りたいと思っている。健康を守るのは民間でやるので、新病院への金は他に使ってもらいたい。若い人たちが努力してやっているのに、毎年度20億円の税金をぽんぽん病院に繰入れするのは辞めて欲しい」と話し、涙を滲ませる医師も。 

 「新病院の診療科は、協会、エキサイ会、済生会とバッティングするものがある。 
並木病院局長は、協会病院は周産期・新生児、エキサイ会は消化器、済生会は整形と救急と言っているが、それだけの診療科では経営していけない。 
自分たちがやりたいことを計画に立ち上げ、市内の医療機関と協議することなく、計画が独り歩きすることは、小樽の医療崩壊につながる。 

 市は、再編ネットワーク化で、地域医療の現状を踏まえた上で、限られた医療資源を有効に活用するためにも、地域の医療機関相互の連携を図り、その役割分担を検討していく必要があるとうたっている。 
開院までに50人の医師を集めると言っているが、そうなると、限られた医師しかいない大学側から、他の病院への医師の派遣がなくなる。 
医師会を含めて議論をするべき。 

 それぞれの医療機関の状況も変化することが想定されますので、必要に応じ、市内医療機関等との協議を行い、見直すと言っているのだから、新市立病院の計画が出てきたし、済生会も新築する話も出ているのだから、今こそ、再編ネットワーク化協議会をやるべき。 

市は、地域医療と言っているが、民間を潰して、一人勝ちの新市立病院計画だ。 
医師不足なのに、総花的な病院を作って医師50人を集めるというのは、他の病院に配慮をしていない。 
本末転倒だ。 
建築単価が高いのは地元発注だからと言ってるのは、論点をすり替えている。 
ゼネコンに、地元業者の共同企業体を入れさせることも出来る。 
140億円の借金で新築しても、今の経営センスでやってもうまくいかない。 

 基本設計の予算を議決する前に再編ネットワーク化協議会で、新病院計画の中身をつめるべき。 
こんな総花的な病院は小樽にはいらない。 
せめて第二病院の機能に最低限の診療科を含めてやるべき。 
公的病院には、空きベッドがあるのだから、まずはそれを把握して、民間病院の稼働率を上げるべき。 
空きベットがあって大変な経営しているのに、小樽病院が実稼働率を増やすと、しわ寄せが民間に来る」(病院関係者) 

 「こんなに大きな病院がなくても、市長がリーダーシップをとって、みんなで頑張って連携すれば、古くても小さくても地域で良い医療が出来る。 
ヘリポートを設置するとしているが、100人の医師がいるすばらしい救命救急を持つ渓仁会に運んだ方が安心」(市内医師) 

 小樽市医師会の津田哲哉会長は、「病床数を下げたことは評価されるが、もっと下げて欲しい。 
医師会では、規模縮小し、機能的な病院を求めている。 

医療センターを中心として、市内の医療機関にない診療科を入れてくれればいい。 
残念ながら、内科、消化器は、他の公的病院とかぶる。 

内科をもっと減らすことが出来ないか、検討の余地はないのか話し合いたい。 
内科を減らしたわけではなく、精神科を100床から80床に減らし、あとは細々減らしただけ。余地があるなら見直して欲しい。 
済生会が立て直すと言っているし、エキサイ会も将来的には考える必要があので、診療科について検討して欲しい。循環器もぶつかる。 

 市内の業者を使うと建築単価が高くなるということを言っているが、大手で一括発注して、地元企業との組合せだって出来る。 

免震性の技術は、市内の業者では出来ず、ほとんど大手の仕事になると思う、なんで、地元の業者で分割発注すると高くなるという理由になるのか。 
最初のおかしい計画と変わらない。良い病院を建てたいというのはわかるが、これから患者が減るのに、計画通り黒字になるのか。 
どこの自治体もうまくいっていない。5年先もわからないのに、30 年先なんか分からない。借金の返済計画を示して欲しい。 

 医師会は、前回の時、医療サイドとして指摘したのに、悪者にされた。 
本当は、市議会で検討されるべきもので、議案が決まる市議会での役割が重要。厚生常任委員会や自民党会派にも医療者の立場としての話しをした。 
今回は、議員さんたちも、危機感があり、この6月議会は、大事だと意欲がある。 
どんな質問が出るか、突っ込みをしっかりして欲しい」と、市議会での質疑とその帰趨を注視する。 

 山田勝麿市長は、5月31日(月)の定例記者会見で、「一応、建設地、規模機能、資金面と3つの大きな課題が、一定程度クリア出来て、第2回定例会に基本設計再開の議案を出せることに至ったことに、一つは安心した。 
一応の決着はついた。 
市民の皆さんからの期待度が大きいので、一日も早く、完成するように、取り組んでいく」とした。 

 しかし、山田市長の新病院建設の推進は、単に市役所内部の了解だけで、市内の医師会や公的病院との協議の上で合意したものでないことが本社の取材で明らかになった。 
市長のこんな唯我独尊の計画に加担する市議会各党派や議員には、医療関係者や多くの市民の厳しい目が注がれることになる。 

 今回の基本設計の予算に賛成する議員は、市民の前に自らの所信を明確にして、市長と心中する覚悟を披瀝する必要に迫られている。今後の動向を多くの市民とともに見守りたい。

 また、公立病院改革ガイドライン策定した懇談会元座長・長隆氏に、小樽新病院問題で山田副市長が会いたいと発言したのに対しては、「今更、なにを討論するのか。 
我々が方針を決めたのに、良いか悪いかの討論を、なんで長さんとやらなきゃいけないのさ。 
その趣旨が良く分からない。 
医療の専門家ではないでしょ。 
我々は、医療のプロとやっているのだから、医師会もそうだが、北大からも先生が来て貰ってやっているのだから」と、全国から公立病院問題の第一人者と認められている長氏を、一蹴し、改めてその唯我独尊ぶりを世間に露呈している。