国立行政法人ガバナンス検討チームのとりまとめについて


2010年5月20日 総務委員会 

(国立行政法人ガバナンス検討チームのとりまとめについて、質問 前略) 

世耕議員:そして国立がんセンター、4月1日から独立行政法人国立がん研究センターになっているが、これは過去足立政務官が良くご存知だが、過去いつも問題点として指摘されたのは、このがんセンタ-は総長がトップ、その下に病院長、その総長や病院長は肩書きは非常に偉そうに見えるのだが、実際総長はがんセンター組織のトップだが、人事や予算の権限はなく、厚労省から出向してきている医系技官の運営局長が一手に握っていると指摘されてきた。これは足立政務官と私は恐らく共有している問題点だと思う。が、このことについてこのとりまとめで今回どのように改革するのか。 

足立政務官:私も国立行政法人ガバナンス検討チームの一人だ。とりまとめの件、象徴的な部分は人事・予算等の実質的権限をナショナルセンター側へ付与するということだった。それを踏まえて私達が講じた処置が、人事について従来は厚生労働大臣が任命権者だったのを理事長に任命権を変更したのが第一点。第二点は予算についてで、理事長が法人内で責任ある体制を構築するために財務経理部を共通して6センターに設置し予算の実質的な配分権を行使できる環境を整備した。この二つがポイントだ。 

世耕議員:じゃこのとりまとめに基づいて、理事長にある程度予算、人事の権限を与えるという形で厚生労働省としては、足立政務官としては進めておられるというように理解する。この選考された新理事長は何度か私も色々なところや勉強会などでお会いし、口は悪いがすごく尊敬すべき方だと私は思っている。私は自民党の衆議院議員の某議員とは見解は違う。山形大学医学部を全国トップレベルに育て上げられた非常に実力のある方だというふうに思っている。ところが残念ながら今回は独法通則法の抜本改正がまだ間に合っていない、そういう中で今回新理事長が選考されたが、選考にあたっても、とりまとめの精神は尊重されたという理解で良いか。 

足立政務官:まさにその通りに運んだと私どももとらえている。具体的な事を言うと、第一段階で職務内容書において求められる能力や選考方法を明示して公募した。第二段階でその書類を選考にあたって公正に透明性が確保されるよう外部の有識者で構成される選考委員会を作り、応募者の評価、選考を実施した。その第三に選考委員会の評価結果を踏まえて厚生労働大臣、主務大臣が国立がん研究センターの長として最適任者を判断し任命するという形をとった。これはまさにとりまとめの精神を反映した進め方だと私は思っている。 

世耕議員:とりまとめの中には、通則法改正前でも、内閣府行政刷新会議内に「独立行政法人ガバナンス委員会」というのを設置をし、理事長、理事、幹事の選考を行うとはっきり書いてある。今回この嘉山新理事長の選考には、この独立行政法人ガバナンス委員会が設置されたのか。 

枝野大臣:指摘のとおり、独立行政法人ガバナンス委員会で人事選考を行うべきであると提言をいただいている。その精神を活かして今のような第三者、外部の人間で選考をするというプロセスを踏んだ。これについて提言の主旨は受け止めたいが、今行政刷新会議全体としては独立行政法人全体のあり方を見直すプロセスなので、ガバナンス委員会を作ると矛盾が若干出てくる可能性が高い。典型的には提言のような形が望ましいと考えているが、独立行政法人を細かく見ていくと、整理しながらやっていかねばならない。精神を活かして、今回のナショナルセンター以外のところについても、公募で外部の有識者の選考で、精神は尊重してやっていく。 

世耕議員:私はこれはもう普遍的な解だと思う。理事長については主務大臣から任命権限をはずして、内閣府のもとで第三者的委員会をつくってやるというのが私も全く何の問題もない、他の独法改革に今後悪い影響を与えるようなことは全くない、非常に普遍的な真理といって良いくらいだと思うのだが、じゃこの独立行政法人ガバナンス委員会が新設されていなかったとしたら、この理事長は誰が選んだのか。 

足立政務官:精神を活かしながらもという形で今回の経緯は、具体的には主務大臣である厚生労働大臣が選考委員会の選考を経て、最適任者であることを判断し、任命した。 

世耕議員:任命権者は厚生労働大臣というところにとりあえず異論は挟まないが、では選考委員会はどういう委員会で誰に設置されたのか。 

足立政務官:これは厚生労働大臣のもとに設置された。 

世耕議員:それじゃあ全然意味ないじゃないですか。折角足立政務官これに入られて、この独立行政法人ガバナンス検討チームがとりまとめて、まさに私は理事長の選び方が一丁目一番地だと思う、このとりまとめに法改正を待たずにできると書いてある、独立行政法人ガバナンス委員会を作ることはできる。そこで理事長を選ぶことはできる。そしてその他の指示は通則法の抜本改正を待つんだと書いてある、読みにくい文章だが私は10回くらいも読んだらそのように読めた。それを結局厚生労働大臣の、任命するのは良いがその選考委員会を厚生労働大臣のもとに置いてしまったというのは、まさにこのとりまとめの精神を換骨奪胎されているとしか思えない。どうか。 

足立政務官:経緯については先ほど枝野大臣からあったが、今のとりまとめの精神、検討委員会を設けてそこで行政刷新担当大臣が任命するとされているのとはまるで違うじゃないかというご指摘で、具体的な形としてはそういうふうになったが、その矛盾がどうかという点については私ども検討チームの中でもその議論をもちつつも、まず6つのナショナルセンターについてはこういう形でやっていく、その経緯の中で形になったものでそれに従ったということです。 

世耕議員:苦しそうな気持ちが伝わってくるが、折角とりまとめたのだからしっかりやっていただきたい。理事長の選考については残念だったが、過去おっしゃってきたこと、とりまとめられたこととも全然違う、あくまでも厚生労働省の役所の中で選ばれて決められたと大変残念だというふうに思う。このとりまとめの中には高らかに、一番重要なところは理事長、および理事の任命権限を主務大臣に専属させない仕組みにする、これが一番重要な所ですが残念ながらその第一歩である国立がん研究センター理事長、結果としては私は良い人が選ばれたと思っていますが、選び方に私は問題があっただろうというふうに思う。他にもこのとりまとめに反している点が、いくつかあるというふうに思っている。次は国立がん研究センターには厚生労働省から現役出向で何名いっておられるか。 

足立政務官:現役出向という定義が難しいところはあるが、国立がん研究センターに現在在職する職印で、厚生労働本省から異動したものは正確には10名。全職員が1342名なので約0.7%ということになる。 

世耕議員:0.7%なんて数字はいいんですよ。そんな言い訳がましい事はおっしゃらないで。10名。私が聞いているところでは、幹部クラスでは5名、特に事務官が3名、技術系の技官が2名というふうに聞いておりますけれども、これまさにとりまとめを見ますと、独立行政法人の公正かつ透明な組織運営の実現のため、執行役員及び管理職について、厚生労働省からの職員及び天下り官僚の登用は行わないものとすると、書いているが、この精神に反するのではないか。 

足立政務官:今の件は原則でおられる今の10名の内訳となっているが、この人事について、今現在、ご指摘のあった理事のところ、この方々については内部のほうで今、検討中、あと1名については6月に任期切れでその後、OBをもっていかないという形で検討しているところで、精神がどうこうという形になると任期の関係等もあって今まさに大臣のほうからOBを置かないことを予定をしており、それに対して当方というか実際のセンターのほうでそれに対応しようというふうになっているということだ。 

世耕議員:ちょっと理事と幹部職員を混同されたかも。5人現役官僚が出向している。その5人中2名は4月1日の先月の独法発足時に新たに厚生労働省から行っておられる。このとりまとめの12月11日に厚生労働省からの職員は行かせないと書いているのに、4月1日に新たに行っているという事実がある。このことについてはどうお考えか。 

足立政務官:手元にその5人というところと、そのうちの2名という正確なものがないのだが、理事長が、新理事長と大臣のところで何度か話し合いを持ち、今言われているのはおそらく企画運営部のあたりかと思われるが、この件についても実際話し合いをもって新理事長が是非ともということで話しがあって、それを大臣が了解した経緯がある。その5人、あるいは2人ということについては今手元に正確な資料がないので今の話しで答えさせていただく。 

世耕議員:厚労省からの現役出向状況について、あるいは出向人事の発令についてということで質問通告してあるが、今日お答えいただけないということで、別途、後刻、国立がん研究センターに対する厚生労働省からの現職職員の出向状況とその任命の日時、ポスト、その他について、後刻理事会のほうに資料請求させていただきたい。 

世耕議員:理事についてもとりまとめの精神が当然尊重されているべきところ、現在、理事定員は、国立がん研究センターは5名。現状3名しか決まっていないという話しが聞こえてきている。さらに聞くところによると、実は5名の理事が決まっていたけれども、その理事案を4月1日の独法としての発足直前の3月26日になって突然厚生労働省の官僚が長妻大臣の命令だということで、理事人事を全部白紙に戻した、それでひっくり返された。その結果結局2名は厚生労働省がどうしても認めなくて、今2名が空席の状態になっている。この事実関係は。 

足立政務官:今、世耕議員がおっしゃったそこのところの事実関係を私は認識しておりません。 

世耕議員:少なくとも独法が理事2名空席でスタートしている。ここからは認識をされていないということなので一般論でお伺いしたいが、こういう理事の人事、あるいは先ほどの幹部職員の人事について、独法の、国立がん研究センターのそういった人事について、厚生労働省やあるいは大臣が、介入をするということは、まさに今民主党連立政権で進めようとされている独法改革の理念、12月11日にとりまとめられたこの理念に完全に反することだと思うがどうか。 

枝野大臣:このガバナンス検討チームのとりまとめ、私は非常に重要なご指摘だと思うが、一方で今、一般論として独立行政法人の任命権は理事長にあることについて、内閣は公募の結果に基づいてやるようにということで、関与している。主旨からすればいわゆる天下りを減らすということについて、理事長が勝手に選んでいるんだと言われてしまうと結局は公務員OBが減らないということでは困るので、そういった形で関与している。一般論として、制度としてはガバナンス検討委員会の提言の通りで進めていくべきである一方で、今の現状を前提にしたときには適切な対応をしていると思っている。 

世耕議員:結局先ほど階政務官は、このとりまとめによってやれるところはやっていく、とおっしゃった。足立政務官は国立がんセンターについては当然理事長の権限、予算や人事をしっかり理事長に権限をふるってもらうんだというふうにおっしゃった。ところが今大臣は実際には官僚が、役所がそれぞれ関与する部分があるというふうにおっしゃった。これは結局、このとりまとめの良いとこ取りをされちゃっている。このとりまとめは、当然ガバナンスという観点だから理事長については理事会がある程度、縛っていくんだと。理事長は独裁できないよというふうに書いてある。ところがその理事会がしっかり縛るにあたって、理事長や理事の選任についてはここには提言の2.に独立行政法人のガバナンス委員会を内閣府に設けるんだと書いてあるがそれは設けていない。設けてなかったら当然役所が直接介入するということになる。結局この中で都合の良い、役所にとって都合の良いところはやりながら、こういう独立行政法人ガバナンス委員会をつくって理事や理事長の選考を透明に行うという過程はやらないで、結局今、確かに過渡期間かもわからないが国立がん研究センターというまさに独法のフラッグシップのようなところが、厚生労働省の所管する独法のこれから一丁目一番地になっていくようなところの人事に結局は厚生労働省が現実として介入をしている。現役出向がまだ続いている。そして理事が、厚生労働省が反対しているから理事が空席になっているという事態になっているんじゃないですか。 

枝野大臣:今のいわゆる公募の話しについては、基本的には政務三役が政府主導でやっている。特に天下り問題との兼ね合い、あるいは主務官庁の事務方が政務三役を頭越しにそれぞれ独立行政法人に影響力を行使するようなことはあっては困るということについては徹底をしていかねばならないと思っている。先ほど議員から指摘があった理事の人選について、大臣の意向と関係なく事務方が勝手に動いたということであれば許されないし、また出向についても一般的には現役、行政と少なくとも独立性を高めるべき機関については、現役出向は問題ではないかと。医薬品機構については事業仕分けの時に問題になった。それ以外の一般的な独立行政法人について、事業仕分けや今回の独立行政法人ガバナンス検討チームを前提にこれから重要な検討しなければいけない。行政と一定の関わりを持たねばならない独立行政法人は天下りみたいな形よりは現役出向で退職金二重取りみたいな話しがなくて、というほうが合理的ではないかという話しもあったりしまして。但しそれがもともとの主務官庁が独立行政法人を自由にコントロールするみたいな話しでそれが言われては困ると。かなりきちっとした議論に基づいて相当制度設計を工夫しないといけないなと思っている。特に今回独法に初めてなるという段階で、いわゆる現役出向的なところをゼロにできたかというとそれがなかなか難しかったのだろうと思う。我々行政刷新の立場からすると、今回行政出向で行った人は行きっぱなしになって戻って来ないでくださいというのが手段、制度の主旨だろうと私は思うが、そこもそういう制度がまだ全体としてできあがっていないので、今回行った人だけそうするとはなかなかこれまた出来ない。そういった意味では今ご指摘いただいた概念は非常に頷かせていただくものがたくさんあるのだが、そういった指摘を踏まえて制度をしっかりと組み立てていく。制度を組み立てるまでのプロセスにおいても、できるだけ主旨を活かせるようにするということで努力をしているとご理解をいただきたい。 

足立政務官:世耕議員が5人、3人の経緯のところでおっしゃったことだが、厚生労働大臣がガバナンス検討チームの改革に向けてというこの主旨をしっかり活かしてくださいと、要請はした。で5人の話しがありましたが、私は全てを把握してはいないが、その中に実はガバナンス検討チームのメンバーが一人入っていたと、これは主旨と間違えているということで、その前後に二度ほど理事長と大臣との話し合いがあって、その5人、3人の過程の中で事務方のほうが関与するという事実は一切なかった。理事長と大臣の間の話しで、このメンバーに一人入っているということは主旨が違うということで修正がなされたということで私は理解している。 

世耕議員:がんセンターが関わるがんの研究に関して、第3次がん対策10カ年総合戦略事業ということで、50億円の予算がついている。この手の研究開発に関する予算については、政府共通の方針として、前政権時代から役所が自分でお金を配るのではなく、一旦外のファウンディング・エージェンシーと呼んでいるが、外の研究の知見のあるところに、研究の目利きのできるところにそのお金を回して、そこに配分をしてもらうという方針でやってきている。実際に文部科学省の研究費は学術振興会やJSTというところに一回出て、そこにプロの研究者あるいは研究の目利きができる方々が集まって予算の配分をしていくわけだ。ところがこのがんの研究については、実は今まではがんセンターの独法化前は、あくまでも国の組織の一部として国立がんセンターがファウンディング・エージェンシーとなって、研究費の配分を行ってきた。今回これが独法化したことによってがん研究は実際はがんセンターにたくさん配分される。おそらく半分近く、半分以上はがんセンターに配分されている。それがファウンディング・エージェンシーが自作自演になってしまうのではないかということで、今回結局独法化にあたってもともとがんセンターに委託されていたファウンディング・エージェンシーの機能が厚労省に戻ってしまった。というふうに私は認識しているが、今後このがん研究のファウンディング・エージェンシーのあり方について政府としてはどういうふうにお考えか。 

足立政務官:これは若干の経緯があるので、申し上げる。平成15年に総合科学技術会議で独立した配分機関にその配分機能をゆだねる方向で検討するというふうになっており、実際は一旦はがんセンターに配分機能がいった。しかしその後、総合科学技術会議の平成19年に一つの制度、厚生労働省で言えば厚生労働科研費だと思うが、一つの制度は一つの配分機関に集約されることが望ましい、ということになり、それを承けてまた厚生労働省へという形になった。しかし厚労科研費だけにとどまる話しではなく研究費というもの全体のあり方、政府全体としてどこがファウンディング・エージェンシーとなるべきかという議論はまさに必要なことだと私は思っている。 

世耕議員:もう時間なので質問をしめるが、がんセンターにからんで、人事が、残念ながら民主党政権になって独法改革、立派なことをおっしゃっているがその精神からどうも逸脱したものになっているのではないかという懸念を持つ。そしてファウンディング・エージェンシーの話しをしたが、他にも財団法人がん研究振興財団というのがまさに厚労省の天下り組織としてがんセンターの中に残っているとか、あるいはがんセンターのTLO、技術を外に出していく組織が他の国立大学法人は自由に民間と契約できるのにこれは結局厚労大臣の認定が必要ということで政令が出されてしまって、結局厚生労働省の人が天下っているヒューマンサイエンス財団というところにこのTLOが委託されることになってしまっているとか、色々この独法、がんセンターにまつわるだけでもまだまだ問題点は多いと思います。これらも我々しっかりと目を光らせてまいりますし、私は基本的には皆さんがやろうとされている事には反対ではありませんので、是非看板倒れにならないようにしっかりやっていただきたいと申し上げて、質問を終わる。