メディカルアシスタント 医師の事務作業を代行 MA導入広まる動き 報酬改定・・・・



メディカルアシスタント 医師の事務作業を代行 MA導入広まる動き 報酬改定、追い風に 加算額30~40%アップ 勤務医の負担減に期待 
2010.04.27中日新聞   
  

 多忙な病院勤務医の負担を減らすために、書類の作成などの事務作業を代行するメディカルアシスタント(MA)が、病院関係者の間で注目されている。 
正式な呼び名は、医師事務作業補助者。「ドクターズクラーク」「メディカル・セクレタリー」などとも呼ばれる。四月に改定された診療報酬では、MAを配置する医療機関への加算が大幅に増額され、導入の追い風になりそうだ。(島崎諭生) 

 「ここは、どう書けばいいですか」 

 国立病院機構名古屋医療センター(名古屋市中区)の消化器科病棟。新人MAの牧野祐希さん(25)が、岩瀬弘明部長に指示を仰ぎながら、患者に渡す診断書を作成していく。 

 経験豊かなMAなら一日に十~十五枚の書類を作成。岩瀬部長は「医師が事務作業から解放される。患者と話したり診療に専念したりする時間が増え、助かっています」と話す。 

 過酷な勤務に燃え尽きて、多くの勤務医が現場を去る中、国は二〇〇八年度の診療報酬改定で初めて、MAを導入した病院への加算を設けた。 
名古屋医療センターは同年春、各病棟に一人ずつ、計十六人のMAを配置。一人当たり十~十五人の医師を補助する。 

 MAは全員が派遣社員で、二十~四十代の女性たち。七割ほどは医療事務などの経験があるが、医療職場が初めての人もいる。 
受け持つ仕事は、診断書や生命保険証明書、介護保険審査の意見書の作成補助、がん登録、学会発表に向けた統計データの作成など。 
以前は医師が診療後に自分で行い、深夜までかかることもあった。 

 従来の加算では、MAの人件費の半分程度しか賄えず、残りは病院の持ち出しとなっていたが、今回の改定で加算額が30~40%の大幅増となったことから、四月からMAを六人増員。 
外来の診察室と、手術室に新たに配置した。 
習熟すれば、電子カルテの代行入力や検査の手配も委ねる予定だ。 
改定後もすべては賄えないが、企画課の吉崎宣夫さん(44)は「MAの導入で医師の負担が減り、総合的なメリットがある。ありがたい」と歓迎する。 

 厚生労働省によると、〇八年七月時点でMA配置の加算を届け出た医療機関は、全国で七百三十施設(全体の8%)。 
中部九県では四月中旬までに百六十八施設(同14%)が届け出ており、長野、静岡県で割合が高い=表参照。 

 MAに詳しい愛知医大医療情報部の深津博教授は「ここ二年は様子見だった病院が多かったが、報酬引き上げで、導入する施設は倍以上に増えるだろう」と推測する。 

 名古屋市内の人材派遣会社によると、MAの月収は十七万~十九万円程度といい、深津教授は「MAからステップアップし、給与が上がっていく道もつくるべきだ」と指摘した。 

 派遣業者 

 需要にらみ養成講座 

 MAの診療報酬アップには、医療関係のスタッフの教育や派遣を手がける業者も、注目している。 

 MAになるには資格は不要。勤務開始から最低六カ月を研修期間とし、三十二時間以上の基礎講習を受けるよう定められている。 
この基礎講習の講座を組んだり、技能認定試験などを設ける業者が増えている。 

 人材派遣大手のパソナは、四月から「メディカル・セクレタリー養成講座」を設け、本格的に人材育成と派遣を開始。 
三年で七百二十人を養成する計画だ。インターネットで受講するEラーニングの準備も進めている。 

 これまで医療分野はほとんど手掛けていなかったが、政府が医療産業の拡大を目指しており、今後は雇用が増えるとみて参入した。 
広報担当者は「主婦や医療事務経験者の関心が高い」と話す。 

 ニチイ学館は、二〇〇八年十一月に「ドクターズクラーク」の養成講座と派遣を開始。 
〇九年度は千四百人が受講した。広報担当者は「報酬改定の影響で10~20%は増えるのでは」と推測する。 

 一方、派遣という就労形態が多いことに不満の声も。公立病院では派遣業者を毎年入札で決める。 
落札業者が交代するとMAも入れ替わり、一から仕事を教え直さねばならない。 
名古屋医療センターでも昨春、派遣業者が代わったため、新しいMAに数カ月掛けて仕事を教え直したという。 

 消化器科の岩瀬弘明部長は「教える間は、自分で仕事をするときより労力が大きい。 
MAが病院に来る前に、十分な能力を備えられる仕組みを作ってほしい」と訴えた。