Interview with Takashi Osa 事務長、コンサルは不要! 病院長は必死に経営を学ぶべし特集  医療・クスリ・介護 巨大化する成長産業の全貌 

Interview with Takashi Osa 事務長、コンサルは不要! 病院長は必死に経営を学ぶべし特集  
医療・クスリ・介護 巨大化する成長産業の全貌  
2010.04.24 週刊ダイヤモンド 抜粋  


長 隆●東日本税理士法人・代表社員 


 病院長は医師である。それだけに、しばしば経営の実態を直視しようとはせず、医療に専念したいと考える傾向がある。 

 だが、これからの病院長はそんなことではすまされない。 
バランスシートをまともに読めない医師も、これからは通用しないと思う。 
安易に経営コンサルタントに丸投げするのもやめるべきだ。 
病院長は経営を学び、常に情報が集まるような努力をすべきだ、と思うからだ。 

 私は事務長というポストさえ不要だと思う。 
自治体病院を例に考えてみれば、その弊害は明らかだ。 

 自治体病院の多くは、病院長に十分な権限がなく、市や県の関与、事務長の権限が非常に強かった。 
その結果、責任の所在もあいまいなうえ、病院長を補佐する幹部事務職も人事異動でコロコロ変わってしまうのが実態だ。 
これでは人材も育たない。 

 まずは、病院長直轄の経営企画部をつくる。 
さらにその下に診療報酬を担当する部門を置いたらよい。 
事務長は当然、廃止だ。現在の看護師の重要性を考えれば、副院長は看護師を置くことが望ましい。(談)



Interview with Shinya Adachi 医療の情報格差を解消し誰もが納得できる医療を目指す 
足立信也●厚生労働大臣政務官 


 私が目指す医療とは、ズバリ、誰もが納得できる医療だ。 

 たとえば、治療を受ける患者の立場なら、後悔しない医療である。治療を受けた結果、病状によって、ある人は助かり、ある人は亡くなる。 
結果から見れば、亡くなった人は不幸に思われるかもしれない。 

 しかし、その病態や体の状態をきちんと理解して、亡くなることがやむをえないと思えば、患者やその家族は死を冷静に受け入れることができる。 

 ただし、これには前提条件がある。医療を崖っ縁に追い込んだのは、医療費の抑制策のほか、医療を提供する側と受ける側の情報の格差である。 
これまで医療現場は医療に関する情報を囲い込んでしまい、患者にきちんと提供してこなかった。 
相次ぐ医療訴訟なども、そのツケなのではないか。 

 今回の診療報酬改定では、すべての患者に原則として詳細な明細書を発行することを決めたが、これも医療についての理解を深めてもらいたいためだ。 
当然ながら、患者からの問い合わせが増え、医療現場は混乱するだろう。 

 しかし、患者側の疑問に、医療現場が真摯に答えるということがお互いの理解や信頼感を生むのではないかと思うのだ。 

 今回の診療報酬改定についてもしかり。医療現場からは、診療報酬の引き上げ率が「十分ではない」という声があるが、世論調査などの結果を見ると、「日本の医療費は高い」という意見がいまだ半数を占めている。確かに、国民からは「医療崩壊を防ぐ」という合意は得られているが、どんな医療を望み、保険料や窓口負担をどの程度まで負担し、どこまで医療費や診療報酬を引き上げるか、という問題については合意が得られていない。 
十分な議論が必要だ。まずは情報格差をなくし、議論の土壌づくりが不可欠だと思う。(談) 

Interview with Shinsuke Kameda 最大規模の雇用の場となる医療 自治体病院は責務を果たすべき 
亀田信介●亀田総合病院院長 


医療と介護の職場は、これから大きな雇用の場として期待されるのは、間違いないだろう。
亀田総合病院を中核とする亀田グループを例にしても、約3700人が働いており、千葉県の県南地域でも最大の雇用の場となっている。 
実際、昨年8月の有効求人倍率を見ても職業全体では0・32倍なのに対し、医療関係者はいずれも1倍を超え、医師や薬剤師などでは5・61倍にも上る。 

 これまで医療や介護は、コストという概念で考えられ、経済活動という視点で語られることはなかった。 
だが、高齢化と医療の高度化に伴って、医療と介護に対する需要は増加の一途をたどり、産業のなかでも最大規模の雇用になりうる。売り上げ規模ではたいしたことがなくても、雇用は経済の要だ。 
今後、経済政策の面でも重要視されるようになるのは、間違いないだろう。街づくりの面においても、医療と介護はライフラインに近い地域インフラとして重要な役割を担うのは間違いない。 

 しかし、周囲を見回せば、解決すべき問題が山積している。 

 たとえば、昨今、話題のメディカル・ツーリズム(治療のための旅行)だが、当院に治療のために来日しようとしたあるインド人の付き添い人のビザが下りないという事態があった。 

 民間病院と自治体病院の公私格差も大きい。自治体病院は自治体からの多額の繰入金(補助金)が投入されて赤字が補填されている。 
それなのに、自治体病院が担うべき公的医療が満足に行われていないケースもある。 
実際、民間病院である当院は産科、小児科、救命救急とあらゆる公的医療を行っているのに対し、千葉県内の県立病院では、お産をやっている病院はない。 

 公的病院だから補助金を投入するのではなく、公的医療行為に対し、診療報酬で支払うべきではないだろうか。(談)