新病院建設設計施工プロポーザル競技の審査結果について

 


             平成22年4月19日 
共立湊病院組合管理者 南伊豆町長 鈴木史鶴哉 様 
新病院建設設計施工プロポーザル
競技審査委員会 
             委員長  遠 藤 誠 作 
             委 員  岩 堀 幸 司 
             委 員  石 井 直 樹



新病院建設設計施工プロポーザル競技の審査結果について 

このことについて、審査を行った結果を下記の通り報告します。 
           記 

1 審査の結果は次のとおりである。 
特定者 №6 
次点者 №3 

2 審査経過 
新病院の建設については、工事費の低減、工期の短縮、工事責任の明確化等のため設計施工一括方式によることで、公募型プロポーザル競技の実施が平成21 年10 月13 日に公示された。11 月6 日までに7社(グループを含む)が参加を表明し、12 月11 日の期限までに提案書が提出された。当初、12 月20 日に公開ヒアリングを実施する予定であったが、直前に指定管理者の辞退があり実施を延期していたものである。 
時間が経過する中で建設物価の変動等による建設費の値上がりが懸念されたため、新しい指定管理者の選定と並行して新病院の建設を進めるよう、平成22 年4 月10 日に南伊豆町中央公民館で実施した。 

審査は、提案書並びに質問への回答書面をもとに書類審査を行い、提案内容の説明と質疑は公開して行った。限られた時間での質疑応答であったので、不足する点は追加資料の提出を求め、本日、第5回の審査委員会を開催し、最終的な内容を確認のうえ決定したものである。 

本病院は伊豆半島南部の中核医療機関として重要な役割を担う医療施設である。 
公立病院の運営は全国的に厳しいが、限られた財源を有効に使って十分な地域医療を確保するためには、民間に習い建設投資を抑え資金が医療スタッフの確保や医療設備の整備に回るようにしなければならない。 

本プロジェクトに対して、今回の厳しい条件で応募者があるのか心配する声も聞かれたが、結果としてはゼネコン4社をはじめ、建設と設計会社による共同提案2グループ、エンジニアリング会社1社というように幅広い分野から7つの提案を寄せていただいた。 

提案するに当たっては各社とも数百万円から1千万円近い費用を負担して提案書を作成している。 
このような厳しい条件にもかかわらず応募していただいたことに対し、深く感謝申しあげる次第である。 


3 審査の方法 
審査は、審査対象者への先入観の排除と公平性を担保するため、提案業者名がわかることのないようにして実施された。 
7つの提案は本病院の将来を考えた独創的かつ現実を踏まえた提案であった。審査は、提出された提案書の内容はもとより、今後長期にわたって本病院の施設面をサポートしてくれるパートナーとして適当か、東海地震生と海に近く一部に地盤の弱い部分があるといわれる下田市街地の地域特性に関して構造的にどうか、病院経営上、建設投資金額は妥当か、などの観点から選考した。 

4 特定の理由 
病院が求める機能的条件を満たしているかどうかだけでなく、地域医療を取り巻く環境変化に対応しながら地域の医療ニーズに合ったサービスの提供、合理的かつ効率的な病院運営、地域の健康づくりの拠点としての機能整備など、他の提案に比して具体的かつ斬新な提案と、提案の根拠として詳細な工事費用見積書を提示するなど、優れた設計施工者として評価された。 
加えて、建設費やランニングコストの削減や自然条件への対応にも配慮した提案をした。さらに、これまでの経験や実績、ヒアリングに対して的確に対応するなど、委員全員から特定者として賛同を得た。 

なお、このたびの審査では、提案内容について各社の相違点を比較しながら検討した。主な観点は次のとおりである。 
① 地震対策としての耐震レベル 
② 構造、鉄筋コンクリート造(RC)か鉄骨造(S)か 
③ 建物の耐久度に影響する外壁 
④ 工事金額 
⑤ 建物の質の確保 
⑥ 建物階数 
⑦ 敷地に対する施設配置計画 
⑧ 病院の窓口、診察室及び待合い、検査室や手術室、病棟など間取り、患者や医療スタッフの動線 
⑨ 近隣への配慮 
⑩ その他 

5 講 評 
建物9,000m2に対して総工事費が19 億円以内(外構を含む)という条件のもとに各社が提案内容を競い合った。 
① 地震対策としての耐震レベルについては、東海地震に対する備えとして耐震か免震か各社から提案がされたが、この事業費の中で免震対応可能とする提案が3社からあり、評価された。 
② 構造、鉄筋コンクリート造(RC)か鉄骨造(Sか、これについては工事費の節約、工期短縮、支持地盤などの点から検討されたが、この予算で鉄筋コンクリート造の提案が4社からあった。 
③ 建物の耐久度に影響する外壁、建設場所は海沿いの市街地という立地条件を勘案して、タイル張りが4社から提案された。 
④ 工事金額については、病院は設備や医療スタッフに資金を投入しないと充実した医療ができない。また、指定管理者が減価償却費相当額を負担する条件 
のため、可能な限り安価が望ましい。できるだけ民間に近いコストで建設したいという願いから公共工事ではあまり例のない本方式を取り入れたもので、その意を解して総工事費(外構、設計監理を含む税込金額)は17 億6400 万円から最高でも18 億9970 万円と目標金額の19 億円以内で提案された。 
なお、特定者の提案金額は、地上3階(4階は機械室)、鉄筋コンクリート造の免震構造で17 億8185 万円である。 
平成17 年に検討された基本構想による60 億円余の 
事業費と比較すると約3分の1に圧縮された。 
⑤ 建物の質の確保 建物の構造、材料、全体構成など厳しい予算の中で医療施設として求める質を確保できるか、工事に関して設計、施工、監理が機能するかを評価した。 
⑥ 建物階数 3階から5階まで提案されたが、建物の延床面積が9,000m2のため3階程度を評価した。 
⑦ 敷地に対する施設配置計画 これについては、各社それぞれ工夫した跡が見られる提案であったが、建物の位置や向き、出入り口や駐車場の配置、地盤処理、身体障害者への配慮、救急車の搬送ルートなどを総合的に判断した。 
⑧ 病院の窓口、手術室、診察室、検査室、夜間救急、感染症対策、病棟など建物内の間取り、患者や医療関係職員の動線についても総合的に評価した。 
⑨ 近隣への配慮 工事期間はもとより、開院後の患者や病院関係者の動きについても配慮されていることなど評価した。 
⑩ その他の提案 敷地内へのヘリポート設置、将来の拡張や関連施設用地の確保、太陽光発電の採用、下流への雨水対策としての駐車場内の透水性舗装など、これからの病院づくりに役に立つ数々の提案があった。なお、ヘリポートについて着眼はいいものがあるが、本病院が住宅地域に立地するため実際の運用には困難が予想され、患者の搬入より他病院への搬送主体の利用を考えると 
近隣のヘリポートとの連携ではどうかなど、検討した経過を説明した提案者もあった。 

6 付帯事項 
通常の場合は、特定された提案を基本に実施設計を進めていくが、指定管理者が辞退したため、これから新たに選定される指定管理者の病院運営構想によっては変る可能性がある。以上のことから今後、新たな指定管理者との設計協議を経て新病院の姿が確定するので、提案内容が一部、変更になる場合があることを申し添える。 
その場合でも工事金額はこれを上限とすることは言うまでもない。