医師会と市長の対立が泥沼化、学校医不在にー山梨・上野原

医師会と市長の対立が泥沼化、学校医不在にー山梨・上野原(4月4日キャリアブレイン)
    

山梨県上野原市の市立病院建て替えをめぐり、江口英雄市長と地元の任意団体「上野原医師会」(渡部一雄会長)が対立している問題で、市内の小中学校や幼稚園では4月1日から学校医が不在となっている。 

医師会側は2月下旬、新病院の設計業者を決める市の「選定委員会」の在り方に抗議する書面を市長に提出。 

新年度から市の医療行政への協力を辞退するとの強硬姿勢を見せたものの、同委員会は3月28日に設計業者を決定し、市長は医師会側の要求を事実上はねつけた。 

小中学校では4月6日に入学式が開かれるため、市教育委員会では「これから健康診断もあり、1日も早く解決したい」としているが、事態は泥沼化の様相を呈している。(敦賀陽平) 


 選定委は2月5日に発足し、メンバーの過半数が市外在住者で占められた。 
これに反発した医師会側は同月下旬、市外在住の委員を外さなければ、新年度から学校医の派遣や予防接種の窓口業務などを行わないとする抗議文を市長に提出。 
これに同調する形で3月9日には、市議14人も同様の趣旨の要望書を提出した。 
  
しかし、江口市長は同月12日の市議会の本会議で委員の入れ替えを拒否し、選定委の関連費用を含む昨年度一般会計補正予算案が同日、反対多数で否決される事態となった。 
15日に修正案が全会一致で可決されたものの、28日の選定委で設計業者が決定。医師会側の要求は事実上拒絶された。 

 市教委も頭を抱えている。キャリアブレインの取材に対し、大神田光司教育長は「事務レベルを超える政治的な話。 
教育委員会としては、『1日も早く解決してほしい』と市長にお願いすることぐらいしかできない」と困惑気味。 
また、県教委側は「あくまで上野原市の話なので、市教委にお任せしている。初めてのケースなので、どの部署が対応してよいかも分からない状態」としている。 

■上野原医師会をサポート―県北都留医師会 

 一方、山梨県北都留医師会の小俣二也会長は、「これまで聞いている限りでは、上野原医師会を援護せざるを得ない」と、県医師会と共に上野原医師会をサポートする考えだ。 
  
奈良明彦前市長の下で策定された病院事業計画を見直すため、江口市長は昨年秋に「専門委員会議」を発足させたが、このメンバーには医師会の代表は含まれなかった。 
これに関して小俣会長は、「医師会を排除する方向性が見えた」と市長側の対応を批判。 
「新病院の建設では、地元医師会と協力して取り組んでいくのが筋ではないのか」と語気を強めた。 

■「過去に例がない」―文科省 

 学校保健安全法では「学校には、学校医を置くものとする」と定めており、6月30日までに児童・生徒への健康診断を行うことが義務付けられている。 

文部科学省学校健康教育課では、「このようなケースは過去に例がない。 
最終的に被害を受けるのは子供たちなので、早期解決をお願いしたい」としている。 
市教委によると、市内の小中学校では例年、4月中旬ごろに健康診断を行っているが、問題が長期化した場合、5月の連休明けに延期せざるを得ず、春の遠足など今後のスケジュールへの影響は避けられない状況となっている。 

■渡部会長、7日夜に市長と会談へ 

 これまでの市側の対応について、渡部会長はキャリアブレインの取材に、「不本意だし、予想外だった」と心情を吐露。 
抗議文への回答がないまま、最終的に業者を選定したことを「最悪のシナリオ」と批判した。 

その一方で、4月7日夜に抗議文提出後初めて市長と会談する予定で、「地元の医師会をはじめ、(指定管理者の)地域医療振興協会との協力体制を軸として、議員の皆さん方のご支援を頂き、(平成)24年(2012年)春には開院できますよう、スピード感を持って魅力ある病院づくりを目指してまいりたい」と述べた昨年末の市長の議会答弁に関して、「その後の対応で信頼を裏切られた。 
それを謝罪することが最低条件」と語った。 

 キャリアブレインは4月1日、江口市長に電子メールでコメントを求めたが、5日夕現在、まだ回答はない。